フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-06-28-Thu-20-46

夏の魔法

夏の魔法/北國浩二/東京創元社ミステリ・フロンティア

表紙の雰囲気とレーベルだけで手に取った本書。
「哀しい願いの物語」ですって・・・でも読み終えて納得しました。
これはタイトルの響き通りに甘くてロマンチックで、そして途方も無く残酷な物語。

中学生の頃、ナツキは世界の中心にいた。
人目を惹くほどの美しさとそれに無自覚でいられる若さ、
転校の繰り返しで鍛えられた度胸、
他人を庇う勇気と正義感、
誰からも愛される天真爛漫さ、
優しい両親と初めてのボーイフレンド。
それら全てを当然のものとして受け止めていた彼女の時間は、しかしある日突然歯車を狂わせる。
「早老病」という病に侵された彼女は人の倍のスピードで年をとり、その病は若さとともにナツキの朗らかさや明るささえも奪っていった。
22歳にしてすでに老女の容貌となったナツキは末期ガンにも侵され、最後の夏をすごすために南の島を一人訪れる。そこは健康だった頃、ボーイフレンドと双方の家族とともに訪れた、最高に幸せだった頃の思い出の島。
最後の時を静かに過ごすために島へとやってきたナツキは、そこで信じられない人物に出会う。それは立派な青年へと成長した初恋の人だった。
思いがけない再会に喜びつつも自分の正体を知られることに恐怖を覚えるナツキ。年相応の若者を目の当たりにしたナツキは徐々に生へのエネルギーを取り戻すが、同時に凪いでいたはずの感情が激しさを取り戻し・・・・・

というお話。
レーベルとしてはミステリですが、読み終えた印象は「哀しい少女小説」です。
物語後半の展開がちょっと取って付けたような印象で、あの展開はあまりにも他人の命を軽んじているし、ボーイフレンドの選択にも違和感を覚えます。でもそれも22歳という成人でありながら中学生時代の自分を引きずっているような主人公たちの精神的アンバランスゆえか・・・と思えば納得できるような、いややっぱりできないような。
そんなモヤモヤを感じつつも一気読みしてしまいました。
文章が自然で読みやすかったのと、ナツキへの感情移入があったからかな?

全体の雰囲気はロマンチックでセンチメンタルですが、「若く美しい少女が急速に老化し、周囲への嫉妬に苛まれる」という設定はこれ以上ないくらいの残酷さです。
いやあ、痛いですよ。痛いです。残酷というかシュールなのかもしれません。ロマンチックなタイトルとのギャップが哀しい限り。

ちなみに私はラストで明かされる(これがミステリとしてのオチなんだろうな)ナツキの両親のことを「ひどい!」と思ってしまいました。
ナツキに感情移入過多だったのか、それとも単に私が青いのか。
やっぱりこれはミステリというよりは思春期少女小説だと思います。

夏の魔法 夏の魔法
北國 浩二 (2006/10/24)
東京創元社

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