フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-08-26-Sun-11-55

動物園の鳥

動物園の鳥/坂木司/創元推理文庫

ただいま実家に帰省中、父のパソコンから更新しております。
今回の旅のお供はひきこもり探偵完結編、この『動物園の鳥』でした。
すらすらっと読めるんですよね、文章がうまいというよりは私と波長が合うというか。読みやすくって、新幹線待ち中に半分近く読めてしまいました。

さて、この完結編も1作・2作目と同様、探偵役・鳥井の友人である坂木の一人称で語られています。今回の事件は動物園で発生する動物虐待。
動物園に迷い込む野良猫が異物を吐き出したり、出血をしていたり・・・明らかに人為的な暴力を受けている、という相談を受けた「ひきこもり探偵」鳥井&「無類のおひとよし」坂木コンビ。
問題の動物園がなんとか鳥井の外出可能な範囲であるということから、現場に赴いての推理がはじまります。坂木はそこで、自分が思うよりもはるかに強くなった鳥井を再確認します。
野外でリラックスした風の鳥井、
他人(滝本)の心を慮るような鳥井、
思いがけない過去の人物と再会した時にも取り乱さなかった鳥井。

そこで坂木は一つの決断をします。
分かっていたのに今まで出来なかったこと。鳥井が心配だからといいつつ、自分自身が怖くて出来なかったこと。
それは、鳥井を突き放すということ。

本筋であるミステリ部分に関しては特にひねりも何もありません。犯人も予想通りでしたし。やはりこの作品の主題は「鳥井と坂木の関係」ですね。そここそが本筋であって、ミステリは味付けにすぎないと思います。中学生時代から20代(半ば?)にかけてずっと続いてきた二人の相互依存の関係が、この3作目ラストにして転機を迎えます。

鳥井に憧れるからこそ鳥井の弱みに付け込み、支え、自分だけを頼ってくれる鳥井に満足を覚える坂木。そしてそんな自分を嫌悪する坂木。
シリーズを通して、「ひきこもり」である鳥井の世界は広がりをみせますが、他の誰よりも変化したのは坂木でしょう。彼は「二人の世界」に満足していたにもかかわらず、鳥井のため、自分のために、あえて蜜月関係にヒビを入れます。鳥井がさらに強くなるために。自分ももっと強くなるために。

・・・まあ、そういう作品なんですけど、正直な感想を述べれば、やっぱり最後まで作品世界に入り込むことはできませんでした。
「感動的なラスト」なんだろうな、とは思いつつ、特に何の感慨も沸かなかったし・・・これは私が坂木にも、ましてや鳥井にもシンクロできなかったからでしょうね。どうも二人とも人間味がないというか、なんというか。ある意味坂木の心理は理解できるのですが、特に鳥井のキャラクターが最後までしっくりきませんでした。
ひきこもり云々じゃなくて、もっともっと坂木と鳥井という二人の内面を掘り下げてほしかったなぁ。

本編中で一番共感した部分は謎解き部分の「一般論しか口にしない人への違和感」ですね。ここは読んでて面白かったです。
なんていうか、行動のすべてが他人の目を意識してるっていうか、誰にも責められないようにしてるっていうか、そんな感じがしたわ」「こう言っておけば、誰も不快に思わないし、突っ込まれることもない。そういうバリアみたいなものを感じるわ
というところですね。
これはうまく表現できないんですけど・・・両親や教師から「良い子」だという判定をされるであろう要素を取り込むことに、なんの疑問も抱かない子、かな。校則を守ることに疑問がないというか。お堅い優等生キャラならそれはそれで味なんですけど、それが私生活にも及び、成人して尚そいう「レールの上を堂々と歩いてみせる」ことに一片の疑問ももたないという人は、正直気味が悪い。でもそういう人が「勝ち組」になったりするわけでしょうか、やっぱり。
積極的に悪事を働いたりはしないから、ぱっと見はとても「いい人」なんですけどね・・・枠の中にいるということを疑いもしない人って、常に斜め目線の私からすると、とても奇妙です(向こうもそう思うのでお互い様なのだろうけど)。
単純な良し悪しではないけれど、物事を多角的に見るということ、疑問をもってみるということというのは大事だと思います。マイノリティの意見も素直に聞くということですね。これは私自身、昔からオタクであることに引け目をもっているから余計にそう思うのかもしれないですが・・・最近はあまり隠せてないかもなぁ・・・。

動物園の鳥 (創元推理文庫) 動物園の鳥 (創元推理文庫)
坂木 司 (2006/10/11)
東京創元社

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でもだからといってこの作品での松谷さんの言われようはあんまりだとも思いました。なんだかちょっと釈然としないのです。

COMMENT

2007-08-28-Tue-19-30

そうですね、確かに時折激しく共感する部分はあります。
でもこの本を買う男子高校生って・・・何が彼の心をひきつけたんだろうねえ。聞いてみたいねえ。
2007-08-27-Mon-23-15

確かに鳥井に関して言えば、
ちょっと薄っぺらい感じはしましたね。
もうちょっと、重い話にしてくれても
よかったのかもしれない。
でも、時々、ドキッとするほど、共感できる台詞が出てくるんですよね。

ところで、つい前日、高校生くらいの
男の子がこの本を買っていったんですが
レジしながら、
「読んだら感想教えて!」と言いたくなりました。

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