フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2006-12-31-Sun-11-26

村田エフェンディ滞土録

村田エフェンディ滞土録/梨木香歩/角川書店

土耳古(トルコ)文化研究のため現地にやって来た日本人学者・村田の土耳古滞在録。
短編連作形式の物語です。
「鸚鵡」「驢馬」「ヨークシャ・プティング」・・・などなど、
日常生活の中のモノを通して、土耳古での村田の日常生活が語られます。

村田が住まう下宿屋には、
ドイツ人考古学者・オットー、
ギリシア人調査員・ディミィトリス、
トルコ人下働き・ムハンマド、
宿の女主人としてイギリス人・ディクソン夫人、
そしてムハンマドに拾われた鸚鵡、
などが共同生活をしています。

これらの国際色豊かな同居人との掛け合いが、とてもわきあいあいとして、ほほえましくて。
土耳古という異文化世界での驚きと、学問を学ぶことへの喜び、
様々な人々との出会い、交流・・・そういったものものが、村田の視点で、とても丁寧に語られます。
学問の志に溢れる村田の土耳古での新鮮な日々が、時にユニークに、時にシリアスに、そして時にはミステリアスに、不思議に近しいものとして感じられました。

そうそう、本書は『家守綺譚』とリンクしています。
『家守綺譚』を未読でも全く不都合はないと思いますが、知っていたらちょっとオイシイのではないでしょうか。
本書も『家守綺譚』と同じで、常ならざるモノ、神秘のモノ、が登場します。 『家守綺譚』ではそれは「あやかし」的な存在(霊だったり、妖怪のようなものであったり)でしたが、本書ではそれは「神」という名で呼ばれることが多いですね。

ほとんど同じものを指しているように思われるのですが、名前が違えば在り方も変わる?なかなか興味深いところでした。

また、文中では「神」についての論争もたびたび登場します。
それぞれの考え方にお国の違いが見られますが、この作品の登場人物たちは、決して自分の考え方を相手に強制しようとはしません。
お互いにお互いの文化を尊重し、小さな下宿屋にはひとつの理想の形がありました。

村田にとっても、恐らくはオットーにとっても、ディミィトリスにとっても、ムハンマドにとっても、ディクソン夫人にとっても、鸚鵡にとっても、もっとも騒がしくも輝かしかった土耳古の日々。
しかし、不穏な世界情勢が、彼らを彼らのままにしておくことを許しませんでした。
前半が幸せであればあっただけに、雰囲気の変わった後半が辛いものに・・・。最後はうっかり泣いてしまいました。

読了日:2006年9月10日

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