フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2009-01-22-Thu-22-26

蒲公英草紙

蒲公英草紙/恩田陸/集英社文庫

『常野物語』の続編・・・というかむしろ過去の話というか。
「常野」という一族がいる、という同一の世界観の物語です。独立して読んでもまったく問題はないと思いますが、両方を読んだらニヤリとするかもしれません。

物語は東北の農村、槙村。
豊かな田園が広がるその土地は槙村という旧家を中心に構成され、平和で暖かな農村は、明治政府の富国強兵とは別世界の空間のようなのどかな光に満ちていた。
この物語の語り手は、村の娘、峰子。
峰子は医者の娘で、父は槙村家の主治医もかねていた。槙村家の末娘、聡子は病弱で、幼い頃から寝付いていたのだ。峰子はその話し相手として槙村家に通うことになる。そして幼い峰子は、あまりにも明るく、華やかで、別世界のような槙村の人々に、あっという間に魅了されたのだった。
なにより、その名の通り賢く美しい少女・聡子と、かけがえのない友情を築いていく。
そんなある日、槙村にやってきた不思議な一家・春田一家は「常野」の一族だった。
「常野の一族は丁重にもてなせ」という言い伝えの通り、人々はこの不思議な一家を受け入れるのだが、春田一家は奇妙な魅力でもって槙村に馴染んでいく。

あまりにも優しく美しい世界、暖かな時代。
ずっと続いていくのだと疑うこともなかった世界が、ある日を境に決定的に変容していく。
これはかつてあった、光に満ちた時代の話。

少女「峰子」の目を通して描かれる明治の農村が、なんともまばゆく映ります。
幼い少女の感受性が、槙村という小さな世界を美しく、そして大きく感じさせるのですが、少女が成長するとともに、今まで見えなかったもの、見なくてもよかったのもの姿が見えてきて。
物語前半の世界が美しければ美しいほど、後半の悲劇が残酷に感じられます。

華やかなりし明治、大正。
そして突入していく戦争の時代。
変わったのは果たして世界か、それとも人か。

恩田陸作品は久しぶりに読んだのですが、やっぱりなんとも読みやすいですね。スルスルーと読めます。軽いって意味じゃなく、違和感を感じさせない文体なんでしょうね。
恩田陸作品は私的に当たり外れがあるのですが、これは結構OK。「泣ける度」でいえば『常野物語』ですが、ノスタルジー日本好きには結構キュンキュンくる一冊でした。

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