フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2008-05-31-Sat-22-45

ヴィレッジ

ヴィレッジ/2004/アメリカ

昨日の金曜ロードショー作品。
劇場公開時のCMで、勝手にホラーだと思っていたのですが、そういうわけではなかったですね。
透子さんの「別に怖くないし面白かったよ」という話を思い出したので見てみました。
うん、これはホラーではなくてミステリですね。

とある鄙びた村が舞台。
緑豊かで牧歌的な村には心優しい人々ばかりが住んでいたが、ただひとつ、この村は周囲の世界から完全に隔絶されていた。
村の周囲を取り囲む森には「魔物」が潜んでおり、村人は森に入ることを禁じられていた。魔物は恐ろしい生き物だが、村人が森へ立ち入らなければ魔物が村人を襲うことはないのだという言い伝えが信じられているのだ。それは村人と魔物との「取り決め」なのだと。
しかしある日不幸な事件がおこり、その森を抜けることを提案する者が現れる。青年・ルシアスは、村に存在する数々の謎を疑問に思う、ほとんど唯一の人間だった。
森を抜けて町へいこう、町にはたくさんの薬があるはずだ、それはこの村のためになるはずだというルシアスの主張はしかし、村の年長者たちから頑なに拒否される。
果たしてこの村には何があるのか?
森に住む魔物の正体とは一体何なのか?
そしてルシアスの身に悲劇が起こった時、彼のために森抜けの決意をしたのは、婚約者である盲目のヒロイン・アイヴィーだった。


あれ、半分くらいネタバレしてしまったかもしれない・・・
あまり期待せずに見だしたのですが、意外と面白かったです。純粋に、「あ、そういうことかぁ」と。
途中から物語の枠が見えてもきたのですが、それでも最後まで飽きずに見れましたね。
ところどころ突っ込みたくなるところもありましたが、それが逆にリアルというか、「これが現実でもありうることだったらどうなるかなあ」という風にも感じさせられたりして、ちょっとゾクっとしたりも。

魔物が怖いとか暗い森が怖いとかではなく、人間が自分たちの理想のために他のものをどれだけ犠牲にできるのか?という点からいえば、本作は確かにホラーかなという気もします。
年長者たちの行為は私にはエゴにしか思えなくて、この作品自体好き嫌いはあるかもしれないけど、私的にはその苦さというか、気味の悪さが適度で面白かったです。

ヴィレッジヴィレッジ
(2006/07/19)
ホアキン・フェニックス

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2008-05-27-Tue-23-37

白泉社の少女漫画とは

面白い記事を見かけました。
http://www.nttpub.co.jp/webnttpub/human/013/19.html

ライターの川原和子さんは、ちょっとだけ上の世代の漫画ライターさんです。
たまにブログも見ているのですが、なかなか面白かったり共感できたり。
で、この川原さんが上記の連載コラムで

「少女時代に白泉社の少女マンガを読み始めた人は、マンガを <卒業> しない。おとなになっても、ずっとマンガを読み続ける」。
 ・・・以前、ある方から「川原さんと同世代のマンガ好き女性が、こんなことを言ってたんですよ」と聞き、思わず「なるほど!」とうなづいてしまった。たしかに、白泉社の少女マンガには独特のカラーがあり、そこに一度「ハマった」人は一生マンガを読み続ける、という説には、周囲を見回しても自分自身を振り返っても、一定の説得力があるのだった。


という記事を書かれているのですが、これには漫画好き女子の端くれである私も思わずうなずいてしまいました。
確かに高校生になっても大学生になっても漫画に一喜一憂してる仲間は大概白泉社を読みこなしていたような気がします。私自身も中学生~高校生の頃に読んでいた漫画といえば、まず白泉社ってかんじでした。

よしながふみや三浦しをんが「白泉社の漫画は他の出版社の少女マンガとはちょっと違った」、「恋愛が主題ではなかった」「今で言うところの萌えだ」というようなことを言っていた時も「うんうん!」と思ったのですが、今回のこの説にも「うんうん!!」です。
(もっとも、元々白泉社漫画への思い入れがあるからこそこういう記事にも引き寄せられるのでしょうけど。思春期の呪いってやつですね)

白泉社作品は男性にもファンが多かったりして、そこのところもちょっと特殊なレーベルな気がします。
もっとも、花とゆめやLaLaを毎号楽しみにしていた時代からは遠くかけ離れてしまって、今どんな漫画が掲載されてるのかもあまり分からない年になってしまったことも事実なのですが・・・今の私には「メロディ」がちょうどいいかな、というかんじです。
2008-05-25-Sun-23-03

ばいばい、アース

ばいばい、アース 全4巻/冲方 丁/角川文庫

冲方 丁の初期作品の再刊行。
元はなんとハードカバー2冊組、6000円相当だったそうで、勿論あまり一般受けはしなかったそうで・・・さもあらん。デビュー直後(といっても受賞から数年後)のラノベ作家にこんな扱いとは、どんだけ強気だったんですかね、角川さんたら。
もっとも一部評論家やコアなファンには熱烈に支持されたそうで、その後の冲方丁の八面六臂の活躍に繋がっていくわけですかね。

一般受けはせず、一部で大絶賛。
まあ確かにそんなかんじだろうな、と思わされる内容でした。
なにしろ世界観が特異です。
帯にハイ・ファンタジーとあるように、いわゆるRPG的な世界が舞台。

獣の特徴を備えた獣人が暮らす世界で、主人公のベルだけが何の特徴もないヒトだった。<のっぺらぼう>と揶揄される少女は、自身の「由縁」を求め、旅に出る。
背に背負う巨大な剣・<唸る剣>(ルンディング)とともに・・・・

というお話なのですが、うーん、こう書くとなんか普通ですね。
最終巻で大森望が解説していますが、枠組だけを見てみると意外とシンプルだと思うんですよ、ただそれが非常に芝居的というか暗喩的というか、もってまわって飾り立てた単語で構築されていて、わざと分かりにくくしているというか・・・ううん。
1巻は時間がかかりました。いったん入ってしまえば後は読み進められるのですが、この世界は受けつけないわって人も確実にいそうです。ファンタジー苦手、なれてない、という人にはしんどいかも。
『マルドゥック』シリーズよりも『シュピーゲル』シリーズよりも読みにくかったのは確か。
最後まで読んで、それで100%この物語を理解したか?といわれると「ごめんなさい」というのが正直なところなのですが、でも大意はつかめたと思うのです・・・・・多分。

これは一人の少女の自立と成長と出会いと別れ、
そして多くの人々の成長と目覚めの物語です。

ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)ばいばい、アース 1 理由の少女 (角川文庫 う 20-1)
(2007/09/25)
冲方 丁

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2008-05-24-Sat-21-44

ここはグリーン・ウッド 続報

実写ドラマ『ここはグリーン・ウッド』の主要キャストが決まったみたいです。

http://www.greenwood-tv.com/

うーん、見事に一人も知らない役者さんです・・・
スカちゃんは普通に格好よかったらダメだと思うんだけどちょっと可愛すぎやしませんかとか、光流先輩役の人はもっと見るからに王子!てかんじの人がよかったなとか、忍先輩はもっとこう一重の切れ長の目でとか、瞬はいっそ女の子でよかったんじゃないかとか、思うところは山のようにありますが、知らない役者さんばかりだと逆に先入観なしに入れるということでもあるので、逆によかったのかなとも思います。

あと出てきそうなのは弘兄とすみれちゃんと五十嵐ってとこですかね。寮生たちも出して欲しい。
希望をあげればキリがないのですが、ひとつだけ挙げるとするならば、

「寮は木造のボロっちい建物(もちろん二人部屋・二段ベッド)でよろしく!」

ということです。
もう建物さえ「緑林寮」であってくれれば、それだけでいいよ。
まかり間違ってもセレブなマンションみたいなとこは使わないで欲しいです。
あの「場所」、あの「空気」こそがグリーン・ウッドなのだから。
2008-05-21-Wed-23-00

灰羽連盟

灰羽連盟/2002/TVアニメ

友人からオススメされたアニメを見てみました。
『灰羽連盟』、結構有名?一部で有名?な作品らしいですが、教えてもらわなかったら多分手を出さなかっただろうタイプのアニメです。どうもありがとう。

さて本作は2002年にTV放送された作品ですが、全13話と短く纏められています。
元々監督である安部吉俊の同人誌が原作らしく、その世界観は非常に独創的でした。

国も時代も特定されない、高い壁に囲まれたとある街が舞台。
そこは人間と灰羽(天使の輪を頭に戴き、背中に小さな羽をもつヒト)が共存する世界で、主人公のラッカは灰羽が暮らすオールド・ホーム(旧校舎)で生まれます。
灰羽は繭から生まれますが、生まれた時の姿はすでにある程度成長したそれで、ラッカは10代の少女の姿でした。繭から生まれた時にはそれ以前の記憶を総て失っており、ラッカはまっさらな状態で「灰羽」として生きることになります。
オールド・ホームに暮らす、優しく暖かな灰羽の仲間とともに。

という・・・まあ、ファンタジーといっていいのではないでしょうか。
しかし作中における
「灰羽」とは何か?何故天使を模した格好なのか?灰羽は何故管理された(あるいは保護された)生活をしているのか?灰羽はどこから来て、どこへ行くのか?「壁」とは何か?その向こうには何があるのか?「罪」とは何か?「巣立ち」とは何か?
などなど、沢山の謎は、はっきりとした言葉では最後まで明かされません。
「灰羽」という天使のような存在(だけどそれは決して天使ではなく)に仮託した「人間とは何か・生きるとは何か」というテーマ論のような物語、だと思いました。
薄くて可愛らしい絵柄・まったりとしたペースだけを見て安易な「癒し系アニメ」だと思ったら大間違いです。かといって欝というほどでもありませんが、段々と登場人物の内面が描かれるに従って、序盤のヒーリング的な雰囲気からは遠ざかっていきます。

結局灰羽とは何者だったのか、
壁とは何だったのか、
罪とは、
巣立ちとは、
という謎についての答えは出ません。
きっと見た人の数だけ答えがあるのでしょう。どんな答えも正解であり、絶対の正解ではありえないと思います。

個人的には、うーん、狙ってるとこは分かったよ。というかんじでしょうか。
最後まで主人公があんまり・・・でした・・・(ああ、ごめんさない)。全13話と短い話なのですが、もっともっと短くして登場人物も減らして余計な枝葉を落としたほうがギュっと濃密な話になったんじゃないかな、などと思ってしまったり。それじゃTVシリーズにならないか。
(でもこれがTVアニメだったってことがひとつの驚きです)
多分見た時の精神状態がおおいに関係する作品だと思うんですね、もし思春期に見ていたら心に突き刺さる作品になっていたような気もします。10代の時にリアルタイムで見ていたら忘れられない作品になったんじゃないかなー、と。
外国でも評判のいい作品のようです。自己探求の話だからかなーと思いますが、あちらの宗教観にマッチする部分があるからかしらとも思ったり。
寓話的で、細かな設定のひとつひとつに何らかの暗喩が隠されているような物語です。
「大人の童話」なんて呼ばれ方もしているようなので、そういうのに弱い方は必見かと。
私は「思春期の少年少女のためのお話」かなと思いました。

灰羽連盟 COG.1灰羽連盟 COG.1
(2002/12/21)
広橋涼野田順子

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もっと短くても・・・と言ったけれど、逆に主役を入れ替えた別シリーズをもう何パターンか見せてくれても面白かったかなぁ、とも思います。
灰羽とは何だったのか?あの街は死後の世界か、あるいは生前の世界か・・・
答えはまだ見つかりません。
私はこう思ったけど、あなたは?と、誰かに問いかけたくなる作品でした。
2008-05-19-Mon-22-52

クラゲの海に浮かぶ舟 かめくん

クラゲの海に浮かぶ舟/北野勇作/徳間デュアル文庫
かめくん/北野勇作/徳間デュアル文庫


最近アニメと漫画の感想ばかりですが、一応本も読んでました。
とはいえレーベル的にはラノベです。でもこれはたぶんラノベの定義(少なくとも最近のラノベ)からは大幅にはずれているんだろうなと思います。SFですね、SF。

日常の中に潜むシュールさとか、不条理さとか、
世間を斜めに見て小馬鹿にしているような捻くれた物言い(といいつつも実はこちらが小馬鹿にされているのかもよ、という見方も勿論作者は備えているのですが)とか。
SFといっても宇宙ロマンなスペースオペラものではなく、それでいて実はたいそうスケールが大きいのかもしれない・・・と思わせるような作風でした。

クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)クラゲの海に浮かぶ舟 (徳間デュアル文庫)
(2001/09)
北野 勇作

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かめくん (徳間デュアル文庫)かめくん (徳間デュアル文庫)
(2001/01)
北野 勇作

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読みやすい文体なのに、読みすすめるうちに段々混乱してくるという魔法にかかってしまったり。
えすえふの壁は厚い。
2008-05-18-Sun-22-01

マクロスF 第6話・第7話

最近マクロスFが楽しみでなりません。
録画して、2回とか3回とか普通に見ちゃってます。だって燃え燃えなんですよ。

特に先週の第6話から今週の第7話にかけての盛り上がり方が、もう、最終回かよみたいな。
スタッフ陣、自分で自分の首を絞めているというか、自分たちで勝手に最終回のハードル上げまくってるとしか思えない盛り上げ方ですね。いやーすばらしい。デカルチャー。

マクロスFのどこがいいかって話を友人とした時に、そりゃ勿論音楽(菅野よう子!)だとか、あまりデフォルメの激しくない綺麗な絵柄だとか、戦闘シーンの力のいれっぷりだとかいろいろ要素はあがったのですが、とりあえずの結論としては

「戦闘部分と恋愛部分の比重のバランスのよさ。
変に重苦しくなったり高尚ぶったりしないところ。」

だろう、というところに落ち着きました。

極端に偏ったり過剰になったりしないところが安心して見られるポイントだと思いますね。
ちょっと前の良きアニメの雰囲気(エヴァ以前はこういう明るい雰囲気のリアルロボットものばっかだった気がするのに今は新鮮だ!)に浸っていられるんです。
そういう意味ではわりとファンの年齢層は高めなのかもしれない。
昔はアニメ好きだったけど、最近のはちょっとどうもねーって言ってる人にこそ見て欲しい、
いや勿論若いアニメファンにも直球で楽しめる作品だと思いますです、はい。
(あ、あとはテーマの明快さもポイントに入れるべきかな。正直セブンの時はよく分からないまま話が進んでいったのですが、今回のFは分かりやすくて非常によろしいです)


マクロスF(フロンティア) 1 (Blu-ray Disc)マクロスF(フロンティア) 1 (Blu-ray Disc)
(2008/07/25)
中村悠一、遠藤 綾 他

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このままのテンションを保ち続けてくれれば私の中では殿堂入り決定なんですけど、中だるみしたり作画崩壊したりしないかな・・・というのが不安でもあります。
頼みますよ河森総監督・・・!
2008-05-15-Thu-20-33

ここはグリーン・ウッド

『ここはグリーン・ウッド』が実写ドラマ化だそうです。

公式ページはこちら→http://www.greenwood-tv.com/

喜ぶとか不安とかいう以前に、心臓止まるかと思いました。
 
20周年記念企画にしてはすごすぎるよ那須先生。

まさかこんなタイミングでこんな爆弾がくるとは思ってもみなかったよ。

・・・・ちょっと、今頭が真っ白で、何も言葉が浮かびません・・・・。
今までの人生で一番繰り返し読んだ漫画ですからねぇ。思い入れも尋常じゃないもの。
『山田太郎ものがたり』や『花ざかりの君たちへ』『有閑倶楽部』なんて引き合いにだすまでもなく、少女マンガ原作のドラマはとんでもないことになりますから・・・・うーん、でもどんな作品を持ってこられても、原作ファンとしてはアイタタタな出来に見えてしまうのかな。
だって忍先輩に光流先輩に瞬にスカちゃんに弘兄だしすみれちゃんだし五十嵐だよ?ああ、栃沢だって戸丸だって渡辺だって藤掛だってゲーセンズだって大好きなんだ!

キャスティングも未発表の段階なのですが、せめて、「別物にするならとことん別物にしてくれ」と言いたいです。そのほうがいくらかすっきりする。
歌もアニメ版も好評価だったGWの黒歴史にならない作品になるといいな・・・と懇願するばかりです。

誰か・・・嘘だと言ってくれ・・・。

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ああでもせめてテーマソングは「ノーブランド・ヒーローズ」で!
2008-05-14-Wed-22-10

Jの総て

Jの総て/中村明日美子/太田出版

マリリン・モンローに憧れた少年は、やがて、モンローになった。
という、なんともショッキングな作品を友人から借りました。耽美ロマン『Jの総て』全3巻です。

耽美・・・他にいい言葉が見つからないのですが、やはり耽美というしかないのでしょうか。
60年代アメリカ、トラウマの生い立ち、孤児院、寮制男子校、ショーパブ、刑務所、そして運命の再会・・・・と、ドラマチックな要素まみれのドラマチックな“とあるオカマの一代記”なのですが、最後まで一気に読み通した感想そしては、なんだかそういうロマンス作品を読んだようなうっとりとか湿っぽい気分になりませんでした。
ちょっとドロドロして陰鬱で繊細ではかなげで切なく美しいのが私的「耽美」イメージなのですが、『Jの総て』は、モチーフだけを見ればいかにも「耽美」なはずなのに、なんでかそういうステレオタイプな「耽美」という言葉に当てはまらない気がしました。
(今時ギムナジウムなんて、それだけで古典というかJUNEなかんじだのに)
それはやはり主人公の「J」が、妙にたくましいからではないかと。なよなよオカマキャラで、いじめられたり悲惨な経験もしているはずなのに、基本的にはわが道を行く俺様タイプだから、かなぁ。どちらかというと学校の先輩・ポールのほうが悩める若人してます。同じく学校の先輩・モーガンもJにとってはいい兄貴ぶりでしたし。

絶対的にマイノリティである自分を「でもこれが自分だ」という風に割り切って認めた上で、だからこそ「いかにして生きるか」というように、目線が常に前向きなんですね。
そんなJやポールの行く手には、頑張っただけの結果としての将来が待ち構えているし。

過去やトラウマや恵まれない現状を愚痴るだけの欝漫画に陥っていない、なんとも強気でたくましくて風変わりだけど面白い青春物語でした。最後はちょっと甘すぎるかも・・・というかんじがしなくもないですが、でも良かったです。皆、お幸せに!

Jの総て (1) (F×COMICS)Jの総て (1) (F×COMICS)
(2004/06)
中村 明日美子

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透子さんいつもありがとう。
2008-05-12-Mon-22-01

暁斎展&ローランサン展

もう先週ですが、京都国立博物館の河鍋暁斎展と、サントリーミュージアムのマリー・ローランサン展に行ってきました。

河鍋暁斎は大学で江戸後期の文化を調べてみたときに引っかかった画家で、前々から興味はあったんです。だってこの人えらく面白い絵ばっかり描いてるんですよ。
気が遠くなりそうに緻密で繊細な絵を描くかと思えば、今までの人生で最大サイズの豪快な絵(というか、幕)があったり、執拗なまでの幽霊画があれば、ユーモラスな妖怪画があったり・・・面白い、面白い。全体的に「悪ふざけ!」ってかんじでしたが(そこが好き)、個人的には亡き少女への追悼として描かれた絵巻が印象的でした。美しい姫の前には閻魔様も形無しで、お供と一緒に賑やかに極楽へ参ります。うん、そういう道行ならば、姫も寂しくはないですね。
京博はいつも面白い人を取り上げます。

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マリー・ローランサン展は友人の誘いで行ってみたのですが、こちらもガラリと違う趣でよかったです。
ぼんやりとした少女趣味的な絵のイメージしかなかったのですが、マリーという一人の女性の人生もなかなか興味深く・・・でも絵のトーンはわりと初期から固定されてますね。
なんというか、今までなんとなく浮世離れしたロマンチックな絵だなあとしか思っていなかったのですが、実はあの画風こそがローランサンの内面世界なのではないかとも思えました。
あと、最後の売店で妙齢のオバサマ方がたくさんグッズを買っていかれるのが妙に目に付きました。やはり女性に訴えるものがあるんでしょうかね?

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2008-05-11-Sun-23-21

狐笛のかなた

狐笛のかなた/上橋菜穂子/新潮文庫

久しぶりに一気読みした本でした。
『精霊の守り人』の上橋菜穂子著、真っ向からのジャパニーズ・ファンタジーです。

主人公の少女・小夜は、里から離れた家に祖母と二人で暮らしていた。里人からは寂しかろうと言われるが、それは小夜にとって心地よい生活だった。小夜には不思議な力があり、他人の心の声を聞くともなしに聞いてしまうことがあったからだ。
そんな小夜はある日、犬に追われている子狐を助けてしまう。
傷ついた狐を自らの着物のうちに入れ、犬たちから逃げるものの、子供の足では限界がある。それを助けてくれたのは、里人も近寄らず、秘密に包まれた大屋敷の住人・小春丸だった。
聞けば小春丸は故あって屋敷から出ることを許されず、もう長いこと不自由な生活をしているのだという。小夜は、自分でよければいつでも遊びに来るといい、大人の目を盗んで屋敷に通うようになる。
しかしそれも屋敷に住まう大人たちに知られることとなり、小春丸は小夜に別れを告げる。小春丸のことは絶対の秘密でなくてはならないのだ。
二人のことは、小夜と小春丸、そして子狐だけが知る事実として封印された。
それから数年後、すっかり小春丸のことは思い出となった小夜は、自分のことと亡き母のことを知っているという兄妹と出会う。そしてその時から、平凡な田舎娘として生きてきた小夜の人生が変わってしまうのだった。かつての子狐と、小春丸とも交わる人生へと。

という、物語です。
元々児童書として刊行されたそうですが、なんのなんの!
骨太ファンタジーとして、大人でも十二分に楽しめるエンタテインメント小説として仕上がっています。うっかり夜更かしして読み通してしまうほどに。いやあ面白かったです。
ページ数にするとそう枚数が多いわけでもないのですが、長い長い話を読み通したような満足感が得られます。別世界にトリップした気分にもなれますし、これは老若男女問わずオススメ。

とりあえず、野火(狐)が最高に格好いいのです。
うーん、惚れた!

狐笛のかなた (新潮文庫)狐笛のかなた (新潮文庫)
(2006/11)
上橋 菜穂子

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実は『守り人』まだ読んでないのですよ。
もりもりと楽しみになってきました。
2008-05-07-Wed-22-34

車輪の下

車輪の下/ヘッセ 井上正蔵・訳/集英社文庫

連休中に帰省していたのですが、手持ちの文庫が尽き、実家の本棚に放置していたものを読んでみました。92年出版の集英社文庫で、表紙が萩尾望都御大のものです(画像が出なかったので、下のは代用です)。
車輪の下→ギムナジウム→萩尾相乗効果、というわかりやすい思考展開でとりあえず買ってみたのは高校生の時くらい?それから今まで、はや何年ほうりっぱなしだったことか・・・この年で初読というのもちょっと恥ずかしいような気がしましたが、でも読んでよかったです。

読んだことはなくてもトーリーだけは知ってるよ、という人も多いのではないでしょうか。

村一番の賢い少年だった主人公・ハンスは、厳しい詰め込み教育を経て、見事神学校への入学試験に合格します。周囲の期待に応えることを喜びと感じ、合格後も勉学に励むハンス。彼の前にはエリートへと繋がる輝かしい道が敷かれているはずだった。
しかし入学した神学校で、自分とはまったく違うタイプの少年・ハイルナーと出会う。
ハイルナーは天才肌と噂の少年だった。文学と音楽と自由を愛し強制を嫌う彼は、ハンスにとっては衝撃であり、何よりの魅力だった。
ハイルナーの影響を受け始めたハンスはもうそれまでの優等生ではなくなってしまう。周囲からの心配する声も耳に入らず、そして自分でそれに気づき始めたときにはもうすでに手遅れだった・・・

という、世界的青春物語です。
エリート教育のイメージが強いドイツですが、これはどこの国においても普遍的にありえる青少年の悩み・挫折だと思います。だからこその世界的名作でしょう。
ハンスのように特別な優等生ではなくても、どこか共感できるところはあるのでなないでしょうか。少なくとも私は結構共感したと思うのですが、でも読みながら「おいおい君の気持ちも分かるけどね、でもそれでどうなるの、君の将来はどうなるの?」と突っ込みたくなってしまった私はすでにハンスよりも神学校の教師たちに近い存在になってしまったのでしょう。

それはちょっと悲しいことだけど、でも仕方のないことかな、と思います。

車輪の下 (集英社文庫)車輪の下 (集英社文庫)
(1992/01)
ヘルマン ヘッセ

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思春期文学のイメージが強いために「中・高校生くらいで読んどくべき」と思い込んでいた本作ですが、大人になって読んでみると、また違った読み方が出来る作品でもあるのでは。
あらすじだけは知ってしたものの、ラストを知らなかった私は、結構びっくりしました。
ハンス・・・・。
2008-05-02-Fri-23-43

群青学舎 三巻

群青学舎 三巻/入江亜季/エンターブレイン

時代や国や世界を超えて人々の営みを書き連ねる短編集も3巻目。
相変わらずバラエティに富んでいるようですが、なんとなく「入江ワールド」が分かってきたような気になってきました。現代日本・一昔前のヨーロッパ風(英国?)・中世お姫様ファンタジー、ってのが基本なのかな、と。勿論どれも好きですよ。

今回のどの作品も好きでしたが、上手いなーと思ったのは『薄明』でした。
不治の病をわずらう少年と、それを傍で見つめる少女・・・なんて、いわゆるケータイ小説にでもありそうな「泣かせ」設定なのに、ただそれだけの設定しか語られない少年少女二人の話を、なんとも読み応えのある短編に仕上げたものだなー、と。
これは絵の上手い作家さんの手腕ですね。漫画は勿論絵だけの表現方法ではないけれど、でもやっぱり「絵」って重要だよなー、と思ったのでした。

群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)
(2008/04/25)
入江 亜季

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4巻も楽しみです。


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