フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2006-12-31-Sun-11-41

ぶらんこ乗り

ぶらんこ乗り/いしいしんじ/新潮文庫

いいらしいよ、という評判だけは前々から聞いていたいしいしんじの本を初めて読んでみました。
なんだかんだと想像するよりも、まずは読むべし。
この作品は、言葉では表現しにくい独特の空気をまとっています。

物語は、「器量よしのお姉ちゃんと天才の弟」の話。
「わたし」の弟は、近所でも評判の天才児だった。
賢くて優しい弟は、ノートに書き綴った物語をわたしに読ませてくれた。
哀しかったり、優しかったり、ぞっとする話だったり。
弟はつくり話の天才でもあった。
でもそんな弟は、いつだって世界の狭間にいる不安に襲われていた。この世とあの世の中間地点に立っているのだという不安。

「あんな幼いころから もうすでにあのこは、自分がこの世にひとりだけ取り残されたみたいに感じていたっていうんだろうか」

弟はいつも必死にこの世につかまろうとしていた・・・

高校生になった姉の語る「現在」と、
小学生の時の姉と弟の「過去」と、
そして作中で弟が創作した「つくり話」。
『ぶらんこ乗り』はこの3つが交互に語られます。
中でも弟の「つくり話」は、その大きな部分を占めていて、ひとつひとつは短いというのに、大変なインパクトを与えます。

秋の真夜中に読んだせいもあるのか、とても静かな印象の作品でした。
しいんとしているのに、時折ぐっとこみ上げる。
私がちょっと泣いてしまったのは郵便配達人のつくり話と、両親からの葉書のくだり。
でもそれは「これでもか」というくらいにツボを押すような泣かせ方ではなくで、「気が付いたら涙が出てました」という泣かせ方。
上手く言えないのがもどかしいんだけれど、押し付けがましくない、さらりとした、でも確かに読み手の中にするりと入ってくるかんじなのです。

要するに安直な癒し系ではないということ。
長年勘違いしていて、もったいないことをしました。

読み終わった時は何年かぶりにぶらんこに乗りたくなりました。
でも一人で公園で真剣にぶらんこをこぐのはちょっと恥ずかしいかも。
誰か付き合ってくれたら、是非やりたいのですが。

読了日:2006年10月21日

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