フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2008-03-26-Wed-23-11

彼女のこんだて帖

彼女のこんだて帖/角田光代/ベターホーム出版局

角田光代が『月刊ベターホーム』誌上で連載していた、「料理」をテーマにした連作短編集。
登場人物たちがおいしそうに食べるのは勿論、料理を作る動機・過程を小説の中に盛り込んだ、まさしく「料理小説」といえます。

角田光代は元々料理をする人ではなかったそうです。
母親が料理上手だったこともあり、20代半ばで一人暮らしをはじめるまでご飯の炊き方もおぼつかなかったとか。それがある日小説に行き詰ったことをきっかけに料理本を片手に台所に立つようになり、今やこんなに美味しそうな料理小説をお書きになるほどに・・・。
元々の料理好きではなく、全く料理に興味のなかった時期を過ごした人だからこそ、こんなにバラエティに富んだ料理短編を書くことが出来たのかなぁ、と思います。

恋人に振られたOLの週末一人ご飯、ラム肉ステーキ。
家庭崩壊寸前の男子高校生作、手打ちうどん。
食道楽なお一人様女子の食卓旅行、タイ料理。
同棲カップルの最後の晩餐、松茸ご飯。
妹のために生地から練り上げる、特製ピザ。
秒速失恋少女が作る、必殺クッキー。
妻に先立たれた夫が懐かしむ味、豚柳川。

老若男女、様々な登場人物による料理物語です。
女が作り、男が作り、主婦が作り、独身貴族が作り、学生が作る。
料理というのはお母さんがしなくてはならないものではないし、誰かのために作らなくてはならないものでもない。「作りたい人が作ればいい」という、しごく当たり前なことが、本書では自然と語られています。それがよかった。(例えば、もしこの本が「恋する女のラブレシピ!」みたいなうたい文句の本だったとしたら、まず私は読まなかったでしょう。)

角田さん自身もあとがきで言っています、私はおふくろの味というものを信じていない、と。
角田さん自身の母親は料理上手であったそうです。料理をしない娘が料理に目覚めたころから、「料理」を媒介として、母娘関係が良好になったとも語られていますが、それは別に、母と娘という間柄が生み出した深い絆ではなく、料理というものそのものが二人の女の共通項だったからだと。

「私が味わった多くの料理は、単なる食べものではなくて、たまたま私の母であった女性と、たまたま娘であった私との、関係のひとつなんだと思っている」
と、いうように。

家族だから、とか、恋人だから、女だから、男だから、とか。
そういう風にカテゴリ分けする以前に、人は一人の人間であるということ。独立した存在であり、一人で居る自由と権利があるのだということ。・・・なんというかな、人や人間関係を勝手な雛形に入れてしまわないというか、そういう目線が感じられる気がして、読み心地の良い本でした。
角田さんのポリシーがそういうことなのかな、と思います。

彼女のこんだて帖彼女のこんだて帖
(2006/09/01)
角田 光代

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小説内に登場する料理のレシピもついて、一冊で二度美味しい本です。
これなら作れるかな、という簡単料理もあったので、頭の中にメモしておきます。
ちなみに黄色が印象的な表紙は魚喃キリコのイラストです。
ハルチン2は、まだなのかな・・・・
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2008-03-24-Mon-20-08

トップをねらえ2!劇場版

トップをねらえ2!/2006/GAINAX

宇宙パイロットに憧れて家出をした主人公・ノノと、特殊能力を使い、バスターマシンとともに宇宙怪獣と戦う「トップレス」と呼ばれる少年少女の一人・ラルクとの出会いと戦いの物語。
「ノノリリ」という伝説のパイロットに憧れる少女・ノノは、自分よりも小柄な少女・ラルクによって窮地を救われる。感激したノノはラルクを「お姉さま」と呼び、熱烈に慕うようになる。
宇宙パイロットになって、ラルクとともに戦うのだと願うノノ。しかし彼女には、自身ですら忘れ去ってしまった秘密があった・・・

GAINAXの20周年記念で制作されたOVAシリーズだそうです。
『トップをねらえ!』から1万2千年後が舞台の、当然熱血SFロボット作品。
とはいっても庵野は一部絵コンテを担当したのみで、ほぼノータッチだったとの話もあるようですが、それでも監督・鶴巻和哉(エヴァ)、脚本・榎戸洋司(ウテナ)、キャラデザ・貞本義行(エヴァ)、音楽・田中公平(サクラ大戦)・・・等等、磐石の布陣。あ、魔砂雪や樋口真嗣の名前もありました。

劇場版のみ鑑賞、OVA版未見ということで、やや分かりにくい点もありました。
トップレスとバスターマシンの関係って?とか。そもそもバスターマシンって、あれはすでにマシンじゃなくないですか?マシンなの?ウィキで確認したら「トップレス」は超能力少年少女だとあり、じゃあやはりあれは純粋な機械製品ではないのだろうと納得したのですが・・・
あとは絵も、最初貞元絵だとは思いませんでしたね。ちょっと萌え系?のような。丸っこさを感じてしまって、「違うだろ!GAINAX、プライドもてよ!」と思ったのですが、そのクオリティの高さとともに、次第に気にならなくなりました。ちょっとグレンラガンに近い雰囲気でしたね・・・
まあそんなところもちょいちょいあったのですが、ラストになるにつれてぐいぐいと引き込まれていきました。

惑星を敵にぶつける!最終決戦兵器・地球を牽引しろ!
って、スケール大きすぎだろ!グレンラガンかよ!と思わせるような展開に「GAINAX節」を感じたり。やはり熱血・根性が主題なのですが、それとともに今回は「大人になったら力を失ってしまう少年少女の恐れ」、「力を失ってしまうことへの絶望」というものもテーマとして描かれていたように思います。
個人的な印象としては熱血ぶりは『トップをねらえ!』にやや劣るかな、でもそのかわりこっちには繊細さがあるね、というところでしょうか。露骨なファン受けを狙ったパロディSF大作『トップをねらえ!』に比べると、『2!』のほうがやや真面目なかんじがしました。
最初、一瞬だけでも萌え路線かと思って、ごめんよ。パンチラがあっても、斜め下からのアングルが多くても、そんなのもう問題じゃないよ。

あと今回も声優さんがいい仕事されてましたね。
「お姉さま」ことラルク役の坂本真綾は自然な低音が凛としつつもナイーブでしたし、
ニコラ役の岩田光央(懐!)は変声期の少年のような声に存在感がありますし(ガンちゃん上手くなったなあ・・・)、
個人的にはカシオ役の山崎たくみさんも耳に残るいい声でした。

トップをねらえ2! (1)トップをねらえ2! (1)
(2004/11/26)
福井裕佳梨、坂本真綾 他

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そうそう、これは必ず『トップをねらえ!』を見た後に見るべきですね。
そうでないと「ノノリリ」の意味が分からないし、ラストの感動も半減です。
『トップをねらえ!』に続けて見てしまったために、ラストは尚更ぐっときました・・・
2008-03-23-Sun-21-06

トップをねらえ!劇場版

トップをねらえ!/1988/GAINAX

BSで放送された劇場版を見てみました。
OVA版ははるか昔に見たはずなのですが、設定こそ覚えていたものの、ラストにいたるまでの過程はすっぽり記憶から抜け落ちていて、新たな気持ちで見ることができました。
いやー燃えますね。

近未来の地球は危機に瀕していた。
人類滅亡の窮地に立ち向かうことができるのは唯一、巨大ロボット・ガンバスターのみ!
ガンバスターのパイロットであるタカヤ・ノリコは、「お姉さま」ことアマノ・カズミと共に、時間を超えた戦いへと向かう。亡き父のため、全人類のために。

という、わっかりやすいSFロボットアニメです。
タイトルからして某名作テニス漫画を思わせるものですが、それ以外にも膨大なパロディ要素を盛り込み、あえてのコテコテ熱血スポ根作品に仕上げています。
(岡田斗司夫いわく「むしろオリジナルなんかない」)

一世代上のアニメファンは「『トップをねらえ!』の元ネタも知らずに『トップをねらえ!』を語るな!」なんていわれそうですが、いやいや元ネタを知らずとも十二分に面白いです。
熱血!スポ根!努力と根性!というものを突き詰めた作品、大人が真剣にふざけている姿勢が、オタク心をくすぐります。

この年で改めて見直すと、色んなシーンが「あ、エヴァっぽい」とか「ナディアっぽい」などと感じられて、初期GAINAXの持ち味がてんこもりです。
スタッフ陣の本気の悪ふざけは勿論ですが、声優陣も魅力的ですね。なんといってもやっぱり日高のり子の絶叫でしょう。喉も嗄れよとばかりの少女の雄たけびって、なかなか聞けないものですよ。
あ、若本規夫もノリノリでよかったです。

見せ場に次ぐ見せ場、盛り上がりに次ぐ盛り上がり。
GAINAXの本領は萌えではなく燃えなんだって、改めて思わせてくれる一作でした。
まさかこれで泣くとは思いませんでしたよ・・・・。
機会があればOVA版もちゃんと見直したいです。

トップをねらえ! Vol.1トップをねらえ! Vol.1
(2000/11/25)
日高のり子、佐久間レイ 他

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ところでBSアニメ夜話ではじめて田中公平さんの顔を見たのですが、以外にお若かったのでびっくりしました。なんとなく、もっと年配の大御所かと・・・・庵野監督などと同世代なんですねえ。燃える音楽、すばらしいです。
2008-03-22-Sat-22-55

ゴールデン・デイズ⑧

ゴールデン・デイズ⑧/高尾滋/白泉社

階段から落下した瞬間に平成から大正時代へタイムスリップした高校生・光也と、大正の東京で出会った人々との長くて不思議な物語。見事8巻にて完結いたしました。
皆さんお疲れ様でした!(なんとなく敬礼)

幼い頃の誘拐事件以来、過剰な心配性になった母と対立していた光也は、ある日突然大正時代へとタイムスリップしてしまう。
大正時代の東京に移動してしまった光也を発見したのは、当時祖父と同居していた春日仁。
光也は若かりし祖父と良く似た容貌のために、「記憶喪失になった祖父だ」と思い込まれ、祖父が身を寄せていた春日家に引き取られることになる。
光也の祖父・慶光は実の両親を亡くしたため、亡父の親友であった春日の家に暮らしていたのだったが、春日の息子・仁は、友情というには度が過ぎる程の感情を慶光に抱いていた。愛情表現を隠すことなく接してくる仁に、光也は戸惑うばかり。しかし母が異国人であることから、家人からさえも差別的な扱いをうけて育ってきた仁の過去を知るごとに、光也もまた友情を感じていく。
しかし仁が自分に親しく接してくるのは、自分を祖父(慶光)だと思い込んでいるからなのだ、と、自分のせいではない事実に負い目を感じる光也。
そしてまた考える。自分は一体何のために大正時代へやってきたのか?
何かなすべきことがあるのではないのか?本来居るべきはずの若かりし祖父はどこへ消えたのか、自分を仁の居る時代へと飛ばしたのは祖父の意思なのではないか?

友情と家族愛と、それ以外の色々な親愛の念が織り込まれたシリーズです。
最初はコミカルだったのですが「大正」という時代柄、やがて来る関東大震災、そして第二次世界大戦が作中に影を落とします。先々に訪れる不幸を知っているのに、それを口に出せない光也の心情が切ない・・・・。
このたび8巻をもって完結ということで、実は途中で少々中だるみしたかな・・・と思う時もあったのですが、いやいやどうして綺麗にまとまりましたね。タイムスリップものや現実→異世界ものというのは大概主人公が元の世界に帰ってきてED、ということが多いように思うのですが、この作品はその後のエピローグ部分が長くて、泣かせてくれました。
(異世界から帰らなかったバージョンの『彼方から』もよかったけど)
私あまり漫画では泣かないのですが、これは結構涙腺にきましたね。戦争はダメよね、戦争は。

『ゴールデン・デイズ』は軽いBLとしても読める作品だな、ついに手を出したな高尾滋・・・(それも別に悪くはない)と思っていたのですが、最後まで読んでしまったら、仁の慶光に対する感情は、恋愛的な好意というよりも、やはり家族愛とか友情とかいうもののほうがしっくりくるような気がしました。
なんでしょうね、色恋ってかんじがしないんですよ。
すごく好きだから、その感情を分かりやすく表現すると「誰より好き」→「愛してる」→恋愛感情?という風になっただけであって・・・
仁にとって慶光は小さい頃から唯一無二の存在で、それは恋というよりも、幼い子供にとっての母親のようなものではないかと。そして慶光にとっての仁もまた。
そんな風に思いました。

慶光・仁・光也のスリーショットが見れたのは嬉しかったです。


ゴールデン・デイズ 7 (7) (花とゆめCOMICS)ゴールデン・デイズ 7 (7) (花とゆめCOMICS)
(2007/12/18)
高尾 滋

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8巻の画像が出ないので、とりあえず7巻の画像をあげてみました↑
高尾さんの次回作も気になるところ。
2008-03-17-Mon-23-31

ユーモレスク

ユーモレスク/長野まゆみ/マガジンハウス

主人公は2軒並びの借家に家族とともに暮らすデパガ、周子。
周子には年の離れた弟・真哉がいたのだが、小学生の時に行方不明になったきり帰ってこない。
年の近い姉弟がいる隣家とは弟の事件に少々の繋がりがあったこともあり、往来が途絶えてしまった。
しかし弟の事件から6年が経ち、隣家の姉・すみれが若くして亡くなったことから、再び隣家との接点が生まれていく。そう、隣家の姉・すみれはともかく、弟・文彦は真哉と大変仲が良かったのだ。

6年越しに語られる弟の思い出。
幼い弟の姿と、懐かしいユーモレスクの調べ。
人々はそれぞれの過去に別れを告げ、前へ進む。どんなに過去が愛しくても、後ろを向いたままでは生きていかれないのだ。

という、お話。
数年ぶりに長野まゆみの本を読みました。
高校生の時に同級生から勧められて読んでたっけな・・・という程度にしか読んでおらず、長野まゆみ的世界観はわりと好きだけど、そんなに熱心ではなかったというのが正直なところ。
正直、図書館でなんとなく借りてみただけの本だったのですが、

これが予想外によかった!

です!
時代が流れて、私の読み方・感じ方自体も変わったのでしょうが、長野まゆみの作風自体もちょっと変わったように思います。
この本の主人公も20代半ばの働くお姉さんで、芸術家でも学者でも高等遊民でもなく、恐らく都内近郊にあると思われる老舗デパートのネクタイ売り場勤務という堅実な職業についているんです。
漠然とした無国籍空間、無性のような美しい少年(たまに少女)、透明で硬質な繊細な世界・・・それこそが長野まゆみワールドだ!と思っていて、でもだからこそ長野まゆみ作品は一般受けはしないんだよなー、万年思春期少女世界なんだよなー、と思い込んでいたのですが、ちょっと離れている間に大変幅広い世界を描かれるようになっていたのですね・・・おみそれしました。
(いえ、長野作品には前から好きなのもあったんですよ。『鳩の栖』とか『上海少年』とか・・・偏ってる?)

この作品も、「長野まゆみだ」と知った上で読まなければ、長野まゆみだとは気づかなかったかもしれません。現代日本を舞台にした、生きている人間のお話、というかんじがします。(勿論多少のレトロ感や生臭さのないかんじ、十二分な繊細さ・ナイーブさはありますけども)
唯一「らしいな」と思ったのは、「ぢゃ」という仮名使い。これは譲れないこだわりなんでしょうね・・・

いやいや、長野まゆみであろうがなかろうが、なかなか好みの話でした。
現実ベースで、ちょっとだけ繊細な世界。ほんの少しだけ浮き上がったような、それくらいのファンタジー感が、この年になった私にはちょうどいいみたいです。
そうそう、やっぱり長野まゆみの表現する青年(少年)は魅力的でもありますし、ね。

ユーモレスクユーモレスク
(2003/02)
長野 まゆみ

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こういう作風でもいけるのなら、新たな読者層開拓にもなるんだろうけど、昔からのファンにとってはその変化というのは微妙な問題なんでしょうね・・・それもまた、分かるような気はします・・・
2008-03-16-Sun-21-03

ほかに誰がいる

ほかに誰がいる/朝倉かすみ/幻冬舎

16才のある日、えりは彼女に出会った。
駅のホームで見ただけの彼女。
一瞬視線があっただけの彼女。
その日その時から、えりの世界の中心は彼女になった。いや、彼女そのものがえりの世界になったのだ。
彼女の制服から同じ学校の生徒であると割り出したえりは、その後着々と彼女の名前、連絡先を入手していく。そして彼女と近い存在になれるように、自分が考える限りの努力をする。それは例えばクオーターの彼女に近い肌色になるために赤く腫れるまで日焼けしたり、ノートに繰り返し彼女の名前を書き続けたり、雨の日も風の強い日も休むことなく彼女の家の近くまで自転車で走ったり。
偏執的なまでの努力はしかし、すなわちえりの喜びでもあった。
やがてえりは彼女に「天鵞絨」というあだ名をつける。柔らかな響きの声をもつ彼女にぴったりの名前。

努力の甲斐あって、えりと天鵞絨はやがて自他共に認める親友になった。
天鵞絨が喜ぶように、楽しいように、望むように振舞うえり。そうすると天鵞絨はえりのことを好きだと言ってくれる。親友だと。でもそれだけではもうえりは満足できなかった。
もっともっと近くなくては、もっともっと重なりあうくらいに、もっともっとひとつになれるように。
しかしそんな幸せでいびつな日々も簡単に終わりを告げる。
好きな人が出来たの、という、天鵞絨の無邪気な一言によって。

という、恋というにはあまりにも激しくて暗くて恐ろしい「ひとめぼれ」の物語です。
えりの目には最初から最後まで天鵞絨しか映っていませんが、それはもはや「賀集玲子」という名の人間ではなく、えりの心の中にしか存在しない、賀集玲子の形をした「天鵞絨」という絶対的存在なのかもしれません。
タイトルが総てを物語っています。

16才で天鵞絨に出会うまで、えりの世界には何者もいなかった。
そして16才で出会ってからは、えりの世界には天鵞絨しかいなかった。
天鵞絨しかいない、天鵞絨しかいない、ほかに誰がいる?誰がいるというのだ?

・・・という。
乙女とは思い込みで暴走できる生き物だ、といったのは誰でしたっけ。
その定義によるならば、これは近年まれに見る乙女小説だと思います。
電波なまでの一方通行思い込み恋物語なのに、でもどうしてか、切ない純愛物語を読んだような気がするのです・・・・

ほかに誰がいるほかに誰がいる
(2006/09)
朝倉 かすみ

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自分以外の存在が自分の世界の中心になってしまう、そんな感情に襲われることって、本人は大変なのかもしれないけれど、それほどの存在に出会えたってことは、やっぱりひとつの奇跡といっていいのでは。激情と言うほどの、そんな激しい感情に襲われてみたいものだわ、と、思ったりもします。実は。
2008-03-14-Fri-22-40

古道具 中野商店

古道具 中野商店/川上弘美/新潮文庫

中野さんが営む中野商店は「古道具屋」だ。
アンティークショップでも骨董屋でもない、もっと庶民的で、ごちゃごちゃしていて、汚くはないけど綺麗すぎず、微妙に古いものを扱う店。主人公のヒトミはそこで働いていた。

中野商店に集う人間は他に3人。
店主の中野さんはいい年をしてふらふらとあちこちの女の人に手をだす男。
ろくでもないのに悪びれなくって、憎めない。
従業員のタケオはいまひとつ何を考えているのか分からない男。
口数少なく、セックスがあまり好きでないという。
中野さんの実姉・マサヨさん。芸術家なのか趣味人なのか、いつも何かを創作中。
最近男が出来たらしい。

いい年をした人間が集まっているはずなのに、どうしてかふわふわと地に足のつかない雰囲気のする中野商店。そんな中野商店の人やモノを中心に語られるのは、ほんの日常の中の1シーン。細やかだけれど、ありふれているのとは、ちょっと違う。恋愛のような友情のような、人と人との結びつき。

という、川上弘美の長編です。
長編なんだけれども、短編連作のような形式だったので、わりと細かく区切って読んでしまいました。
実は途中まではあまりのまったりさに、どこに焦点を絞って読んでいいか迷いつつ、「やばい、これ、まったりしすぎてるかも」と思っていたのですが、ラストでぐぐっと引き込まれました。
(まったりした雰囲気の漫画や映画やエッセイは大好きなのですが、あまりにもまったりした(特に)長編小説だとイマイチ入り込めない・・・・ということに最近気づいた)
ああ、いままで淡々と語られてきたエピソードの数々は、このラストの為の「タメ」だったのだな!ここまで引っ張ってきて、そういう蹴りをつけるのね!と、油断していただけに、真正面からパンチをくらった気分です。
感情移入の出来なかった各キャラクターそれぞれに、最後になってようやくしっくりと馴染むことが出来ました。
いやー、これは最後まで読んでこそです。ミステリでも大河ロマンスでもないのに、ラストでショックを受けた作品って珍しいかもしれない・・・まったりどころじゃない、ドラマチックなお話ですよ。うん、面白かったです。

古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)古道具中野商店 (新潮文庫 か 35-7)
(2008/02)
川上 弘美

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表紙も雰囲気あって可愛らしくて好きです。
ラスト近くのヒトミの心情「心配されることに困惑する、というのではなく、なんというか、これが世の中っていうものだったよね、という、現実に引き戻された感じ。ありがたいと思わなきゃならないんだけど、そのありがたさに妙な徒労感があって、お尻がもぞもぞする感じ」がすごくビビっときた一文で、そうそうそんなかんじ!と、すごく共感しました。
これはヒトミが簿記学校に行くために母親にお金を出してもらった時の感想なのですが、なんというんですかね・・・・親だし、身内だし、純粋な好意以外のなにものでもないんだけど、それを当たり前のように受け取ることに抵抗があるというか。なんというか・・・上手く言えません。照れくさい、というのともちょっと違う気がするんだけど、なかなか言葉に出来ない複雑な心理を、よくぞ表現してくれたものだと感嘆しきりです。
2008-03-11-Tue-23-37

放課後保健室

放課後保健室①~⑩/水城せとな/秋田書店

友人から送られてきた『放課後保健室』、一気読みしてしまいました。
休日まで待とうと思ったのに、よりによって平日、飲み会の終わった夜に1巻に手を出したのが運の尽き・・・結局深夜2時までかけて全巻読破してしまいました。でも後悔はしていない!

物語の舞台はとある共学高校。
主人公の真白は女子生徒から王子様のように慕われる人物だが、誰にも言えない秘密を抱えていた。それは遺伝子的に「上半身は男、下半身は女」という自分の肉体のこと。
男として生きてきたはずなのに、突如始まった月経。誰よりも男らしく、まさしく「理想の王子様」たらんとする真白を裏切るかのような自分の体。
精神的なバランスを崩しかける真白の前に現れたのは、一人の見知らぬ保健医だった。
保健医に導かれたのは、ベッドばかりが並ぶ地下保健室。そこで眠りにつく真白が見たものは、悪夢としかいいようのない夢の世界。
夢の中の校内(だと思われる場所)に現れるのは、雨合羽を纏うずぶ濡れの少女、顔も判然としない甲冑騎士、顔のない女子生徒、長いばかりの手、テディベアを抱えた幼い子供。
夢の世界では、生徒達は皆「真実の姿」で現れるのだという。そして真白の真実の姿は女子生徒の制服を着た自分だった。

果たして真白は「夢の世界」を無事卒業できるのか?
「夢の世界からの卒業」とは何を意味するのか?

という・・・・なんとも不思議な設定です。
ファンタジーに属するのかどうか。現実(リアル学校生活)と夢の世界と、両方ともに軸があるので、単なるファンタジーだと決め付けてしまうのもちょっと違う気がします。設定は突飛なのですが、最後まで読んでしまえば「ああー、そういうことかあ」と思いますね、きっと。

水城せとなといえば私的にはいまだに同人誌の人という印象が強いのですが(古すぎるか)、すっかり立派な少女漫画家になられましたね・・・。『同棲愛』や『鼠はチーズの夢を見る』も面白かったけど、この人は少々クセはあるけど可愛らしい絵柄に相反するような、ディープな人間関係やドロドロの愛憎劇が上手いんですよね。
私、痛い話は苦手なのですが、何故が水城せとなはオッケーです。
何故でしょう・・・根底に愛があるから、か?

ところで『放課後保健室』で『少女革命ウテナ』を連想したのは私だけでしょうか。
閉鎖的学園、限られた生徒だけが知る現実離れした空間、生徒同士の戦い、ほのかなエロス、鳥籠のイメージ・・・うーんなかなかかぶっている、と思うのですが。
ラストの締め方も綺麗だったと思います。でもこれは賛否両論なんでしょうかね?ある意味広げた風呂敷を破り捨てられたような気もしますが、でもこれほど不安定な世界をよくぞ10巻で纏めたものだと、そっちの印象の方が強いですね。というかアレ以外のエンディングが想像つかないですもん。

放課後保健室 (1) (プリンセスコミックス)放課後保健室 (1) (プリンセスコミックス)
(2004/12/22)
水城 せとな

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個人的には男たらんとしているくせに男になりきれない真白君の不安定さが色気があってよかったです。気を張っている優等生の、その足場を崩してみたい・・・と思うのは何なのでしょう。軽いSなのかな。
2008-03-08-Sat-23-06

堂島ロール

巷で噂の堂島ロール、初めて買ってみました。

とはいえ、橋の上まで何十メートルも並ぶ行列に並んだわけではなく、新しく出来たという肥後橋店でサクっと買ってきたわけで。楽でよかったんですけど、何故か反則した気になってしまった・・・。
堂島ロールをお買い求めの皆さん、本店に並ぶのも勿論楽しい待ち時間かもしれませんが、鬼のように行列に並ぶよりも、もうちょっと足をのばして肥後橋店に行かれるといいかもしれませんよ。そんなに遠くはないですし。(でもえらく回転がよかったから、ひょっとして待ち時間自体はそんなにないのかもしれないですね)

2008-02-26.jpg


噂通り、フワフワの質感でした。
生クリームもふわんふわんで、いくらでも食べれそう。余計な具材が入ってないとこがいいです!
あんまり食へのこだわりはない(わりと何でも美味しく頂ける)つもりなのですが、好みとしてはあんまりゴテゴテといろんな味がしているものよりも、素材で勝負!シンプルイズベスト!なものが好きなので、こいつはなかなかヒットでした。でも遠方への手土産や帰省時のお土産には持ち運び時間が難しいかな。
ただ一人暮らしの身には、一人で1ロールは・・・いや、全然食べれるんですけど。
一気喰いしそうで、ちょっと怖いなぁ。
2008-03-07-Fri-21-16

城の中

城の中/入江相政/中公文庫

昭和天皇に長く仕えた侍従長による随筆集。

学習院を卒業して学習院の教壇に立ち、そして推薦を受けて侍従の職へ・・・という、なんともやんごとない世界を感じさせる「入江さん」なんですが、この筆者がなんともキュート。
炎天下の視察中に気を失って軍人さんに「あいつはダメだ」てなことを言われたり、
地方巡行の最中、沿道に多くの人々が集まっているというのに猛烈な尿意に襲われたり。
自分自身を“宮内庁にあるまじきガラッパチ”なんて言っちゃってますが、いえいえどうして「愛されキャラ」ですよー入江さん!と声高に叫ばせてほしいくらいに素敵なお人柄。
こういう人が上司だったら、同僚だったら、なんとも楽しかろうなあ!と思います。
祖父よりも年上である、と思えばもっと古めかしくてもいいくらいなのに、何故かちっとも古くささを感じない軽妙な語り口。昭和云々、天皇陛下云々、ということは抜きにしても楽しい随筆集です。

でも入江さんが語る「昭和天皇」というのも、なかなか我々からはうかがい知ることが出来ないだけに興味津々。「陛下と私」「行幸今昔」は面白かったです。戦後の昭和天皇がどういう風に立場の変化を感じていたのか、どういう風な存在になろうとしていたのか。政治的な話ではなくて、個人としての昭和天皇の側面を垣間見ることが出来たように思います。

昭和天皇絡みの話以外にも時代感たっぷりのエピソードがてんこ盛りですし、近代史好きの方は面白いのではないでしょうか。下に画像が出てこなくて残念ですが、読んだのは2004年の改版文庫でした。


城の中 (1978年) (中公文庫)城の中 (1978年) (中公文庫)
(1978/01)
入江 相政

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2008-03-05-Wed-23-21

天空の青い花ツアー

狂乱のミッチーライブの翌日、さらに濃いお出かけをして参りました。
名付けて

天空の青い花ツアー~ギムナジウムより愛をこめて~

です!
思い出のアニメ『天空のエスカフローネ』、そして現在私のハートを鷲掴み中の少女漫画『青い花』のロケ地巡り+昨今話題のギムナジウムカフェの侵入!という濃いプラン。一日でこなすには多少キツいかな?という感もありましたが、高まるテンションで丸一日楽しむことができました。

では、ざっと行ったところとそれぞれの目的。

・江ノ電
 (江ノ電は『エスカ』、『青い花』ともに登場。吉田秋生もお約束)
・江ノ島
 (『青い花』に登場・・・らしい。単行本待ち中なので未確認。
 「稚児ヶ淵」という素敵な名をもつ場所に行きました)
・鎌倉高校前駅
 (『エスカ』最終話のラストシーンの舞台。10年越しの夢実現。
 写真で伝わらないことは重々承知・・・)
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・鎌倉文学館
 (『青い花』の藤ヶ谷女学院のモデル。小さめだけど建物が綺麗。
 下の写真は素敵トンネル)
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・ミルクホール
 (『青い花』に登場する喫茶店。外観だけ見てきました)
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以上が鎌倉旅行の内容でした。
江ノ島が思った以上に楽しかったです。「海が綺麗なんでしょ?つか海しかないんでしょ?」なんて思ってた私、馬鹿でした・・・。小さい島が一丸となって観光地としてにぎわってるかんじがよかったです。鎌倉高校前駅は目の前が海!一面の海です!前夜にエスカ最終話を見た甲斐がありました。「あの辺にバァンが・・・!」なんて会話、いったいどれだけの人があそこで交わしたことでしょう。
10年前のアニメのロケ地に遠征して、10年前の同級生と会話しているというこの不思議。しかも会話の内容が10年前と(多分全然)変わってないという・・・。

あそうそう、忘れちゃいけない最後のシメが

・ギムナジウムカフェ エーデルシュタイン

でした。
えーと・・・・思ってたより狭い店内でしたが、一生懸命ギムナジムってました。
サービスの押し売りはしないので、こちらからアクションを起こさないといけないのですね。ちょっと馴染むのに時間がかかりましたが、それでもいろいろ気を使って会話してもらえたので、腹の中で笑いながら堪能してきました。
学年、部活動+α(委員会とか)等の設定はあるみたいで、質問にもすばやく答えてくれます。どの辺まで決まってるんでしょうか?今度はもうちょっと突っ込んでみたいなと思います(でも突っ込もうとしたら素早く退かれた。素早い)。

濃くて楽しい旅でした!
オタク心も旅心も満足です。貴重な週末を付き合ってくれたカノさんありがとうありがとう。10年後もエスカの話をしましょうね(自虐)。
あとご一緒出来なかったルエさんは、是非今度リベンジを果たしましょう。
是非是非に。
2008-03-04-Tue-21-51

イチャイチャしたい。

及川ミッチーのライブ「イチャイチャしたい。」に行って参りました!

先月、わけもなく鬱々としていた時期に、「ミッチーのライブは幸せになるらしい・・・」という都市伝説めいた話を聞き、ニコ動で確認したら確かにほんのり幸せになったので、いざいざ!と、はるばる東京国際フォーラムまで出陣してきた次第です。
「イチャイチャしたい。」って言葉選びのセンスがいいよ、ね、ミッチー。
そして存分に楽しんで参りました。

前列ベイベーの巧みな踊りに感心したり、
直前ベイベーのオリジナリティ溢れるダンスが気になって仕方がなかったり、
男性のほうが段々と脱力していって、しまいには途中退場していったカップルの行く末を案じたり、
初心者丸出しでの参加だったのですが、予習の成果もそれなりに出せたと思います。

次回は必ずやポンポン持参での参加を心に決めた初心者ベイベー二人組みでした。

ポンポン作ろう、ポンポンを。
な、カノさん!(私信)


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