フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-08-17-Fri-17-29

ユリイカ 腐女子マンガ大系

ユリイカ 腐女子マンガ大系/青土社

友人・カノさんから回ってきた一冊。なんと『ユリイカ』による腐女子研究本です。・・・まあ、文化系女子特集なんかやってしまった『ユリイカ』だから、それほど驚くことではないのかもしれない。
しかしこれがなかなか的確で面白かったです。個人的には渡辺由美子による『青少年マンガから見る「やおい」』が一番(我が身を鑑みて)納得しながら読めました。
もはや何でもかんでも「BL」で言い表される昨今ですが、私の中では「BL」→オリジナル、「やおい」→パロディ、です。これは理屈ではなくて感覚の問題なのですが・・・渡辺さんの見解も同様のようです。
そして私が最も頷いてしまったのは、

原作物語と作者には、男性同士の関係を密に描いて欲しいと願っている。だが、彼らの恋愛関係が描かれることは望んでいない。物語上の必然として登場するゲイカップルならともかく、女性客を意識して作為的に恋愛関係を作ろうとすると、本来の男性にはないメンタリティが入り込んでしまう。
やおい愛好者の中には、男性のメンタリティにウソが入ると人間関係の土台が崩れると考え、ウソが見えた瞬間に「狙いすぎ」と興ざめする者もいる。


というところです。
男性のメンタリティ云々はともかく、私の場合は単純に「そうやれば女性ファンが喜ぶと思っている安易さに興ざめ」なわけですが。無意識である部分に萌えるわけで、作為的な臭いを感じた瞬間にスッと興ざめするところはあります。

また、自分なりの解釈を見つける遊戯でもあるので、想像の余地、のりしろを残しているもののほうが大勢に好まれる。

という部分も同意です。過剰なほどの読者サービスというのは、公式ではむしろやって欲しくないんですよね。そこまで公式でされたら同人誌はいらないよ、となってしまいます。オタクのわがままなんでしょうけどねえ。また完成度の高すぎる作品よりも、多少の穴を見つけられる作品の方がパロディには向いていると思います。極論を言えば、原作のストーリーがどれほど破綻していてもかまわないというか・・・。

いやーどれもこれも思わず膝を打ちたくなる程の分析です。
勿論他の解説もいちいち唸ってしまう内容だったのですが、自分がパロディとしてのやおいからこの道に入った人間だけに、特に渡辺さんのテーマに反応してしまいました。

あとは巻末のBLバイブルが非常に面白かったです。
ほとんどの作家が分かった自分もどうかと思いますが・・・、以下、特に共感できたところについて。

「白泉社80年代」:いわゆる腐女子を含むディープな漫画好き女子なら、十中八九が白泉社の洗礼を受けているといっても過言ではないでしょう。結構な数の腐女子的要素を含んだ作品がありながら、同人界で盛り上がる作品が少ないというのは不思議なことだとも思います(結局女性向け媒体だからか、それとも先に述べたように物語としての隙がないからか)。

「ニューウェーブ」:basso、草間さかえ、えすとえむ等。「今までのBLとはちょっと違う」という作家さんたちを総してニューウェーブと表現しています。絵的にもストーリー的にも言い得て妙な呼称です。
ここに該当する作家さんたちは「BLのお約束に定住するのではなく、(中略)BL的関係が生まれる根源を描こうとする傾向が強いのだ」と解説されていますが、それはつまり「BLという名称が発明される以前のBL的物語」ではないでしょうか?BLが一大ジャンルとして形成される以前、男同士の恋愛というのはあくまでタブーであり、だからこその葛藤・ジレンマというものを登場人物が抱えていました。そういうものをこそ私たちも求めていたわけで、ニューウェーブは確かに新しい印象を与えてくれる書き手ですが、原点回帰という趣も感じるのです。

「コバルト文庫」:コバルト・・・と題しながら、その内容のほとんどが『炎の蜃気楼』シリーズの解説で占められていることに、思わずニヤリとしてしまいます。『ハイスクール・オーラバスター』にも少し言及されていますが、私はこの時期(90年代)のコバルトには、前述した「白泉社漫画」と同じ雰囲気を感じます。腐女子的要素を含みつつもそれを匂わすに留まり、決して度を越すということはない。メインテーマはあくまで別に存在する。私の好みを言わせてもらえれば、そのあたりが一番「読者を萌えさせる」ラインですね。さすがに老舗は分かってますってところでしょうか。
(BLブームに乗ろうとするあまり、一時期迷走した感がありましたが、最近はまた復古主義のような「古き良きコバルトのノリ」の作品が増えてきたように思います。いいことです)

いやあ面白く興味深い一冊でした。
第2弾も出してくれませんかね?以前の「文化系女子特集」ときて今回が「腐女子」ときたら、今度はBLとやおいの違いとか・・・、BL漫画、とかBL小説特集、とか・・・需要はある気がするんですが、どうですかねユリイカ。
そういえば巻末紹介のBL小説家に樹生かなめがいなかったことはちょっと残念でした。

ユリイカ 2007年6月臨時増刊号 腐女子マンガ大系 ユリイカ 2007年6月臨時増刊号 腐女子マンガ大系
(2007/06)
青土社

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