少女マンガにおけるホモセクシュアリティ/山田田鶴子/ワイズ出版一ヶ月くらい前に読んだ本なんですけど、軽い感想を。
えーとタイトル通りの中身なんですけどね、はい、タイトル見た瞬間図書館から借りていたことは否定しません。
どうもコレは、作者が大学?大学院?の論文としてまとめたものを出版することになったものらしく、そういう点で、作者本人が純粋にこの道・・・というか、つまり昔で言うJUNE、今で言うBL、それともそういうものを好む女性心理のいずれかに興味を持っているのか?というのはよく分かりませんでした。
たぶん一番後者なんじゃないかなあ。「とにかく好きなのっ!」って気持ちが伝わってこなかったから(ま、卒論だと思えばそれもしかりなんですけどね)。
全体の印象としては、まあざっくりした概要ですね。
特に70年代に登場した美少年ものを源流として語られています。ただし、現在のBLの隆盛については手付かずです。
その辺がちょっと不満でした・・・。
まあ無難といえば無難ですが、70年代に性的に鬱屈していた少女たちがいわゆる美少年に自分を仮託して「禁断の愛」を楽しんだ、という点でまとめようとしているのでしょうが、仲間うちだけでひっそりと楽しむものであった70~80年代のいわゆるJUNE的なものと、90年代後半以降のあっかるいBL作品とでは、なんというかその根源にあるものが別な気がするんですよね。
でもまったく別なわけではなくて、私自身も確かにその両方のジャンルの喜びを受ける身なものですから、やっぱり共通するところはあるわけで・・・
その辺のところをさっくり無視して纏め上げている点がちょっと引っかかりました。
まあ、BL(JUNE、やおいを含む意味での)の簡単な歴史という点では初心者向けにいいんじゃないでしょうか。ソコソコ知ってる自分としては、特に目新しい意見はなかったのですけどね。
まあ学生論文にそこまで求めるものではないかなー、と思います。
しかしこの人、自分が特別JUNEものが好きではないんだったら、なんでわざわざこんな題材を選んだのだろう。(いや、最後まで読んでもやっぱりこの人別にJUNE好きじゃないと思ったんです)
ま、ガチな人じゃないほうがかえって客観視できるものなんでしょうけどね・・・。
個人的には、やっぱりJUNEの源流は森茉莉、さらには吉屋信子あたりの女学校浪漫のあたりまで遡るべきだと思います。精神の結びつきをこそ至上とするあたりに同じ臭いを感じるので・・・。