フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-07-06-Fri-18-41

文藝ガーリッシュ

文藝ガーリッシュ/千野帽子/河出書房新社

かつて私は少年が好きでした。
この場合の少年というのは勿論(何が勿論だか)観念的な意味での<少年>です。線が細くて大人を信用してなくてガラスのハートを持つ美しい生き物・・・というイメージを夢に見ながら稲垣足穂『少年愛の美学』『A感覚とV感覚』をこっそり読んだり、長野まゆみを堂々と読んだりしていたのは高校時代。
その後何故だか興味の方向が「少女」へと変換されました。元々少女趣味の気はあったのですが、今じゃ本棚には高原英里『少女領域』『ゴシック・ハート』が鎮座して、澁澤龍彦の『少女コレクション序説』はちょっと違う?でも尾崎翠『第七官界彷徨』はばっちり並んでいます。

そして出会うべくして出会ったのがこの『文藝ガーリッシュ』。
筆者が選びに選んだ「志は高く心は狭い文化系小娘(フィエット)のための」ブックレビューです。

そうコレブックレビューなんです(多分一応)。
私はてっきり『少女領域』っぽい分析本の類かと思っていたので、最初こそ「あれれ」と思ったのですが、いやはや本の紹介文の隙間からビシバシと放たれる小気味のいい「文藝乙女考察」にはニヤリとさせられっぱなしです。
しかしこの本の読者層って相当ピンポイント。可愛らしい表紙に惹かれて読んでみたお嬢さんが「何いってるのか全然わかんない」ということも大いにありえそうです。
だってこれは始めから読み手を選ぶ本ですから、「選ばれなかったから」って文句を言うのは筋違い。だからほら、サブタイトルは『素敵な本に選ばれたくて』。
「あなた」が「本」を選ぶのではなくて、「本」が「あなた」を選ぶかどうか、というところが大きな問題。最初から喧嘩腰なんですのよ。

ちなみに私は(わざわざ購入したくらいなので)面白く読むことが出来ました。いろいろ興味深いです。知らない作家が多かったので、未知の本について知るのが面白いのは勿論だけども、どちらかというと筆者の炸裂する主義主張のほうが面白かったです。

 かつてオタクは博覧強記の「精神の貴族」でした。
 もちろん今では教養・知識がなくとも二次元キャラに萌えることが
 できればオタクを名乗れるという風潮があります。そういう偏差値
 の低いオタクの蔑称として「ヌルヲタ」という語があり、
 

「ヌルヲタ」って漠然と聞いたことはあったのですが、なるほどそういう意味だったのですね。言いえて妙です。
ガンダムもSEED以降しかはっきりとは知らず、サンライズの90年代黄金期も知らず、エヴァに至るまでのGAINAXの歴史どころかエヴァすらちゃんと見ていない!くせに「ボクってオタクなんですよね・・・(何故か偉そう)」なんて発言する職場の後輩君にイラつくのを抑えられなかったのは、私が

 「哲学」「アート」「ロック」「ミステリ」「SF」、なんでもい
 いのですが、教養派は歴史的連続性のある(ように見える)ものが
 大好きです。そのジャンルの本質、イデアというか理想の型のよう
 なものを心に抱く、永遠の少年たちとでもいいましょうか。
 


というように、系譜的なものを重んじる傾向にあるオタク要素を持っているからなのでしょうか。「オタクは語りたがり」とはよく言われますが、それってつまり「説明したがり、解説・分析したがり」ってことで、それには上記のような傾向が強いからかもなあ、と思わされます。その点ではアニヲタだろうが鉄道ヲタだろうが音楽ヲタだろうが違いないかもしれません、確かに。

なんて、少女でもなんでもなくてオタク分析になっちゃってますが・・・まあ、似たようなもんだし。というのは暴言でしょうか?でも筆者本人が

 かつて私は、女子が、「私が可愛いものを好むのは、私が可愛く
 ないからだ」と小声で言うのを聞きました。この自意識こそ乙女
 の第一歩。いっそ漢(おとこ)と呼んでもいい。同じことです。


って言ってるくらいだしね。
自分の信念をもってわが道を進むのに乙女も少年も漢もないってことでしょう。孤高を恐れず、精神の貴族たれよ。

文藝ガーリッシュ    素敵な本に選ばれたくて。 文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。
千野 帽子 (2006/10/17)
河出書房新社

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ところで堀辰雄『聖家族』の中に、芥川龍之介をモデルにした九鬼という人物が登場するそうです・・・・おお、『蕭々館日録』(久世光彦)!なるほどこういう下敷きもあった上での『蕭々館』だったんですね、さすがは久世先生。これを知っただけでもこの本を読んだ甲斐がありました。

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