フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2008-04-22-Tue-22-40

雪沼とその周辺

雪沼とその周辺/堀江敏幸/新潮文庫

冬はスキー場利用者で賑わう山間の小さな町、雪沼。
これは雪沼を舞台に、雪沼とその周辺に暮らす人々の日常を綴った短編連作集です。

山や空き地、田畑が点在する田舎町という小さなサークルの中で暮らす人々には、独特の「繋がっている」感覚があります。積極的な緊密さではなく、ゆるやかな輪、というイメージ。
それは人と人とだけではなく、人と道具という点においても同じこと。
個人経営のレコード店や閉鎖間近のボーリング場、小さな町工場、地元民御用達の食堂、子供対象の習字教室・・・様々な場所や人の日常の中で、人と人、人と道具、人と思い出とが緩やかな関連性をもって存在しているということが語られます。
甘くはなく、しかし辛いばかりでもない、ごく普通の人々の人生。

地に足をつけ、実直に生きる人々の穏やかな人生模様です。
何ということはないのだけど、読み終えたときには、ただ「よかったな」と思えました。絶対的な幸福とか他より秀でていることとか、そういうことは満足のいく人生を送る上では重要なことではないのかもしれない、と思わせてくれるような・・・
『いつか王子駅で』より好きかもしれないです。短編だったからかな。じわじわと旨みが出てくるような、そんな本でした。

ちなみに読んでいて気になったのは、地の文での登場人物の名詞が「○○さん」だったこと。
その点は解説の池澤夏樹氏も言及されていて、「彼らを作者が「さん」付けで呼ぶだけの敬意には根拠がある」とありますが、どうも堀江さんは職人さんが好きなようなのでそれは勿論なのでしょうけれども、「○○さん」ということによって、「神の視点」である三人称が、少し二人称寄りになっているような、そんな印象も受けました。

雪沼とその周辺 (新潮文庫 ほ 16-2)雪沼とその周辺 (新潮文庫 ほ 16-2)
(2007/07)
堀江 敏幸

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