フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2006-12-31-Sun-11-51

図書館戦争

図書館戦争/有川浩/メディアワークス
舞台は微妙に近未来的なパラレルワールド「正化31年」。
「メディア良化法」なる法律を基に、書籍映像音楽が検閲・取り締まりを受ける時代。その検閲を退け、あらゆるメディア作品を収集・提供できる権利をもつ公共図書館は、結果としてメディア良化委員会にとっての唯一絶対の「敵」なのです。
双方の抗争は激化の一途を辿り、図書館自体も武装し、自衛するようになります。

「公序良俗を乱すメディア作品を取り締まる」という大儀のもとに、恐ろしきファシズムを振るう国家VS独立図書館隊。

戦え!我らが図書隊!
守れ!我らが知の泉!

と、なんだか一昔前の特撮チックなテーマソングでも歌いたくなってしまうノリの作品なのです。

恐らく「本好き」を自認する方ならば、およそ9割以上の人は楽しめるのではないでしょうか。これでもか、というくらいに「本」への愛が満ち満ちて、もはや零れんばかりです。
死者が出そうなほどの攻防戦でも、図書隊員の胸にあるのは「本を守るのだ」という熱い想い。
時にキャラクターの口を借りて出てくるそれは、作者さん本人の心情でもあるのでしょう。本好きならばいちいち頷いてしまいたくなることうけあいです。

例えば、きちんと読めばそれが悪意のある表現でないことはすぐに分かるはずなのに、「NGワード」だからといって禁書扱いにすることだとか、「大人たちは『ためになる本を読みなさい』っていうけど、僕たちは『ためになる本』じゃなくて『読みたい本』を読むんだ」という少年の言葉だとか。

徹頭徹尾、本への愛で出来た作品です。
これが「本の雑誌が選ぶ2006年上半期ベスト1位」なのも、なるべくしてなった、というかんじでしょうか。
(逆に、普段本を読まない層にはそれほど訴えないかもね。まぁそもそもターゲット層ではないのでしょうが)

しかし「メディア良化法」や「図書検閲制度」なんて、現代社会でも妙にリアリティを感じてしまうところが怖いものです。
それがこの作品をただのエンタメとは言えないところなんでしょう・・・が、かといって、語り口は見事に「エンタメ」です。
キャラも立ってるし、勢いもテンポもいい。
最初は予想外の軽さに「あれあれ?」だったのですが、段々と掛け合い漫才のような会話の応酬にニヤリとしてしまうようになりました。
「戦争」なんて言えるくらいの状況なのに、キャラの濃い隊員たちの醸し出す雰囲気はなんだかわきあいあい。
なんとなく初期『キルゾーン』や特車二課(『パトレイバー』)を連想してしまったのは私だけでしょうか?

もっともそれが逆に「ラノベっぽい」と、否定的な見方をする人もいるようですが、うーん、どうでしょう。
このノリの良さと軽やかさがなければ、これほどの人気は出なかっただろう・・・というのも真実だと思うのですけど。
この軽みが諸刃の剣ってかんじでしょうかね、ま、それは好みの問題。

「図書館」で「戦争」だなんてキャッチ―なタイトルに、メディア規正法なんてものが現実味を帯びる現代の風潮への恐怖感と、軍隊青春物語かのようなラブコメ風さわやかさの絶妙な組み合わせが、不思議といいバランスで安定しています。
ちょっとかなり奇妙な設定なのに、とても普遍性を感じさせる作品なのです。

普段ラノベしか読まないという人にも読んで欲しい。
勿論読書家を自認している人も、読んで損はしないはず。
「マンガは頭が悪くなるから読まないわ」なんて人は・・・・
まぁ、無理して読まなくてもいいんじゃないでしょうか。ははは。
個人的にも共感できる部分は多々あったのですが、「(活字嫌いでもないのに)親や学校の薦める以外の本を読まないイイコなんて逆に怖いけど」というセリフでした。いや~実際身近にいるもんで。怖いです、確かに。
何が怖いって、そういう子は、そのこと自体を疑いもしないってことがですよ・・・。

読了日:2006年11月21日

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