フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

メニュー目次メニュー目次メニュー目次メニュー目次
-----------------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007-07-16-Mon-20-20

グラスホッパー

グラスホッパー/伊坂幸太郎/角川文庫

非道な事故により妻を亡くした男・鈴木。
自分の妻を殺した男に復讐をするため、非合法な組織に潜入する。

女子供の殺害に躊躇がなく、一家皆殺しを多く請け負う殺し屋・蝉。
何の感慨もなく仕事をこなすが、ある映画を見て以来自分が操り人形のような意識に囚われる。

依頼人が指名した人間を必ず自殺に追い込む殺し屋・鯨。
『罪と罰』を読み返し続け、自らも自分が手にかけた人々の亡霊に襲われる。

物語はこの3人の視点から交互に語られる。
鈴木の目的は達成されるのか、蝉は己の「人形」のイメージから開放されるのか、鯨は襲い来る亡霊の数々を振り払うことができるのか。
そして全ての鍵を握る「押し屋」の正体は。

技巧的なミステリと青春小説のさわやかさ・ヒューマンさを併せ持った作風が人気の伊坂幸太郎の異色作。
「ちょっと雰囲気違うよ」と友人に聞かされていた通り、今までの中ではかなり重い雰囲気です。いつになく被害者も多いし(殺し屋が主人公なのだから当たり前か)、殺伐とした雰囲気が漂います。
裏表紙には「分類不能」とありますが、文庫解説では「ハードボイルド」だそう。私は・・・どうかな、でも単なる「ミステリ」ではないと思います、確かに。それだけでも伊坂作品としては異色でしょう。

全編を覆うブラックさに、明るい伊坂作品ファンからは敬遠されることも多いという本作ですが、私はそれほど重すぎるとも思いませんでした。こっそり他作品とリンクさせているのも、妙に引用文や警句が多いのも、張り巡らした複線をきちんと消化してくれるのもいつもの伊坂節ですし、最後には希望もみえるし。
ただいつもの作品よりは特に語るべき感想がないのですよね、不思議なことに。あ、蝉と岩西の微妙な仲間関係は好きだったかも。

今回は本編よりも解説のほうが面白かったです。
「デビュー以来、伊坂は「悪人らしい悪人」を描いてきた」ですって。
うーん確かに。そのさわやかな作風で忘れがちですが、伊坂作品って結構容赦のない暴力で死人が出てますよね・・・
あと「こうした具合にそれぞれの個性が際立っているため、一見して『グラスホッパー』はキャラクター主導の小説であるかのような印象を受ける。もちろんそれは間違いではない。」この後解説は、その地盤として冷徹なまでの客観描写があり、それこそがハードボイルドであるのだ・・・と続くのですが、これも納得しました。
キャラクター小説になりそうでなってないんですよね。物語という大前提の上にキャラクターがたっているのであって、決してキャラクターありきではない。伊坂作品には魅力的なキャラクターが沢山登場するのですが、立ちすぎたキャラが物語の流れを邪魔する作品が目に付く中で(特に何とは申しません)、とてもバランスのいい「立ち方」をしているなぁと思うのであります。

グラスホッパー グラスホッパー
伊坂 幸太郎 (2004/07/31)
角川書店

この商品の詳細を見る

COMMENT

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK

http://funafunababy.blog89.fc2.com/tb.php/119-f5b0c9df



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。