フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2009-08-11-Tue-20-44

ユージニア

ユージニア/恩田陸/角川書店

『ユージニア』、たしか評判になった作品だったな・・・という記憶をたよりに借りてみました。調べてみたら、直木賞候補になった作品だったみたいです。
では、ざっくりとしたあらすじから。

物語は、それぞれの語り部によって語られる。
さまざまな人の目を通してみた、数十年前の不可解な殺人事件。
人望厚く、町の中心となるような医師一家の祝いの席を襲った惨劇・・・持ち込まれた祝いの酒、ジュースにより、一家全員と偶然そこに居合わせた者17人が毒殺されてしまったという、無差別殺人。
はじめの語り手となる者は、小学生の時にこの事件現場に居合わせた主婦・満喜子。
遅れて行ったためにジュースを飲まなかった彼女は、あの日あの時の惨劇の目撃者だった。大学生になった彼女は、取り付かれたようにこの事件のことを調べ始める。さまざまな関係者に会い、話を聞く。それを一冊にまとめあげた本『忘れられた祝祭』は、ベストセラーとなった。
だが彼女は、本が出したかったのではない。
ただ、知りたかったのだ。
精神異常の青年による犯行として、犯人死亡のままに決着のついたあの事件は、決してそんな簡単なものではなかったのだと確信するために。
『選ばれた』少女、緋紗子が巻き込まれたあの事件は、そんなものではなかったのだという根拠のない確信の裏づけをとるために。
そして、数多くの関係者から語られる「事件」の真実とは。
当事者の数だけ、真実はある。
果たして、本当の「真実」とは存在するのか・・・。

・・・ああだめだ、あらすじになってない。
とりあえず、「藪の中」っぽい構造です。ほほうこういう趣向のミステリね、と思って読み始めました。・・・が、最後まで読んで、まず思ったのは、「アレ?」ということ。
おっと、ここから先はネタバレになるので以下に。

ユージニアユージニア
(2005/02/03)
恩田 陸

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読み終わってすぐに「アレ?これで終わり?・・・アレレ?」と思い、「いかんな、途中で読み飛ばしたか」と思って、ざっと再読。・・・でもやっぱり、肝心なところが「アレレ?」なわけで。
要するに、「ミステリのくせに犯人・動機・経緯がぼかされたまま終わった」のです!
これを許せないと見るかそれもアリだと見るか・・・。
それは人それぞれだと思います。
あ、謎解きがなかったといっても、全然ってわけじゃなかったです。ほぼ確実に犯人だろうという人物は示されていますし、実行犯と計画者との関係性も提示されます。動機も、漠然とですが・・・ただ、その肝心の、犯人を殺人へと至らしめた決定打というものが漠然としすぎている、ということなんです。

ひょっとして私がこれを読み取れなかっただけで、熟読した人にはちゃあんと腑に落ちる書き方なんじゃないだろうか。
そう思って調べても見ましたが、やはりあれは「ラストは読者にゆだねる」的だとする意見が多かったです。さらに言えば、「たんに落とせなかったんでしょう?」という意見も。

私の解釈としては、日々の鬱屈を溜め込んだ緋紗子が偶然出会った青年をそそのかして犯行に至らしめた(その時にはそれが実現するとまでの深い意思はなかったとしても)・・・と、まあこれが自然な解釈かなあと思いますが、動機がたんに緋紗子の漠然とした不満、理由のない憂鬱とするならば、あの「青い部屋」云々、彼女の母親の祈り云々、白いさるすべりが云々・・・といういかにも意味深なモチーフがただのハッタリになってしまいます。

うーん、だからミステリとしては正直、モヤモヤっとして終わってしまいました。
個人的に好きだったのは、盲目の美少女として町の人々の憧れの対象だった緋紗子が、長じてアメリカにわたり、目が見えるようになったとたんに「ただの中年女」としてがっかりとした目で見られるのだ、と嘆くところです。
特別恩田ファンというわけでもない私ですが、『六番目の小夜子』でも『蒲公英草紙』でもカリスマ少女が登場したことを思い出します。
恩田陸の作品に登場する少年少女は、繊細で理知的。そこが魅力だという人も多いようですが、この『ユージニア』では、そんな魅力の塊みたいにミステリアスなカリスマ美少女を、「ただの人」に引きずりおろしたのです。
そこが、なんというか・・・意地悪というか、なんというか。
でもよく言いますよね、「かつての神童、今ではただの人」みたいなこと。
少年少女というのは成長途中であるという余白の部分があるだけに、それだけで魅力的な存在には違いありません。どんな人間であれ。
その時で留めておけばよかったのに、退場した人間を引きずり出したということ。それが残酷であり・・・でもだからこそ、面白いなぁと思ったのです。ハイ、私、性格悪いですから。

というわけで、腑に落ちない点が残りまくりというところでは納得がいかなかった一冊。
でも恩田陸だからこういうのもありなのかしらと思ったのも確か。
もしかしたら、犯人は全然違う人なのかも?あるいは、語られない動機があったりとか?作者の頭の中には、はっきりしたオチはあったのだろうか・・・?
ぐるぐるする読後感でしたが、ともかく約3時間一気読みさせられたってことは確か。
読ませるのだけは確かなんですよね、恩田陸・・・!

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