フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2006-12-31-Sun-11-11

ロマンス小説の七日間

ロマンス小説の七日間/三浦しをん/角川文庫

ロマンス小説の翻訳を仕事にしている主人公・あかりには、半同棲中の彼氏・神名がいる。熱愛ラブラブというわけではないけれど、それなりにいい関係を築いていた。
しかしある日、神名が突然仕事を辞めたという事実を知る。
しかも、飲み屋の常連は知っていたというのに、あかりだけが知らなかったのだ。
さらにある日には、神名が近々海外への長期旅行を計画しているということも知らされるが、それもやっぱりあかりだけが知らなかった。
度重なる意思のすれ違いに、あかりは暴走する。
そしてそれに伴い、あかりの翻訳作業も暴走する。

ロマンス小説は次第に原作のレールを大いにはずれ、
「だってこのヒロインちっとも動かないんだもの」というあかりの手によって、超訳を超え、ほとんど創作小説の様相を呈す。
ヒロインと結ばれるはずだった騎士は死に、死ぬはずだった従者がヒロインに襲われる。
果たしてあかりと神名の出す結末は?
「ロマンス小説」は無事完結するのか?
というお話。

要するに「あかり編」と「ロマンス小説編」が交互に書かれる二部構成になっているところが特徴で、最初は真っ当に翻訳していたはずの王道コテコテロマンス小説が、主人公の心理状態の変化に応じて暴走しだしてしまうところに面白さがあるんですよね。

文庫発売当時、私はてっきり「三浦しをんが恋愛小説?うーん、それってどうなの」と思って手を出さなかったのですが、(作者本人が、とてもとても恋愛から縁遠いということを赤裸々にエッセイで語られているので)読んでみると、たしかに三浦しをん的でありながら、それでいてちゃんとそれなりに「恋愛モノ」でありました。
すでに半同棲カップルでありながら、「2人とも自分が一番好きな者同士だから上手くいくんだ」というなんとも煮え切らない主人公カップルが、三浦しをんの描くカップルとして説得力を感じます。
また、主人公の幼馴染・百合は、もてないわけでもないのに28年「お付き合いというものをしたことがない」という人物。
これもまた、私なんぞにはとても共感してしまうキャラクターで、作者の自己投影かな?とも思いました。

物語の最後、暴走した「ロマンス小説」は、ヒロインと従者、そして死んでしまった騎士の三人の愛こそが幸福の形であった・・・という雰囲気で幕を閉じます。
そしてあかりと神名の2人も「これから先のことは分からない、だからいいのだ」といっていつもの2人の関係に戻ります。
一応はハッピーエンド・・・でしょうか?
そうともいえる。でもそうだと言い切れるラストでもないでしょう。
数年後、神名が帰った時に、あかりは今と同じままで神名を受け入れられるとは限らないし、そもそも神名があかりのところに帰ってくるかどうかも分かりません。
お互いにそれを分かっているからこそ、「帰ってきたら・・・」なんて話はしないのでしょう。

これが、三浦しをん的恋愛小説なんですねー。ひねくれてるような、いや極めて純愛のような。
なんだか納得してしまいました。

読了日:2006年8月23日

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