フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-10-04-Thu-22-00

ラスト・イニング

ラスト・イニング/あさのあつこ/角川書店

『バッテリー』シリーズ中屈指の人気キャラクター、瑞垣をメインにした番外編。本編最終巻読了後、間をおかずにこちらを読み始めました。貸してくれた透子さんには大感謝です。

『バッテリー』本編ラストで、巧・豪コンビのいる新田中と練習試合を果たした横手(瑞垣・門脇の学校)。天才バッターと謳われ、すでに名門高校への推薦入学も決まっていた門脇は、もう一度巧と対戦したいとの思いから周囲の反対を押し切って推薦を蹴り、地元高校へ入学。
一方瑞垣は野球部すらない地元進学校へ入学し、野球とは縁のない生活を送ります。

体格と才能に恵まれ天才バッターと呼ばれ、それでも生来の素直さを失わず、自然体のままに周囲の期待に答えてみせる門脇。
そんな門脇の良き相棒として存在しつつも、自分にはないあらゆるものを持つ門脇に対して鬱屈した思いを持つ瑞垣。

野球が好きで、でも誰よりも野球の神様に愛されたような男の傍にいたために、早々と自分のことを割り切ってしまった少年の心中は、とても15歳とは思えないほどシニカルで捻くれています(いや、15歳だからこそ、かも)。
門脇の存在を羨ましく妬ましく思うのも事実、だけどその力を誰よりも認め魅入られてしまったのも事実。門脇と瑞垣という幼馴染の2人の関係は、少年漫画等にありがちな「親友であり良きライバル」という関係とは比較にならないほど複雑です。

いっそ野球そのものから離れてしまえば、門脇とも無関係になる。
自分を呪縛しているような存在からも離れてしまえる。
自分一人で結論をだした瑞垣ですが、そうは周囲が放っておかなかった。それは瑞垣が望むと望まざるとに関わらず、瑞垣個人が今までやってきたことの結果でもあるのでしょう。
世間をはぐらかすように振舞ってきた瑞垣ですが、そんな振る舞いで誤魔化せない程に、瑞垣個人の感情が周囲に伝わっていたということ。
それは結局、野球が好きだということ。
そうなんでしょう、たぶん。
門脇と切り離して、ということではなく(だってきっと瑞垣の中で野球と門脇は分かちがたい2つであるだろうから)、いったんは縁を切って自分を誤魔化して、それでもやはり戻ってしまう。一回逃げたからこそよく分かる、自分の素直な気持ち。

生まれながらのピッチャーだと、自分には野球しかないのだと、疑うこともしない原田巧という不器用な天才も(自分とはかけ離れすぎているがゆえに)確かに魅力的です。でも私個人としては、自分の力を自分で見定め、己を自嘲し、自分にはない才能をもつ他人に嫉妬し、憧れ、自問自答を繰り返す・・・そんな人間くさい瑞垣俊二のほうに、より魅力を感じます。

ラスト・イニング ラスト・イニング
あさの あつこ (2007/02)
角川グループパブリッシング

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ちなみに妹の香夏ちゃんもかわいいのです。門脇のお母さんも、いい味だしてます。

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