フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2006-12-31-Sun-11-48

むかしのはなし

むかしのはなし/三浦しをん/幻冬舎

三浦しをんの短編集。刊行当時、なかなか評判になったと記憶しています。
タイトルは、各話が「主人公が自身の思い出(のようなもの)を語り伝える」というところから来ているよう。(ということに、前書きを見直してから気が付きました)

かぐや姫や桃太郎など有名な「むかしばなし」の要素を各話ごとに取り入れ、現代版に語り変えた本書。とはいえそれほど直接的にではなく、例えば『ラブレス』なら「かぐや姫」のように、様々なものを貢がられるホストの話、『ディスタンス』なら「天女の羽衣」のように、想い合いながらも絶対的に超えられない壁に阻まれる男女の話・・・という風に。

そして後半のエピソード『入江は緑』『たどりつくまで』『花』『懐かしき川べりの町の物語せよ』は、全て「隕石との衝突により人類は滅亡する」というタイムリミットが告知された後の世界、ということで共通した時間の物語になっています。
個人的にはそちらの流れのほうがより興味深く読めました。

「三ヵ月後に人類は滅亡します、脱出ロケットへの搭乗は抽選です」なんて言われたら、果たして世の中どうなるでしょう?
この作品のキャラクターのように、それまで通りの生活を続ける人もいれば、「どうせ死ぬのだから何をやってもいい」といって犯罪に走る人もいるでしょう。
妙にテンションをあげるわけでもない「終末」の描き方が虚無的な雰囲気を伝えてきて、不思議なリアリティを感じます。

私が好きなエピソードは『ディスタンス』のいびつな恋愛感情、『懐かしき川べりの町の物語せよ』の青春小説な雰囲気(しをんっぽい、といえるかも)。あとは『たどりつくまで』のミステリっぽいオチもなかなかだし、『花』も印象的だったかな。

評判がよかっただけに、どの話も完成度高いです。
同じシリアス路線でも、『私が語りはじめた彼は』よりずっといい読み心地。
結局人は誰かと繋がらずにはいられない、繋がっていたいと思わずにはいられないのだ、ということを静かに伝える一冊でした。

読了日:2006年11月12日

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