フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2008-03-14-Fri-22-40

古道具 中野商店

古道具 中野商店/川上弘美/新潮文庫

中野さんが営む中野商店は「古道具屋」だ。
アンティークショップでも骨董屋でもない、もっと庶民的で、ごちゃごちゃしていて、汚くはないけど綺麗すぎず、微妙に古いものを扱う店。主人公のヒトミはそこで働いていた。

中野商店に集う人間は他に3人。
店主の中野さんはいい年をしてふらふらとあちこちの女の人に手をだす男。
ろくでもないのに悪びれなくって、憎めない。
従業員のタケオはいまひとつ何を考えているのか分からない男。
口数少なく、セックスがあまり好きでないという。
中野さんの実姉・マサヨさん。芸術家なのか趣味人なのか、いつも何かを創作中。
最近男が出来たらしい。

いい年をした人間が集まっているはずなのに、どうしてかふわふわと地に足のつかない雰囲気のする中野商店。そんな中野商店の人やモノを中心に語られるのは、ほんの日常の中の1シーン。細やかだけれど、ありふれているのとは、ちょっと違う。恋愛のような友情のような、人と人との結びつき。

という、川上弘美の長編です。
長編なんだけれども、短編連作のような形式だったので、わりと細かく区切って読んでしまいました。
実は途中まではあまりのまったりさに、どこに焦点を絞って読んでいいか迷いつつ、「やばい、これ、まったりしすぎてるかも」と思っていたのですが、ラストでぐぐっと引き込まれました。
(まったりした雰囲気の漫画や映画やエッセイは大好きなのですが、あまりにもまったりした(特に)長編小説だとイマイチ入り込めない・・・・ということに最近気づいた)
ああ、いままで淡々と語られてきたエピソードの数々は、このラストの為の「タメ」だったのだな!ここまで引っ張ってきて、そういう蹴りをつけるのね!と、油断していただけに、真正面からパンチをくらった気分です。
感情移入の出来なかった各キャラクターそれぞれに、最後になってようやくしっくりと馴染むことが出来ました。
いやー、これは最後まで読んでこそです。ミステリでも大河ロマンスでもないのに、ラストでショックを受けた作品って珍しいかもしれない・・・まったりどころじゃない、ドラマチックなお話ですよ。うん、面白かったです。

古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)
(2008/02)
川上 弘美

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表紙も雰囲気あって可愛らしくて好きです。
ラスト近くのヒトミの心情「心配されることに困惑する、というのではなく、なんというか、これが世の中っていうものだったよね、という、現実に引き戻された感じ。ありがたいと思わなきゃならないんだけど、そのありがたさに妙な徒労感があって、お尻がもぞもぞする感じ」がすごくビビっときた一文で、そうそうそんなかんじ!と、すごく共感しました。
これはヒトミが簿記学校に行くために母親にお金を出してもらった時の感想なのですが、なんというんですかね・・・・親だし、身内だし、純粋な好意以外のなにものでもないんだけど、それを当たり前のように受け取ることに抵抗があるというか。なんというか・・・上手く言えません。照れくさい、というのともちょっと違う気がするんだけど、なかなか言葉に出来ない複雑な心理を、よくぞ表現してくれたものだと感嘆しきりです。

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