フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-09-23-Sun-21-03

聖餐城

聖餐城/皆川博子/光文社

なんとも意味ありげで怪しげなタイトル。
ざっと見たところ、どうも舞台はドイツらしい。これはもう『死の泉』『総統の子ら』『薔薇密室』に続くナチスもの(個人的には3部作と呼んでいる)じゃない?とわくわくして読み始めたのですが、実際はさらに時代をさかのぼって、17世紀ドイツのお話でした。

出自も定かではない少年・アディと宮廷ユダヤ人の息子・イシュアという二人の数奇な運命を軸に、陰謀と武力・財力が支配するドイツ30年戦争を骨太に描いた長編作品。
戦争小説というだけに留まらず、個人の視点から語ることで、キリスト教(カトリック・プロテスタント)・ユダヤ人差別・職業差別等、社会的問題への視点も組み込まれている。

・・・というととても硬派な作品のようですが、その一方で「錬金術」や「伝説の秘宝」等、皆川博子らしい怪しげでゴシックな小物もプラスされており、全体的なイメージはやはり「ゴシックテイスト」です。

それでも前述した3作品に比べると幻想的な要素やエロティックな要素(同性愛的な)も少なめで、一般的には読みやすいといえるのかもしれません。
私としては主人公のアディとイシュアの無為の信頼感や、盲目的に上司を敬愛するアディとそれに十分に答えてみせるフロリアンの主従関係でもお腹いっぱいでしたけど。
(でもキャラ的に美味しいのはハンスかなー)

ヨーロッパの地理関係や入り乱れる横文字のキャラクターたちに苦戦しましたが、それでもアディやイシュアという個人や、同族や兄弟間での企みや牽制、宗教という不思議な思想のこと、個人対個人の間の感情の激しさ、人間の愚かしさ等々、焦点を小さく絞って読み進めることでクリアできました。
いやあ確かに長編なんですけど、それにしても皆川博子の文章はずっしりきます。読み飛ばしを許してくれません。まあそれだけに達成感もひとしおなんですけどね・・・久しぶりに読み応えのある本を読みました。

あ、でも全編に渡って戦時中なだけに、今まで私が読んだ作品の中で群を抜いて凄惨な描写が多いです。この時代に生まれなくてよかった・・・その手のものが苦手な人は読まないほうがいいですね。

聖餐城 聖餐城
皆川 博子 (2007/04/20)
光文社

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