FLCL(フリクリ)/2000/GAINAXGAINAX作品ということで見てみましたー。
とはいえ結構前の作品なんですね。8年前か・・・しかしこの作品に時代とかそういうのは全く関係ありません。空前絶後というか荒唐無稽というか、海外受けがよかったというのもなるほどなあと思わせる独特のテンション。日本のいわゆるストーリー漫画とか様式美とか定型文的コメディの文法をあえて無視したような作風は、好き嫌いがわかれるかもねえと思いました。
あらすじを書くのすら無理なんですけど、一応挑戦してみます。
主人公のナオ太は小学生の男の子。
ちょっとクールでひねた性格の彼は、野球が得意で憧れていた兄は海外へ行ってしまって以来、ますますひねていた。そんな彼をかまいたおす女子高生・マミミは、実はナオ太の兄の彼女だった。戯れに触れてくるマミミの真意をつかめないナオ太、そして何故かいつも一人でいるマミミの前に現れたのは、べスパを乗り回す謎の女・ハルコ。
ナオ太はハルコのべスパに轢かれてしまい、それから間もなく、頭部に謎のコブが出来てしまう。そのコブは突然巨大化し、なんと、「ロボットが頭から生えてしまった」のだ。
何故かナオ太の家に住み着いたハルコとロボットは、それまで平穏だったナオ太の日常をぶち壊す。ハルコにはハルコの目的があるらしいのだが、それにはナオ太が必要らしい?
めまぐるしく動く映像とかき鳴らされるギターの音が妙に耳に残る、奇天烈で滅茶苦茶で途方もない馬鹿騒ぎのような、いかにもGAINAXらしいトリッキーな作品。
という・・・ああ、やっぱりあらすじにならなかった。
まあ説明するのが難しい話ですよ、ということで。
急に静止画になったりコミック画面になったり過剰なまでの演出が凝らされていて、1話ごとを見終わるたびにとてつもなく濃密な30分をすごした気になってしまったのですが、でもそんな「狂乱」といえるほどの無意味な暴走馬鹿騒ぎの中に、実は1本芯の通った「テーマ」があるのじゃないかしら、と思えました。
それは例えばナオ太少年の勇気だったり、マミミの抱える心の闇だったり、子供らしからぬ同級生・ニナモリの持つ子供らしい悩みだったり。
ものすっごく変化球に見せかけてるけど、その実ド直球、という印象です。
実は立派にナオ太という少年の成長物語なくせに、それを素直に前面に出せなくて、照れくさくて、過剰な演出で目くらまししているというか、そんなところにGAINAXっぽさを感じました。
私のGAINAXイメージは、永遠の中二。
そんなかんじなんです、間違ってますかね?ちなみに褒めてますよ。
それから監督は鶴巻和哉、脚本は榎戸洋司。
私、榎戸さんてウテナで名前覚えたんですけど、ホスト部もシリーズ構成と全話脚本担当されてるんですよね。あれで上手いなー!と思ったんです・・・榎戸さんが脚本書いたマクロスとか見たかったな・・・あ、話がそれた。
声優さんも耳に残ります。
ナオ太の父役に松尾スズキ。松尾ちゃん!こんなところでも仕事してるんですね。
元・アニオタとしては、アニメなぞには極力職業声優さんを起用してほしいのですが、でもアニメ声優さんたちで固めた中に、ひょっこりアニメ声じゃない人が入ることによって、その人だけが浮き上がるとかそういう効果が出ることがありますよね。
トトロの糸井重里とか、ウテナのミッチーとか。
フリクリでは松尾ちゃんもでしたけど、ハルコの声ももの凄く耳に残りました。思わず「チィーッス、ハレバレハルコでーっす」というセリフが口をつきそうになるくらいに。
好き勝手暴走してるようで、見終わった後には何かメッセージを受け取ったような気になるような作品。最終話の最後の展開はちょっと予想外で、でも、なるほどなぁと思ってしまうラストでした。
全編に the pillows の音楽が使われていて、音楽もかっこいーのです。
毎回出てくるゴイーンってギターの音も強烈で、ギターというのも重要なポイントになってます。
音楽と、ギターと、少年の勇気と、少女の強さ。
余計な枝葉を落としてしまえば、そういうものが残るのじゃないかと。
そう思わせてくれる作品なんですけど、きっと、そんなことを考えながら見る作品じゃないんですよ。
大人たちの悪ふざけと大暴走を、頭を空っぽにして見る話。
それが全て。それでいーんです!
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