フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2008-03-26-Wed-23-11

彼女のこんだて帖

彼女のこんだて帖/角田光代/ベターホーム出版局

角田光代が『月刊ベターホーム』誌上で連載していた、「料理」をテーマにした連作短編集。
登場人物たちがおいしそうに食べるのは勿論、料理を作る動機・過程を小説の中に盛り込んだ、まさしく「料理小説」といえます。

角田光代は元々料理をする人ではなかったそうです。
母親が料理上手だったこともあり、20代半ばで一人暮らしをはじめるまでご飯の炊き方もおぼつかなかったとか。それがある日小説に行き詰ったことをきっかけに料理本を片手に台所に立つようになり、今やこんなに美味しそうな料理小説をお書きになるほどに・・・。
元々の料理好きではなく、全く料理に興味のなかった時期を過ごした人だからこそ、こんなにバラエティに富んだ料理短編を書くことが出来たのかなぁ、と思います。

恋人に振られたOLの週末一人ご飯、ラム肉ステーキ。
家庭崩壊寸前の男子高校生作、手打ちうどん。
食道楽なお一人様女子の食卓旅行、タイ料理。
同棲カップルの最後の晩餐、松茸ご飯。
妹のために生地から練り上げる、特製ピザ。
秒速失恋少女が作る、必殺クッキー。
妻に先立たれた夫が懐かしむ味、豚柳川。

老若男女、様々な登場人物による料理物語です。
女が作り、男が作り、主婦が作り、独身貴族が作り、学生が作る。
料理というのはお母さんがしなくてはならないものではないし、誰かのために作らなくてはならないものでもない。「作りたい人が作ればいい」という、しごく当たり前なことが、本書では自然と語られています。それがよかった。(例えば、もしこの本が「恋する女のラブレシピ!」みたいなうたい文句の本だったとしたら、まず私は読まなかったでしょう。)

角田さん自身もあとがきで言っています、私はおふくろの味というものを信じていない、と。
角田さん自身の母親は料理上手であったそうです。料理をしない娘が料理に目覚めたころから、「料理」を媒介として、母娘関係が良好になったとも語られていますが、それは別に、母と娘という間柄が生み出した深い絆ではなく、料理というものそのものが二人の女の共通項だったからだと。

「私が味わった多くの料理は、単なる食べものではなくて、たまたま私の母であった女性と、たまたま娘であった私との、関係のひとつなんだと思っている」
と、いうように。

家族だから、とか、恋人だから、女だから、男だから、とか。
そういう風にカテゴリ分けする以前に、人は一人の人間であるということ。独立した存在であり、一人で居る自由と権利があるのだということ。・・・なんというかな、人や人間関係を勝手な雛形に入れてしまわないというか、そういう目線が感じられる気がして、読み心地の良い本でした。
角田さんのポリシーがそういうことなのかな、と思います。

彼女のこんだて帖彼女のこんだて帖
(2006/09/01)
角田 光代

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小説内に登場する料理のレシピもついて、一冊で二度美味しい本です。
これなら作れるかな、という簡単料理もあったので、頭の中にメモしておきます。
ちなみに黄色が印象的な表紙は魚喃キリコのイラストです。
ハルチン2は、まだなのかな・・・・

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