フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-01-12-Fri-21-33

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹/角川書店

毎度ながらお友達の透子さんにお借りしました。
大変インパクトのあるタイトルですが、桜庭一樹さん初読みでございます。

さて帯の文句が大変印象的なこの本。
『たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。
男たちなど滅びてしまえ。吹け、滅びの風』
って、ちょっと大見得切るにも程がある煽りじゃありません?さらに表紙は制服姿の愁いを帯びた美少女&美少年で、雰囲気たっぷり。
しかしてその内容は、・・・・思っていたより随分まっとうな青春小説でした。

ヒロインの母・優奈は25歳のある日、急に「男遊びをしたいな」と思った。それも「辻斬りのように」。
厳しい母に育てられた優奈は自分が「母によって理想の娘につくりあげられた、ただの『白っぽい丸』」のような存在なのだと認識していたのだ。25歳になるまでそれを変えられなかった。
それを変えるには?男遊び、男遊び、男遊び・・・・。

ヒロインの女子高生・七竈(ななかまど)はそうして生まれた。父は誰だかわからないが、母の優奈が平凡な容姿なのに比べて、際立った美貌の少女に育った。
年々磨きがかかる自身の美貌と世間に知られた母の所業とにより、世間の目を気にしながら生きる日々を送る七竈。
そんな七竈の唯一の理解者は幼馴染の少年・雪風。
雪風もまた美しすぎる容貌をもつ少年であり、それを疎ましく思う性質もまた七竈と似通っていた。
しかし二人の間に口には出せない疑問が生まれる。
二人はいつまでこのまま一緒にいられるのか?
旭川という狭い田舎町に生まれ育ち、息苦しい思いを抱えていたヒロインが故郷や母から解放されていく・・・。

生まれ育った狭い世界(それは故郷だったり、親により作られた自身のキャラクターだったり)からの脱出。
「不幸にも美しく生まれてしまった少年少女」というキャッチーな設定ですが、描かれていることはとても王道の青春の悩み、だと感じました。
逆にいえば王道すぎるテーマを「美少女&美少年」という味付けで食べやすくしてみました、というかんじでしょうか。
話は主に七竈を中心として進んでいきますが、母の優奈も幼馴染の雪風もまた作品のテーマを物語る人物であり、ともに「新たな世界(自分)」へと踏み出す人物です。

個人的には母の優奈にもヒロインの七竈にも共感できました。いや勿論私は男遊びをしたいとも思っていないし絶世の美貌でもないのですが、優奈の「母の影響下に育てられた無難な娘である自分を変えたい」という願望や、七竈の「狭くて息苦しい地元を出て、自分を知っている人が誰もいない所にいるということの解放感」は分かる気がするのです。とても。

私が地元を離れたのは大学進学時でしたが、なんだか妙にスッキリしましたね。別に寂しくもなかったし、それよりも「ゼロからのスタートである!」ということへのワクワクのほうが勝っていました。
全く知らない土地であり、知らない人ばかりである、ということへのあっけらかんとした気楽さ・・・というのは、初めての経験でしたし。
私は面倒臭いのでやりませんが、何回も転居する引越しが好きな人の心理というのもそういうものなのかも。自分の中でリセットできるというか・・・そういう。

ヒロインの出生の謎だとか母の男遊びによるややこしい事態なども絡まりあってるのですが、どうも私はこれを帯にあるような「最高の恋愛小説」とは思えませんでした。
むしろ「普遍的な青春小説」といえるかな、と。
七竈と雪風の絡みよりも、七竈と母の絡みの方が興味深かったし。あ、妙に浪漫チックな表現も私的には面白かったです。
なんだかんだいっても、久しぶりに一気読みした一冊でした。

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