フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-09-15-Sat-21-13

季節のかたみ

季節のかたみ/幸田文/講談社文庫

ちょっとずつ読んでいた幸田文の随筆集、やっと読了しました。
一篇一篇は短いのですが、何故かじっくり読んでしまうんですよ・・・決して決して読みにくいとかではないんですけど、簡単に読み飛ばせない文章なんです。

内容は、すでに老境に至った幸田文さんの身辺にまつわる些細な事柄。
とても日常的な事柄を、季節感を楽しむご自身の内に引き寄せてしみじみと書き記されています。
勿論お年を召されている時期のものですから、今と昔の比較もしばしばです。それでも決して安易な「昔はよかった、今は駄目だ」ってことを言われないところが好感度大。
今は今、昔は昔。
それぞれにいいところも悪いところもあるってもんです。

個人的に面白かったエピソードは、父・幸田露伴の着物についての考察。

口というものをどう思うか、といいます。(中略)きれいじゃないか、手も袖もきれいで、風情も色気もこぼれるところだ、といわれておどろきました。
女の手首の細さ、手の甲のなめらかさ、友禅の染色。形と色、からだと布ーこれだけのものが、自分の手許にあるというのにそうかねえ、見惚れないかねえ。そう粗雑なこころがらじゃ、風情もいろけも、話したって所詮、無駄だー急に目が開いたように思いました。
(中略)
身八つ口の機能とは、なんだ、といいます。胸元や背に手を入れて、衣紋をととのえられるようにでしょう。誰の手だ。自分の手です。それだけか。え?自分の手がはいるなら、ひとの手もはいるわけだ。もし、男の手がその口を犯したら、どうなる。返事ができませんでした。からからと笑われました。


一人娘に対する教育的指導。
これがなんだか色っぽいのにいやらしくない。さすがに粋です、露伴センセイ。

季節のかたみ (講談社文庫) 季節のかたみ (講談社文庫)
幸田 文 (1996/06)
講談社

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娘の青木玉さん(ちなみに私は玉さんの本を先に読みました)が叙情的なのに比べると、文さんはずいぶんしゃっきりさっぱりした気性みたいなんですね。どちらも魅力的なのですが、露伴→文→玉という文筆家系ってすごいなあと単純に思います。(さらには玉さんの娘さんも出版されてるんでしたっけ)
それから幸田文とか白洲正子とか(一緒にしちゃ失礼かもだけど)向田邦子とか、上の世代の女性作家さんの本を読むと、なんだかこう、もっと背筋を伸ばして生きていかねばなあ・・・とも思います。
ま、大概は思うだけなんですが・・・。

COMMENT

2007-09-17-Mon-21-26

露伴先生

といえば、とりあえず『帝都物語』しか出てこない私・・・

玉さんのがセンチメンタルなんだよね。文さんはキリっとしてらっしゃる。『流れる』は未読ですが、昔ドラマで『弟』は見ました。弟役がわっかーいキムタクでしたよ・・・
2007-09-16-Sun-14-13

わたしも

そこの部分がやたらと心に残ってる。
露伴先生エピソードはいちいちカッコいいよ。
でももうこんな人はいないんだろうねえ。

私は玉さんより文さん派です。
「流れる」読んだかい?置屋ルポにしびれるよー。

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