フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-10-30-Tue-22-44

高く遠く空へ歌ううた

高く遠く空へ歌ううた/小路幸也/講談社

引き続き小路幸也の長編2作目読了。
タイトルの「うた」から想像出来るように、前作の続編といってもいいような作品でした。シリーズものですかね。

2作目の舞台もまた、今からほんの少し前の日本。
ギーガンと呼ばれる主人公の「僕」はその名が示す通り、片目が義眼の少年。もっとも「僕」が変わり者扱いされるのはそれが理由なのではなく、主に感情を表現できない鉄壁の無表情のせいだった。
感情がないわけではないけれども、泣いたり笑ったりすることが出来ない、その方法がわからない「僕」の周りには、それでも楽しい友達が沢山居た。
下町のルーピー、隣に住むケイト、幼馴染の誠くん、野球チームの皆。そのほかにも同じ学校の上級生である柊さんは少し変わった優等生だし、かかりつけの田村先生、頼りになる鎌倉のばあちゃんにベイサンなど。
しかし、あまり沢山の人には話していない秘密が「僕」にはあった。それは今までに9人もの死体を見ているということ。見ているだけではなく、そのいずれもの第1発見者だということ。
そのどれも全くの偶然とはいえ、あまりにも多すぎる数。しかもその9人目は、優しかった父だった。
偶然はただの偶然なのか、それとも必然か。
奇妙だけどそれなりに平和で楽しい日々、でも10人目の死体を見つけた6年生の春から世界は動き始めた・・・

前作『空を見上げる古い歌を口ずさむ』とあわせて読むとリンクしていることがよく分かります。単独でも読めるけど、『空を見上げる~』を先に読んでいたほうがより分かりやすいかな、と。
どちらも小学生の男の子の目線で話が進み、あだ名で呼び合う仲間と一緒に冒険する・・・という少年探偵団っぽい世界は共通していますが、どちらかというと『空を見上げる~』が下町風、『高く遠くへ~』が山の手風ってかんじですかね。
個人的には『高く遠くへ~』のほうが好み。頭がいい上に天然なのか確信犯なのか微妙な(いやきっと確信犯)柊くんのサイドストーリーをお願いしたいところです。

謎の世界設定を匂わせて終わり、という幕引きもまた前作と同じですが、2作目ということもあり、前回よりはしっくりきました。
前作の感想で「恩田陸っぽい」と言いましたが、その通り、前作は「恩田陸・絶賛!」だったんだそうです。今回の単行本広告で知りました。
なかなかいい勘してるじゃない自分、と思った次第です。

高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction) 高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)
小路 幸也 (2004/04)
講談社

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2007-10-29-Mon-21-17

空を見上げる古い歌を口ずさむ

空を見上げる古い歌を口ずさむ/小路幸也/講談社文庫

第29回メフィスト賞受賞作。『東京バンドワゴン』が評判の作者、気になっていたのでデビュー作を買ってみました。

32歳の凌一は平凡な勤め人。妻と一人息子とともにごく普通の幸せな日々を送っていたある日、一人息子の彰の身に異変が起こった。人間の顔が皆<のっぺらぼう>に見えるというのだ。
その言葉が凌一に20年前に別れたきりの兄・恭一のことを思い出させた。
「いつか、お前の周りで、誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい」と、そう言い残して家族の前から姿を消した兄。
20年ぶりに連絡を取った兄は、凌一から彰の状態を聞くとすぐにやってきた。そして凌一と彰を前に、兄自身の幼い頃のことを語りだす。そう、実は恭一もまた人々の顔が<のっぺらぼう>に見えてしまうのだった。
兄が語る昔話、それは小学生だったころのこと。子供たちが野原で遊び、駅員さんとキャッチボールをしたり、困ったときにはおまわりさんを頼ったりすることが許されていた時代のこと・・・。

本編の大部分は、この兄・恭一が語る「昔の話」が占めています。いたずら小僧やガキ大将という単語がリアルタイムで生きていた少年時代の話は日本的ノスタルジーに溢れています。それこそがこの物語の大きな魅力であるとともに、これは「メフィスト賞」から想像するいわゆる「ミステリ」という範疇ではないな・・・とも思いました。
(いや正確にはメフィスト賞は別にミステリ対象の賞ではないんですけどね、なんというか、イメージとして)

<のっぺらぼう>だなんて突拍子もない設定がメフィストっぽいとも言えますが、これはミステリというよりはファンタジー要素が強いように思います。恩田陸の『光の帝国』を思い出したりもしました。
一応兄が語る昔話の中での重大な事件は解決したのですが、そこで語られた<のっぺらぼう>の謎、世界の秘密、というものはぼかしたままにしてあります。ひょっとして続編もあるのかな・・・とも思いましたが、ちょっとだけ消化不良でした。でもこれは謎を全て解き明かさない、ファンタジーというか民俗学的な世界観なのだから、それはそれでアリなのかも・・・とも。
読んでいる途中はどういう収集の付け方をするのか不安だったのですが、無理やりにでもまとめてみせてくれたので一安心。<違い者>の設定も、ああそういう風に現代への風刺に繋げるのねっていうかんじで、なんというか、きちんとした作家さんだなぁという印象です。

空を見上げる古い歌を口ずさむ 空を見上げる古い歌を口ずさむ
小路 幸也 (2007/05/15)
講談社

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2007-10-28-Sun-20-03

パトレイバーの話

友人と新しいガンダムについての・・・というよりはリアルロボットアニメの話をする時に必ずといっていいほど持ち出してきちゃうのが『機動警察パトレイバー』なんですが、なにやら最近こんなものが出たみたいですね。

機動警察パトレイバークロニクル―パトレイバーワールド完全網羅! (別冊宝島 1476) 機動警察パトレイバークロニクル―パトレイバーワールド完全網羅! (別冊宝島 1476)
(2007/09)
宝島社

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機動警察パトレイバー 完全設定資料集 Vol.1 TV編 機動警察パトレイバー 完全設定資料集 Vol.1 TV編
ポストメディア編集部 (2007/07/26)
一迅社

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何故今なんだろう?とは思いつつ、中身が気になります。・・・たぶん実家の兄が買ってると思うので、お正月の帰省時にでも聞いてみようと思います。
そうそうネット徘徊中に、「お酒とパトレイバーは二十歳になってから」という秀逸なお言葉を見かけました。至言ですなあ。
リアル志向のロボットアニメとして、人間ドラマとして、コメディとしてもシリアスドラマとしても見れる類稀な作品ですもんね。大きなお友達ばっかで呑みながら鑑賞してみたいなぁ・・・あ、これってダメな大人ってやつですか。そうですか。

今思えばすごく80年代っぽさもあるパトレイバーなんだけど、でも今見ても格好いいんですよねえ。長く受け継がれていく作品って、マンガもそうだけど、アニメは余計にメカデザやキャラデザが流行に流されないってことはとても大事なことだと思うんです。
ちなみにやはり私は整備班の描写が好きです。篭城戦に備えて、鍋に皆でカンパした小銭を入れてコンビニに走るんですよ!こういうトコしっかり描かれてるのがたまらないです。好きだなぁ(独り言)。
2007-10-27-Sat-20-57

新撰組捕物帖 源さんの事件簿

新撰組捕物帖 源さんの事件簿/秋山香乃/河出書房新社

久しぶりに読んだ新撰組モノ、なかなかのヒットでした。
秋山香乃作品は初めて読んだのですが、『歳三 往きてまた』がイイ、とか、『藤堂平助』は泣ける、とかの評判は聞いていました。それでももう広瀬仁紀や大内美予子を超える新選組にはなかなか会えないだろう・・・と思っていて(そうなんです、ちょっと甘めの新選組が好きなんですよ)、「そのうち読むさ」と先送りしていたんです。
世間に出回っている新選組ものは割りと読んできたつもりの私ですが、それでもこの『源さんの事件簿』(副題がとてもいい)は新しくて良かったです。新選組で推理モノ(捕物帖)というネタ自体は既出なのですが、それを連作短編にして、なおかつ「源さん」というキャラクターを主役にもってきたところがグッジョブだったと思います。
新選組の組織としての重要事件ではなく、隊士個人にまつわる日常寄りの事件を取り上げることによって歴史小説という重厚なイメージとは別物になれているし、源さんや他の中心キャラクターである尾形俊太郎・中村久馬なども人間味あふれる人物として軽やかに描かれています。

そう、『源さんの事件簿』という副題から察せられる通り、この本の印象はとても軽やか。20時台の時代劇にしてもいいくらいなのですが、・・・ところがどっこい、ラストはそれまでの印象を覆して一気に泣かせてくれました。この本で泣くとは思ってなかったのですが、やっぱ新選組は泣けます・・・。

もちろん近藤勇・土方歳三・沖田総司というお馴染みの人々もきっちり描かれています。キャラクタ的にはいわゆる「新選組好きな人たちが想像する通りの性格」で。あ、源さんもそうなんですけどね。ファンとしては「そうそうこういうかんじ!」って、痒いところにしっかり手が届いている心持で安心して読んでいられるのです。
ああこの作者新選組大好きなんだろうな!わかるよ!という気持ちでいっぱいになった一冊。愛が溢れています。一瞬しか登場しない斉藤一や永倉&藤堂コンビもいい味出してますもの・・・

個人的に気になったのは、この本を読むまでノーチェックだった「尾形俊太郎」。堅物かと思いきや実は素直になれないだけの結構いい人?みたいな。

あっと思ったときには俊太郎の拳が文吉の歯を折っていた。
「ちょうしばこくとぼれくりごかっそ」
源三郎はこのとき、初めて俊太郎が故郷の訛りを喋るのを聞いた。残念ながらまったく意味が通じない。
(そうか、こいつがいつも馬鹿丁寧な言葉を使う理由がわかったような気がしたぞ)


というところから察するに、出身も近いようだし。

新選組ものにまたひとつ良作が加わりました。
他の新選組も読もう。読まなくては。『獅子の棲む国』もこの作者なんですね!ごめんなさい初音さん、借りっぱなしでしたね。ようやく読む気になってきました・・・

新撰組捕物帖----源さんの事件簿 新撰組捕物帖----源さんの事件簿
秋山 香乃 (2005/10/13)
河出書房新社

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2007-10-26-Fri-20-32

EDGE

EDGE/とみなが貴和/講談社文庫

講談社ホワイトハート文庫から刊行されていた「ライトノベル界の最注目シリーズ」(文庫裏表紙より)の講談社文庫移籍版第1作目。
ホワイトハート作品の講談社文庫での再刊行というと『十二国』を連想しますが、すでにラノベで出版されていた作品がわざわざ一般向けに発売されなおすというのは、やはり出版社側から結構な期待がかかっているということだと思うのです。
おまけに解説は大森望(メッタ斬り!の)。わりと前から気にはなっていたのですが、今更やっと読むことが出来ました。

3年前の事件を機に引退した心理捜査官・大滝錬摩。事件の際に負った傷が元で5歳児程度の精神状態に陥った相棒・藤崎宗一郎とともに田舎へ転居し、穏やかな日々を過ごしていた錬摩の元へ持ち込まれた警察からの依頼は、巷を騒がせる爆発魔「黄昏の爆弾魔=ラグナロク・ボマー」捜査への分析協力だった。

で、感想ですが・・・面白かったです。一気読みしました。
犯人ははじめから登場していて、これは一応ミステリに分類されるのかとも思いますが、この作品のメインはむしろ錬摩と犯人の心理描写かなぁと思います。
自分の為に脳への損傷を負った相棒への贖罪として、母親のように宗一郎の世話を焼き、宗一郎とともに生きる錬魔。錬魔が世界の中心となった宗一郎を愛しく思うとともに、3年前には当然のように自分の隣に立っていた「良き相棒」を失った、身体は存在しても彼は帰ってこないという事実に苛立ちを抑えられず、そしてそんな自分自身にさえ腹立ちを抱えるうちに、いつしかラグナロク・ボマーにシンクロし始める錬魔。
一方、ほぼ寝たきりの母と二人で暮らす犯人。彼は自らの境遇を不満に思い、美しい爆発を見ることで安らぎを得ていた。幼い頃から自分を抑圧してきた母に憎しみすら覚えるものの、結局は母を捨てられない自分に気づくラグナロク・ボマー。自分の心理を理解してくれる錬魔を敵だと知っても、それでも尚惹かれてしまう・・・

宗一郎は宗一郎で、母のような錬魔が自分の中に違う「自分」を見ていることに気づき、思い悩みます。
まさしく「三角関係」が形成されているわけですね。勿論心理捜査事項や東京の情景が細かく描写されているということも魅力なんでしょうが、この作品がわざわざラノベから一般向けに刊行されなおした一番のポイントは、この各キャラクターの複雑でしっかりした心理描写だと思います。
よしながふみ的に言えば「やおい」っぽいんですよ。
確かにホワイトハートで出すよりも一般向けで出したほうが売れるかな、という内容でした。錬魔がやたらと美形なのが若干ラノベっぽいかなーとも思いますが、でも一般向けでもそんなもんか。それに主人公は美しくないより美しいほうがいいに決まっているのです。
2作目ももう講談社文庫になっているそうなので、そのうち買おうと思います。

EDGE (講談社文庫) EDGE (講談社文庫)
とみなが 貴和 (2006/10/14)
講談社

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2007-10-25-Thu-20-10

失われた町

失われた町/三崎亜記/集英社

『となり町戦争』に続く「町シリーズ」第2弾・・・だそうですが、特に続いているという印象は皆無。全くの別物でした。でも確かにこの物語の主役は「町」そのもの。

舞台は・・・いえ、物語の中心は、今はもう失われてしまった町「月ヶ瀬町」。
この世界では、ある日突然町の住人が消えてしまうという「消滅」という事象が発生していた。原因も解決策も見つけられず、人々はただ「消滅」を受け入れるしかなかった。消滅により肉親や恋人・友人を失った人々は、誰にもいえない悲しみを一人で抱えるしかなかった・・・
この話の主人公は、そんな悲しみを抱える人々全て。
「失われる」悲しみを抱え、傷つき、癒されないままに生きる人々。それでもなお前へ進もうとする彼らの道の先には何があるのか?

・・・ええと、本当に説明のし辛い話です。確か直木賞候補になっていたんじゃないかなぁと思うのですが・・・正直あまりしっくりこないままに終わってしまいました。
『となり町戦争』『バスジャック』と同様に「ありえないけど妙にリアリティのある世界』の話なのですが、これは今まで以上に不思議な世界観が展開されています。居留地とか西方とか日本なのか外国なのかも曖昧な世界(近未来?)だし、そこは治外法権らしいし、一人の人間を分割できるらしいし・・・ちょっと入り込みにくい不思議世界でした。
あと登場人物が多いわりに誰にも感情移入できないままに終わってしまったかな?という印象。
まあこれは三崎さんの他の作品でもわりとそうだったんですけど、今回は特に・・・皆静的というか何というか、基本的に登場人物は知的水準の高そうな人たちなんですけどね、あまり血肉の通った人間という気がしない。そのわりに時折妙にロマンチックなシーンがあったり(実はカップル率高い)・・・ちょっと唐突に感じてしまうんですよねえ。

そんなに長い話じゃないのに、妙に読むのに時間のかかる本でした。
とらえどころのないまま読了してしまいました。私の頭が悪いのか・・・っという懸念も感じてしまいます。『バスジャック』は好きだったんだけど。
とりあえず読み手を選ぶ本ですね、それは間違いない。

失われた町 失われた町
三崎 亜記 (2006/11)
集英社

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2007-10-24-Wed-21-22

あのひととここだけのおしゃべり⑦

とうとう最後は御大の登場です。
萩尾望都対談、サブタイトルは「マンガ=24年組というくらい・・・」。

よしながふみが24年組にどれだけ影響を受けたかというのは、これまでの対談でも散々に語られていたので今更なんですが、小さい頃に親戚のお姉さんから譲り受けたマンガの中に萩尾望都全集があったということで。ある意味刷り込みのようなところもあるのでしょう。
「子供の頃から贅沢なものを読んで、それが当たり前だと思ってしまって、毎日贅沢なものばかり食べていた子供みたいに、当たり前のように普通に食べていたものが全然普通の食べ物ではなかったということにのちに気づく」というのは言い得て妙。
でも幼い子供に萩尾望都のインパクトは強かったようで、

よしなが「初めて『トーマの心臓』を読んだのもまだまだ子供なときだったのですが、私は最初、あの作品はとてもこわいマンガだと思っていたんです。(中略)実際読んでみたら、子供の私には『トーマの心臓』は難しかった。難しかったんだけれども、ホラーの怖さとは違う、物語の深淵を覗いてしまうようなこわさを感じたのを覚えています」
萩尾「よしながさんにとって、“こわい”というのが何かのポイントなのね」

(中略)
よしなが「最後まで読んでも子供の私には腑に落ちないところもあって、そのわからなさがまたこわかった」


とありますが、「自分の許容範囲を超えるものに出会った時に感じる“こわさ”」というのには私も身に覚えがあって共感できました。
よしながふみも言ってますが、私はずいぶん成長してから読んだ大島弓子作品も漠然と「こわい」と思いました。可愛い絵柄でホラーでも何でもないんだけど、どこか怖い・・・
あ、あと小さい頃の経験でいえば『船を建てる』(最近復刊されてますね)もとてもラブリーな絵柄なのに、自分の知ってる「マンガ」と違いすぎてなんだかこわかった・・・。こわかったことだけを覚えていたのですが、最近書店で表紙を見て「これだー!!」と(笑)。気になるので買おうと思っています。

あととても気になったのが、萩尾望都の描く華麗なるギムナジウムの発祥の秘密。よしながふみ、いいこと聞いてくれました!

よしなが「そもそも萩尾先生がお描きになったギムナジウムというか、全寮制の男子学校の世界というものは、何かルーツがあるのでしょうか?」
萩尾「そうですね、私が覚えているものとしては、母親の死をきっかけに全寮制の女学校に放り込まれる少女が主人公の『制服の処女』という映画。それから、ウィーン少年合唱団が全寮制の生活をしているということ。あと、『突撃マッキーバー』というアメリカの子ども向けのTVドラマがありまして、それは全寮制の陸軍幼年学校を舞台にとにかくいたずらばっかりやっている少年たちのお話でした。もう少し大人になってからは、『寄宿舎~悲しみの天使~』や『if もしも・・・』という映画を思い出しますね」


ああ、挙げられた映画の気になること気になること・・・かなり古そうな映画ばかりですが、探したらありますかねえ。ちょっと検索してみようと思います。

実は萩尾作品はまだ読んでいないものも沢山在る(と思う)ので、ボチボチと文庫で集めようと思っています。大きくて綺麗な全集も刊行中ですが、場所をとるのがちょっと・・・なので。既読の萩尾マンガもかなり昔に読んだっきりなので、今読むとまた感想が変わるかもしれないし。
うーん、『あのひととここだけのおしゃべり』でむくむくとマンガ欲が湧き上がってきました。
マンガって、本当にいいものですね。
2007-10-21-Sun-21-52

あのひととここだけのおしゃべり⑥

次の対談は志村貴子。BLジャンルからとんじゃいましたが、青年誌が主なフィールドの志村さんの作品はドが付くくらいの少女漫画ではないかと思っているので、この人選は大いにアリです。サブタイトルは「表現は選択できない」。

前回の羽海野さんはどちらかというと「前向きパワーを広めたいな」というキャラだったように思うのですが(ナチュラルにそうなわけではなく、そうありたいと思っているような)、今回は志村さんもよしながふみもダウナー系というかんじでした。超親近感です。

よしなが「(前略)思春期にみんなが思ういたたまれないような、そんな気持ちがすごくよく伝わってきた。私はそういう気持ちを感じさせてくれる作品が好きだったんですが、マンガって全部が全部そういうことが描いてあるわけじゃないですよね。(中略)その後、描き手が「オレは『ジャンプ』で一番を取ってやるぞ!」みたいな心理状態では“あれ”は描けないんだってこともわかった。「そんなことでくじけちゃダメだ!!」みたいなことをいえる前向きな人には“あれ”は描けないって」
(中略)
よしなが「ネガティブな感情のストックが多いのがサブカルな作家の特徴かな(笑)。「勝った!」とか「俺、やったよ!」みたいな感情のストックはないわけです」
(中略)
よしなが「人間のダメな部分が描いてあるマンガを読むと元気が出ます。本当にがんばっている人を描いたマンガは元気が出ない(笑)」
志村「そうそう、この人みたいにはできないって、どんどん負の感情が湧いてきますね」


基本的に「自分なんか・・・」と思っているわけです。でもそんな人だからこそ表現することが出来るものがあるんだ、と。
そういう作品を読んで心慰められる人もまた確かに存在するんだ、と。
弱いひとに優しい作品が、作家さんが、私はとても好きです。

『青い花』の3巻も、『放浪息子』の7巻も楽しみだー。
2007-10-20-Sat-22-46

あのひととここだけのおしゃべり⑤

実はそろそろ飽きてきた『あのひとと~』感想。でも始めたからには最後までやっちゃいます。お次は羽海野チカとの対談「メディア化するということ」。

サブタイトルの通り、お二人が仲良くなるきっかけはハチクロがアニメ化される際「映像化されるってどんなかんじでした?」と、羽海野さんがよしながふみに聞いてみたのがきっかけだったそう。勿論このお二人といえば、かの一世を風靡した某スポーツ漫画の同人活動を行っていたので、だいぶ昔からお互い「知ってる人」という認識ではあったそうなのですが、ちゃんと会話するようになったのは、ハチクロのアニメ化がきっかけだったそうな。でもほぼ初対面でその質問をして、それからなんと16時間も二人で語り合ってしまったそうです。
そんな「運命の二人」とも言うべき羽海野さんとよしながふみの友情(?)が、文章からでもひしひしと伝わってくる回でした。

よしなが「そのね、16時間耐久レースの後、大変だったの。もうすっかり好きになって舞い上がって帰ってきたから、アシさんたちに、「羽海野チカさんに会ってね、こんな話やこんな話をして!」て、一通り全部!みたいな。(中略)恋でしたよ、まるで。」

「恋」ですって。ラブラブですな。
でも私も友情(恋愛ではない同性間の関係)にも遠距離とか片思いとか永遠の憧れとかいろんなパターンがあると思っています。一目ぼれとかほだされて、とかも。・・・はっ、こういうのがリアルな「やおい」?だってよしながふみは自分で「やおい的だ」とまで自分と羽海野さんのを評してますし、この文を読んでたら確かにそう思っちゃいます。大人になってから密な友人関係を作るのって難しいと思うのに(私だけ?)、このラブラブぶり・・・二人の間には友情とか尊敬とか漫画家としてのライバル心とかいろんなものが熱くほとばしってる気がします。単なる友情ってだけじゃここまでいかないわぁ。

あとは羽海野さんの漫画家として、というよりも人としての真っ当さが印象的でした。

羽海野「なんか前、「世界を良くしたいね」って、すごい壮大な話を(笑)」
よしなが「あ、そうだっけ?」
羽海野「うん、デニーズで(笑)。あの、私は「生き延びれば自分に合う場所へ辿りつける事もある」っていうことを伝えたいっていうのがあって。一応、でっかい使命があるんです」


良いこと、それは勿論人によって違うことだけど、自分が伝えたいことを漫画の中に織り込んで世間に届けようとしている羽海野さん。漫画はそれが出来るメディアだ、人に対してとても強い影響を及ぼすことが出来るんだ、だから自分は漫画家として嘘を描いちゃいけない、前向きな話を描くには自分が前向きでなくてはならない・・・・という、どうですかこの真っ当さ。
よしながふみはこれをして「自分とは違う価値観だけど、すごいと思う。それが羽海野チカのすごいところだ」と素直に認めています。

ああこんな人だから『ハチクロ』みたいな話が描けるんだな、そしてそれが薄っぺらい青春恋愛モノにならずに、こんな捻くれた漫画読みである自分の中にも入ってくる作品になったんだな、と思わされた部分でした。その真っ当さを分けて下さい、羽海野さん!
羽海野さんはデビューも遅かったし、ハチクロだって掲載誌が廃刊になったり・・・・いろいろ苦労してる人だからこういう言葉にも重みがあるんですねえ。そしてだからこそよしながふみもそういう羽海野さんにメロメロなんだと思いました。

※何故だか羽海野さんは「さん」付けで、よしながふみはフルネーム呼び捨てですが、特に他意はありません。なんとなく昔からそうなんです・・・
2007-10-19-Fri-21-29

あのひととここだけのおしゃべり④

よしながふみ対談集『あのひととここだけのおしゃべり』感想はまだまだ続く。次はまたしても三浦しをんとの対談です。サブタイトルは「やおいは男同士でなくてもいい」。

よしなが「私や友人たちの言うやおいっていうのは、セックスをしていない、つまり恋愛関係にない人たちを見て、その人たちの間に友情以上の特別なものを感じた瞬間に、これはやおいだと名づけるわけ」

という・・・私は「やおい」というのはやっぱり男同士が前提の用語だと思っているので、これにはちょっと違和感を感じるのですが、でも言ってることは納得します。例えば『トリック』の山田と上田とか『のだめ』の千秋とのだめとか(←これは結局恋愛関係に落ち着いたようだけど、まず互いの才能ありき)・・・男女においても「やおい」的関係というのは成立するのだ、と。友情とも恋愛ともちょっと違う特別な結びつきというやつでしょうか。

よしなが「だから、ああいった作品は、登場人物は男女だけれども、腐女子たちにも人気があるんですよ。登場人物をやおいっぽく描いているから。」
三浦「性別ではなく、人間関係のあり方がポイントってことですよね。」


うーん、やはりちょっと「やおい」の使い方に違和感があるけれど、私的にしっくりくる言い方にするなら「安易な恋愛関係に陥らない人間関係」ってとこですかね。漠然としすぎかな。

あと面白かったのは「2次元妄想の行き着く先は3次元妄想だ」という意見。見に覚えありすぎです・・・自分や友人の歴史を振り返ると。別に2次元<3次元ってわけでもないんですけどねー。確かに若い頃には3次元萌えなんて「ありえない!」はずだったのですが、いつの間にか・・・何故だろう、と思ったのですが、お二人はこんな結論を出されています。

よしなが「結局は3次元に行き着くのかな、とも思いますね。同人誌を長くやっている人は、最終的には3次元もののジャンルに行く人が多いんですよ」
三浦「確かに。それは読み手にも言えますよね。長く読んでいくと、2次元もののパロディから3次元ものを扱った同人誌へ好みがシフトしていく人が多かったり」

(中略)
よしなが「ストーリーをほかの人に提示されなくても自分で事実の断片を繋ぎ合わせて、自分の好みの話を頭の中で作ることができるからだと思うんですよ」
(中略)
三浦「そうなんですよね。点と点の間を想像で埋めていく作業が楽しいんですよ」


提示される材料が少なければ少ないほど自由に遊べるということ?それは確かにあるかもしれない。小説だって挿絵がないほうが想像の余地がありますしね。まあ2次元だって何だって、妄想女子にとっては原型皆無のドリームワールドになっちゃうんですけど。2次元萌えの人がある日突然3次元もアリになっちゃったりもするし、ま、全ては乙女の妄想力のなせる技ですが。

そうそう、あまりにも共感したのが、

三浦「よく日常が退屈だ、つまんないって言う人がいますけれど、私、そういうふうに思ったことがないんですよ」
よしなが「私も友人たちと、「普通のOLさんたちって、なんか面白いことないかな~ってホントに言ってるらしいよ」って驚愕したことがあります(笑)」
三浦「どこで退屈したらいいかがわからない(笑)」


まさしくこれと同じことを友人と話した記憶があります。
一人で過ごす休日ってすごく充実です。外に出ても家にいても、本読んでも映画見てもネットしてても楽しいですもん。アドレナリン大放出してると思います。いわんや友人と過ごす時間をや!何もなくてもダベってるだけで楽しい。皆はそうじゃないんでしょうか。これはある意味幸せな体質?

三浦しをんとの対談はディープにガッツリ熱くなりますね。よしながふみはBLの書き手、三浦しをんは読み手として、目線が違っているのもまた面白い。他にも親近感を感じるところもたくさん・・・トークショーとか開いてほしいなぁ。絶対応募しますよ・・・。
2007-10-18-Thu-23-06

あのひととここだけのおしゃべり③

だいぶ間が空いてしまいましたが、『あのひとと~』の続き。
お次はこだか和麻との対談「ボーイズラブじゃないと描けないこと」。

こだか和麻はBLの歴史初期から今もなお現役で活躍しているBL漫画家。デビュー作は少年漫画という異色の経歴の持ち主でもあり、絵柄もガチっとゴツいめなのが特徴です。

よしなが「私よりも年下の世代の子たちに話を聞くと、こだかさんは絶対通ってきた道なんだそうですよ。尾崎南さんや桑原水菜さんの名前もあがるんだけど、とある世代にとっては「絶愛・絆・炎の蜃気楼」がそのテのものの出会いとして三種の神器らしいの」

って発言、私の周りではかなり当てはまる気がします・・・。私は絶愛→蜃気楼→絆の純に読みました。自分では持ってなくても、誰かしら周りから回ってくるんですよね。そして読む前からその3シリーズの名前は知ってたわけで、知ってたということはそれだけネームバリューがあったということですよね、その当時の一部女子にとってはね・・・まだそんなに色々はなかった時代ですからねぇ。

よしなが「私ね、BLっていうのも、すごくいい言葉がジャンルの冠についたなと思って。(中略)BLって冠がついたことで、同人誌を知らない人にも手にとってもらえるものになった気がします。」

よしながふみが「BL」を肯定的にとらえています!ちょっと驚きました。私はどちらかというとこの単語がどうにも軽いニュアンスがして好きではないので・・・(便利だから使いますけど)どちらかというとJUNEっぽい作品のほうが好きですし。まぁ単に自分が若い頃にはなかった単語だから抵抗感があるのかもしれない。

よしなが「こだかさんって、いわゆる我の強い作家ではないよね。(中略)自己プロデュースに長けているところとか、求められているものを提供しようというその心意気とか、本当にすごい方です」

と、印象的だったのは、「作家として自分のエゴだけを貫くことが商業作家の本分ではない」といわれているところ。「お金を出してもらって描いているんだ」というところが、なんというか、今更目から鱗でした。ああそういう意識で描いているんだっていうのが。
どうにも作家という人種は「魂削って描いてんだろうなぁ」って思ってしまいがちなので・・・そうか、割とそういうものなのですね。人気商売だものなぁ・・・(勿論本能の赴くままに筆を走らせて、それで成功する人も失敗する人もいるのでしょうけれども)。商業作家が商業作品と平行して同人活動を続けているのって、「お仕事」と「趣味」のバランスをそれでとっているところがあるのかもしれませんね。

それにしても大ベテランであるこだか和麻の執筆意欲に全くかげりのないこと!驚くほどにパワフルです。まだまだいろいろ描いてくれそうですねえ・・・
2007-10-12-Fri-20-38

あのひととここだけのおしゃべり②

引き続き『よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり』についての感想です。
次は第2章三浦しをん×よしながふみ「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」

三浦しをんは自身のブログで、頼まれもしないのによしなが作品を熱く語ってしまう人。最初っから飛ばしまくりの三浦節で、熱く真摯にマンガを語ります。
友だちが『りぼん』や『なかよし』を読んでいたのに、自分はあえて『プリンセス』だったとか・・・次第に白泉社へ移行してハマっていく様も、なんというか・・・妙にリアルです。分かりすぎる、その感覚・・・。

よしなが「わかりやすくはみだしているように見えていた白泉社のマンガが今見ると、今で言う「萌え」のツボの大道のところをきっちり押さえてあった」
三浦「なるほど。「萌え」という言葉もない頃で、「白泉社の少女マンガを読むとモヤモヤしていい!」と思っていましたが、あれが「萌え」だったのか」


というところとか。
やはり白泉社って、オタク以前のマンガ好き女子にとっては誰もが通らずにはいられない道なのかな。業が深い。
あとはよしながふみも三浦しをんも二人して24年組への敬意が激しいようで、

三浦「(前略)だから24年組を読まずに、マンガを描いているということが許しがたいんですよ!!」
よしなが「それは少女マンガにかかわらずにマンガを描く人間ならばってことですね(笑)」
三浦「そうです!こんなに私がもうすべてをなげうってマンガを読んでいるのに、マンガを描いているこの人がどうして!!なんじゃこりゃー!!って思ってしまうんですよ。」


・・・テンション高いなぁ、三浦しをん。著名な文学賞をとった作家がこんなに熱くマンガについての思い入れを語るなんて、日本ってほんとにいい国だなあと思います。
ちなみに私は高校時代に萩尾望都の洗礼は受けたのですが、大島ゆみ子はもっと後だったし、24年組を読んだことがない・・・という人が(結構なマンガ好きにも関わらず)多い、という事実は認めなくてはならないと思います。しょうがないよ、読む機会がなかったんだから。新しい作家が次々登場してくるマンガ業界で、古典にまではなかなか手が届かないもの・・・なるべく頑張るようにはしてるんだけどさ。そんなに怒らないでよ三浦さん、って言いたくなっちゃうな、もう。
しかしある意味よしながふみはさらに深く、「自分の作品を読んだ人が次に24年組の作品を読んでくれれば」って言ってます。自分のルーツが24年組であるということを物凄く意識されているよう。うーん。
あ、もちろん三浦しをんとよしながふみなので、BLの話題は欠かせません。

三浦「そこは編集さんの責任問題になってくると思いますけど、読者を教育しなければいけないんですよ。啓蒙主義に走りますよ、私は。(中略)読者が自分で自分の好きなジャンルの幅を狭めるような読み方しかできなくなったら、そのジャンルは終わっちゃいますからね。草の根運動ですよ。(中略)BLの雑誌を作りたくなってきましたね、私は(笑)」

熱いな三浦しをん!でも三浦編集長の責任編集なBL雑誌が発行されたら買ってもいいな。すごいアダルティで切ない系が多くなりそうだけど・・・
長年に渡るBLの読み手・描き手として、真剣にBLの将来を見据えている二人の姿が目に浮かぶような第2章でした。お酒呑みながらこんな話してたら閉店まで居座っちゃいますな。
2007-10-11-Thu-22-35

あのひととここだけのおしゃべり①

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり/よしながふみ/太田出版

我慢できずに買っちゃいました、よしながふみの漫画家対談集。
感想が長くなりそうなので、各編ごとに記事にしていきたいと思います。

ではさっそく第1章やまだないと×福田里香×よしながふみ「私たちの大好きな少女マンガ」から。

オシャレ系作家としてのイメージが強いやまだないとと、少女マンガ通として知られる料理研究家福田里香との対談。3人は前々から知り合いだったようで、なんだか和気藹々とした雰囲気が伝わってきます。やまだないとと福田里香がよしながふみより上の世代のようで、他の章に比べるとよしながふみが聞き役に回っているように感じましたが(いやでも十分饒舌か)、それはそれでお楽しみ。
テーマはタイトル通り「少女マンガの真髄とは、そして少女マンガとはなんたるか?」です。
マンガ論などで取り上げられる内面的・文学的なマンガではなく、純粋に「自分たちが少女時代何を読んできたか、周りではどんなマンガが読まれていたか」ということを話されています。だから最初っから「私は『りぼん』」とか「『ベルばら』~」とかからスタート。
以下、面白かったところを抜き出すと

よしなが「別マってエンタメ系の雑誌なんだと思って。白泉社なんてそこからはみでた人たちの集まりじゃないですか。(中略)皆が業のかたまりみたいにしてマンガ描いてた」

福田「だから、そういう人がマンガを描きだすとパロディになってくるんだよ。(中略)ロマンスのあとに必ずオトす。それが恥ずかしいとか、ありえないよ、っていうのを作家が一番わかってる。」
やまだ「なあんか、白泉社系ってかんじ(笑)」


私はわりと白泉社に浸ってた少女期をすごしたので、なんだかすごくここの部分に共感しました。「そうか、やっぱり皆そう思ってるんだな・・・」と。いや悪い意味じゃないんですよ、ただやっぱり少女マンガというジャンルにおいてはマイナー路線であるよなあと再確認したというか(どんなに部数を出したとしても、全体のカラーとして)・・・いえ勿論私はそんな白泉社を愛してますけども。

あとは少女マンガではあまりない(最近はそうでもない?)、けどもBLにおいては決して珍しくもない「レイプ描写」ですが、

福田「その人限定でレイプされたいってことなのよ。レイプは最上級の乙女表現にすぎない」
よしなが「一般のレイプ願望ではないんだよ。レイプというシチュエーションじゃなくて、その人にどれだけ求めてもらえるか、っていう話なんですよ」


この「最上級の乙女表現」ってのに笑うとともに納得しちゃいました・・・。そう、そうだよなあ!と。そんなことを実際にされたいなどとは夢にも思っちゃいないんだけど、要は「それほどまでに誰か(勿論それは自分にとって好ましい相手)に求められたい・愛されたい」という願望表現なのよね、と。暴力的表現ではなくて求愛表現なんですよね、フィクションの上ではね。

他にもいろいろと面白い部分だらけなのですが・・・書き出すとキリがないので、このへんで。
要約すると「少女マンガとは、少女を全肯定する物語である」ということでしょうか。それでいいのかな、よしなが先生?
ちなみに福田先生によると「思い込みだけで暴走するのが乙女の本質」だそうで。ううん・・・否定できない!

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり
よしなが ふみ (2007/10/04)
太田出版

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2007-10-09-Tue-22-29

オーケストラの職人たち

オーケストラの職人たち/岩城宏之/文春文庫

世界的指揮者・岩城宏之氏による「オーケストラの裏方さん」エッセイ。
・・・とはいえ私はクラシック関係に非常に疎くて、勿論岩城さんのお名前も知りませんでした。でも大丈夫!オーケストラの知識はほぼ『のだめ』と『フジミ』だという私ですらフフフと楽しく読めた音楽エッセイでしたもの。

演奏者以外のオーケストラに関わる人々・・・楽器の運び屋さん・写譜屋さん・調律師さん等々、表からはうかがえない舞台裏の人々がいかに絡み合って「オーケストラ」や「演奏会」が構成されているか、というのはとても興味深くて面白かったです。
それをまた指揮者である作者の岩城さんですら「へえー、そうだったのか」という目線で語ってくれるのがまた面白い。表にいると裏手の様子ってなかなか見えづらいものなのかもしれないですね。

個人的に面白かったのは楽器の運び屋、運送業者のお話。日本をまたにかける業界随一の運送業者が楽器を運び出したきっかけが「たまたま会社の近くに引っ越してきた外国人ハープ奏者のハープを運ぶため」だったというのも運命的というのかなんというのか・・・
戦後まもない東京で、大きなハープを無理やり荷台に乗っけたオートバイがガタガタ走ってるんですよ?おまけにそのバイクに付き添ってハープを押さえ込みながら走ってる人は演奏者本人(ウィーン出身・日本語片言)なんですよ?
楽器的には劣悪な環境だったんでしょうけど、その風景を想像しただけで微笑ましいやらおっかしいやら。この本のエピソードをベースに映画でもドラマでもして欲しいくらいです。絶対いいかんじのほのぼの人情音楽コメディが出来ますって。
ずうっとバイトのまま10年も居ついちゃう運送業者の若者とかも気になります。いい話できそう。

知られざる実話ネタや音楽業界裏話・オケトリビア等々、いろいろな意味で面白く興味深い一冊でした。実はなかなかお偉さんらしい(やっぱりよく分からない)作者さんの語り口も、大物とは思えない軽やかさでサラリと読ませてくれます。

音楽業界知識が皆無の人からクラシックファンまで、幅広い人が楽しく読める一冊です。いやはやなかなか面白うございました。
それにしても世の中にはいろんな職業のいろんなスペシャリストがいるものだなあ・・・

オーケストラの職人たち (文春文庫) オーケストラの職人たち (文春文庫)
岩城 宏之 (2005/02)
文藝春秋

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2007-10-08-Mon-22-50

めがね

めがね/2007/日本

映画『めがね』、やっとやっと見てきました。
うん『かもめ食堂』っぽい。続編じゃないけど姉妹編といっていいのかな?『かもめ食堂』よりさらにまったりとぬるい空気が充満しているので、映画にオチとかストーリー性を求める人にはオススメできません。しかし『かもめ食堂』が好きな人ならきっと気に入るはず!
と、素直にそう思います。

ストーリーは・・・ありません。
春のはじめ頃、小林聡美演じるタエコが大きなスーツケースを持って南の島にやってきた。それと時を前後して、謎の女性・サクラ(もたいまさこ)もやってきた、小さな鞄ひとつを持って。
民宿・ハマダの主人と、そこに通う高校教師、タエコを追ってやってきた青年とともに、タエコは静かな時を島で過ごす。ハマダのご飯を食べ、サクラのカキ氷を食べ、海辺で編み物をしながら「たそがれ」ることに慣れていくタエコ。

という・・・ううん、こうして書いてみてもやはりストーリーになっていない気がします。ストーリーを追うのではなく、空気感を楽しむ映画ですね、これは。
私はもっぱら「ご飯がおいしそうだなぁ」とか「海辺で寝っ転がりたいなぁ」とか・・・そういうことを考えながら見ていましたが、左隣のオバチャンは気持ちよさそうに寝ていました。でもそれを責める気にはなりません、だってほんとに間が長い映画だったので(でも寝息は静かにお願いしたい)。買って帰ったパンフを見ると、小林聡美さん自身が「寝る人いるんじゃないの?コレ」なんて言ってるくらいだし、ね。
あそうそう、パンフを読んでなるほどなぁと思ったのは、タエコは結局この旅で何が変わったわけでもないんですよ。何も変わらない、そのままだということを受け入れただけであって・・・ほほーう、と、思いました。
少女漫画なんかでありがちな「ありのままの君が好きだよ」ってヤツに近いのでしょうが、この『めがね』においては、それを他者から言われるでも、ハッと自覚するのでもない(観客から見ればタエコさんは確かに変わったのですが)・・・そこがポイントなのかなぁと思います。何にせよ、説明のない映画なのですが。

それにしても『かもめ食堂』に引き続き、お腹の減る映画であったことよ。
あ、『ほぼ日』に特集もありますので、よかったらどうぞ。
http://www.1101.com/megane-movie/index.html
うーん美味しそう・・・。

papyrus (パピルス) 2007年 10月号 [雑誌] papyrus (パピルス) 2007年 10月号 [雑誌]
(2007/08/28)
幻冬舎
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ところで萩上監督、『サボテンジャーニー』もやってらしたのですね!
『サボテン~』って数年前にやってたSPドラマで、たまたま見ただけなのですが、妙に不思議な話ですごく覚えてたんです。『かもめ食堂』『めがね』の人だったのか!と思うとすごくしっくりきます。
黄色い車でドライブする小林聡美、傍らには「人間ナビ」の田辺誠一・・・ね、不思議な話でしょう?そう言われればあれもまさに萩上ワールドでした。謎がひとつ解けたかんじです。もう一回見てみたい。
さて『かもめ』『めがね』の次は何かな?今から次作が楽しみでなりません。
(ちなみに個人的には『すいか』や『セクシーボイスアンドロボ』もリンク作品です)
2007-10-07-Sun-22-05

光の海

光の海/小玉ユキ/小学館フラワーコミックス

ずっと評判がいいのは聞いていたんです。で、二作目の単行本もなかなかいいらしく、こいつは本物なのかもよ、と思ったところで購入しました(いや偉そうに構えてるわけじゃなくて基本的に自分で新しい作家さんを開拓しないヤツなんなので)。
いやー、しみじみとよかったです。
これが初単行本?それは確かに評判になるわなあ、と。派手さのない話ばかりですが、全体的にまとまりがよく、完成度がとても高いと思いました。
収録作はすべて「人魚」をモチーフにした短編です。いや、「人魚と人との交流」といったほうがいいのかも。

『光の海』:海沿いの町に住む光梅寺には二人の若い僧侶が住んでいた。自分の居場所を見失って寺に住むようになった秀胤は、明るく優秀な住職の孫・光胤がどうにも気に入らない。おまけに光胤には可愛い人魚の恋人までいる。いつしか海に通うようになった秀胤は・・・。

『波の上の月』:学生時代の友人・京子の住む島を訪れたさき。その島は若い人魚が集まることで有名なのだという。若い男ばかりの人魚の群れは、やがて女を求めて外海へ出るのだというが、中にはその変化を望まない人魚もいるようで・・・。

『川面のファミリア』:小学生・文の父は作家だ。その父の様子が最近おかしい。近所の川に釣りに行くといっては川人魚と会っているようで・・・。

『さよならスパンコール』:中学生の奈月・悦子には人魚の友達が居た。人間のファッションに興味深々の女の子人魚は、人間の足が欲しいのだという。そこで悦子の持つ本に載っていた「人間になれるおまじない」を試してみようということになるのだが・・・

『水の国の住人』:元・海女の祖母が語る昔話。昔は島に数多くの人魚が住んでいたという。若い祖母はその人魚たちに助けられ・・・。

人魚は国から保護を受けている生物で、居るには居るけどちょっと珍しい。少しだけなら陸に上がっても大丈夫なよう。言葉を話すものもいれば話せないものもいて、種族別に群れを作ってたり一人で泳いでいたり・・・という設定だけが共通している短編連作集。
現代日本に人魚という「ちょっとだけファンタジー感」が心地いい世界を作ってくれています。こういうの、ツボにくる人は好きなんじゃないなかなぁ・・・
初単行本とはいうけれど実質デビューは2000年ということで、絵や話にもかきなれた印象を受けます。一話一話短いのにちゃんとドラマがあるし。うん、この人要チェックですよ。

光の海 光の海
小玉 ユキ (2007/01/26)
小学館

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2作目も気になります。買おうっと。

羽衣ミシン (フラワーコミックス) 羽衣ミシン (フラワーコミックス)
小玉 ユキ (2007/08/24)
小学館

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2007-10-06-Sat-21-32

機動戦士ガンダム00

新ガンダムが始まりました。
その名も『00(ダブルオー)』、スタッフはなかなか粒ぞろいらしいのですが、私の範囲外の人ばかり・・・とりあえず高河ゆんのキャラデザに複雑な心境になりながら、第1話鑑賞。

感想としては「まあ無難」です。
ただOPアニメはもうちょっと動きが欲しかったなー。アニメスタッフの気合はOPの出来で量れるというのが持論なので、最高水準の美絵で思い切りよく動いていただきたかった。
内容は・・・まあ第1話なんてキャラクター紹介のようなものだし、あんなものかな。全体的にはテンション低め。式典に乱入しするというシチュエーションは面白いと思いました。
高河ゆんのキャラデザも色彩的には地味目で、SEEDを受け付けなかった自分の目にも優しいかんじ。スーツ姿の大人の男がポニーテールってどうなん?というところ以外は概ね大丈夫でしたね。よかったよかった。

全体的にあんまりキャッチー!な印象は受けませんでしたが、とりあえず2話も見ようかと思います。それが私の螺旋道、否、オタク道。

まだ私のハートを射止めるキャラはいませんでしたが、GWではヒイロ萌えだった私はやはり主人公に行くのかな。どうかな・・・。


2007-10-06-Sat-12-51

サラ・ウォーターズの・・

サラ・ウォーターズの小説『茨の城』ドラマがWOWWOWで放送決定らしいです!

19世紀ロンドンが舞台の耽美ミステリ。
海外作家作品ってあまり読まないのですが、サラ・ウォーターズはコテコテの耽美色が好みで読んでます。女×女の雰囲気が特徴でいやらしくてヨイのです。

こちらの画像もいいですよー、

http://www.wowow.co.jp/drama/ibarano/

額を寄せ合って二人の世界を構成している女子二人にウフフです。
うわあ見たいなぁ・・・WOWWOW映るお友達を探さねば・・・。
2007-10-05-Fri-21-50

神様

神様/川上弘美/中公文庫

川上弘美の初期短編集。
短い話ばかり9編が収録されていますが、中でも表題作の『神様』はデビュー作なのだそう。よく「処女作にはその作家の全てが詰まっている」なんてことを言いますが、この『神様』をはじめとする初期作品群が川上弘美という作家の特色であるとしたら、それはあまりにもユニーク。

近所に引っ越してきた「くま」とピクニックに出かけたり、河童に恋愛相談を持ち掛けられたり、不思議な壷から不思議な女の子が出てきたり、風呂場で人魚を飼ってみたり。

どれもこれも、大変奇妙奇天烈な話ばかり。それがあわあわとした柔らかい文体に包まれて、何故かするりとこちらに入ってくる。そんなにとんでもないことじゃないんじゃないか、と思わせられる。これは童話とも民話ともつかない・・・そう、解説の佐野洋子の言葉を借りるならば「(夜に見る)夢のような話」なのです。ううん、言いえて妙。
人外の生き物が出てくる話だと聞いて、「シュールでとんがった話なのか・・・苦手だ」と思い込んでいたのですが(その頃は川上さんの作風も何も知らなかったので)、この本に入っている話には「シュール」だなんて切れ味のある形容は似合いません。「ファンタジー」というのもちょっと違うかんじ。そんな横文字言葉よりも、どちらかと言えば「のんびり」「ゆったり」「ふしぎでおかしい」という言葉が似合います。

意味が分からない、という人もいるかもしれません。でも意味なんてなくてもいいんじゃないの?
梨の妖精みたいな虫と暮らしたり、
原っぱの真ん中で死んだ叔父さんと再会したり、
民話みたいな過去をもつおばあさんの昔話を聞いてみたり、
優しいくまとの別れを惜しんだり、
ただそういう不思議なことを不思議なままに感じてみてもいいんじゃないかと思う。

頭を空っぽに、のんびりした気分で読んでほしい一冊。
ちなみに私はこれを読んでいると無性に眠くなりました。やはり「夢のような話」だったから、かな。

神様 (中公文庫) 神様 (中公文庫)
川上 弘美 (2001/10)
中央公論新社

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個人的に好きだったのは『花野』。あとり硅子の短編を思い出しました。あと『春立つ』もいいな・・・。
2007-10-04-Thu-22-00

ラスト・イニング

ラスト・イニング/あさのあつこ/角川書店

『バッテリー』シリーズ中屈指の人気キャラクター、瑞垣をメインにした番外編。本編最終巻読了後、間をおかずにこちらを読み始めました。貸してくれた透子さんには大感謝です。

『バッテリー』本編ラストで、巧・豪コンビのいる新田中と練習試合を果たした横手(瑞垣・門脇の学校)。天才バッターと謳われ、すでに名門高校への推薦入学も決まっていた門脇は、もう一度巧と対戦したいとの思いから周囲の反対を押し切って推薦を蹴り、地元高校へ入学。
一方瑞垣は野球部すらない地元進学校へ入学し、野球とは縁のない生活を送ります。

体格と才能に恵まれ天才バッターと呼ばれ、それでも生来の素直さを失わず、自然体のままに周囲の期待に答えてみせる門脇。
そんな門脇の良き相棒として存在しつつも、自分にはないあらゆるものを持つ門脇に対して鬱屈した思いを持つ瑞垣。

野球が好きで、でも誰よりも野球の神様に愛されたような男の傍にいたために、早々と自分のことを割り切ってしまった少年の心中は、とても15歳とは思えないほどシニカルで捻くれています(いや、15歳だからこそ、かも)。
門脇の存在を羨ましく妬ましく思うのも事実、だけどその力を誰よりも認め魅入られてしまったのも事実。門脇と瑞垣という幼馴染の2人の関係は、少年漫画等にありがちな「親友であり良きライバル」という関係とは比較にならないほど複雑です。

いっそ野球そのものから離れてしまえば、門脇とも無関係になる。
自分を呪縛しているような存在からも離れてしまえる。
自分一人で結論をだした瑞垣ですが、そうは周囲が放っておかなかった。それは瑞垣が望むと望まざるとに関わらず、瑞垣個人が今までやってきたことの結果でもあるのでしょう。
世間をはぐらかすように振舞ってきた瑞垣ですが、そんな振る舞いで誤魔化せない程に、瑞垣個人の感情が周囲に伝わっていたということ。
それは結局、野球が好きだということ。
そうなんでしょう、たぶん。
門脇と切り離して、ということではなく(だってきっと瑞垣の中で野球と門脇は分かちがたい2つであるだろうから)、いったんは縁を切って自分を誤魔化して、それでもやはり戻ってしまう。一回逃げたからこそよく分かる、自分の素直な気持ち。

生まれながらのピッチャーだと、自分には野球しかないのだと、疑うこともしない原田巧という不器用な天才も(自分とはかけ離れすぎているがゆえに)確かに魅力的です。でも私個人としては、自分の力を自分で見定め、己を自嘲し、自分にはない才能をもつ他人に嫉妬し、憧れ、自問自答を繰り返す・・・そんな人間くさい瑞垣俊二のほうに、より魅力を感じます。

ラスト・イニング ラスト・イニング
あさの あつこ (2007/02)
角川グループパブリッシング

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ちなみに妹の香夏ちゃんもかわいいのです。門脇のお母さんも、いい味だしてます。
2007-10-03-Wed-20-29

バッテリーⅥ

バッテリーⅥ/あさのあつこ/角川文庫

あさのあつこのベストセラー最終巻、やっと読み終えることが出来ました。文庫版発売時にすぐ購入していたのですが、友達に「どうせならラスト・イニング(番外編)もあわせて読んだほうがスッキリするよ」と言われ、しばらく寝かせたままにしておいたのでした。

で、読んでみた感想なのですが・・・、「最終巻の主役は、巧&豪じゃない」ってかんじです。うん。
文庫版Ⅵ巻のあとがきで、作者は「一人の少年(巧)を追いかけて書き続けた10年以上でした」と語っています。私が1巻から間をおかずに最後まで読んでいたなら、『バッテリー』というシリーズを類稀な主人公の物語として読み終えることが出来ただろうと思います。
でも私はⅤ巻を読んでからかなりの間を空けてⅥ巻を読んでしまった。
だからなのか、私にとってこの最終巻は「瑞垣の物語」であり「門脇の物語」であり「海音寺の物語」である、というほうがしっくりきます。

原田巧という一人の天才ピッチャーの存在によって、その周りの人々に化学反応が発生する。その結果としての最終巻というか・・・豪の中での葛藤も、最終巻以前にいったん踏ん切りがついてるんですよね。「バッテリー」としては最終巻ではもう(それ以前とは違う形で)モトサヤに落ち着いているというか、それはあくまで外野から見た形ですけど。
だからこそこのⅥ巻を読んだときには、本来メインであるはずの巧と豪よりもその周りで動き回る人たち(瑞垣・門脇・海音寺)のほうが印象に残りました。

シリーズ最終巻だというのに、文庫版293ページ中235ページが試合以前の話で埋められています。そう、この野球少年たちの物語は、意外なほど野球シーンが少ないんです。この『バッテリー』というシリーズが何がメインだったのかって、それがたんに「野球をする」ということでなかったという紛れもない事実ですよね。
というわけで、一部には「中途半端だ!」と言われたという最終巻の締めくくりもまたこれはこれでアリなんじゃないかと思いました。

まあそう思えたのは、Ⅵ巻読了後に即『ラスト・イニング』を読めたからなのかもしれませんが・・・

バッテリー 6 (6) バッテリー 6 (6)
あさの あつこ (2007/04)
角川書店

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2007-10-01-Mon-21-59

アニメ最終話感想

今期アニメが次々が最終回を迎えました。
まとめて感想書いてしまおうと思います。では。

天元突破グレンラガン
すごくすごく良かった。3部以降からクライマックスにかけてのテンションの保ち方は異常というか奇跡というか。鬱モードもはっちゃけモードもどちらも得意なGAINAXならではですね。
一見少年少女向け熱血ロボットものと見せかけて、その実はマニア向けメタロボットアニメなんだけど、やっぱり本質は熱血アニメだったという。4部構成ごとに雰囲気を変えてきた構成の妙、それを描ききるテクニック・・・持ってるもん全部出し切ったぜ、俺たちロボットアニメ大好きだぜ、という熱意を感じる作品でした。キャラデザとメカデザで食わず嫌いした人は超もったいないと思います。大人になってノリと勢いだけのアニメになんて見れないわ、なんて思ってた自分に活を入れてくれた作品。ロボットもの好きならこれを見ずに死ぬな。
とりあえず今月からの再放送は全話録画必須です。

天元突破グレンラガン1 (通常版) 天元突破グレンラガン1 (通常版)
柿原徹也.小西克幸 (2007/07/25)
アニプレックス

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地球へ・・・
これも良かった・・・個人的には原作のラストより好きです。救いがあるし。グレンラガンがスーパーアマチュアによるやり過ぎアニメ(アニメ夜話・岡田斗司夫用語より)ならば、こちらはプロによるプロ仕事ってかんじです。原作の持ち味を殺さず、うまく膨らませてキャラクターを肉付けさせたと思います。
感想としては、トォニィはそんなにグランパのことが好きだったのねっていう・・・あとマードック大佐、最後株上げたなあ。

地球へ・・・Vol.1 【通常版】 地球へ・・・Vol.1 【通常版】
斎賀みつき.杉田智和 (2007/08/08)
アニプレックス
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ぼくらの
これも全体的に完成度の高い作品でした。原作未読ですが、アニメだけで完結させてくれた姿勢には好感をもちます。原作ファンはまた違う感想でしょうけど・・・

テレビアニメ『ぼくらの』DVD Vol.1 テレビアニメ『ぼくらの』DVD Vol.1
石田彰; 東地宏樹; 皆川純子; 阿澄佳奈; 野島健児; 三瓶由布子; 牧野由依 (2007/07/25)
Viictor Entertainment,Inc.(V)(D)
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精霊の守り人
これも原作未読。でも画的には最高峰の水準でしたね、綺麗すぎでした。物語も画面に似つかわしい落ち着きと重厚感で、原作の世界観よりぐっと狭められているんだろうな・・・というのは感じましたが、話数に限度のあるアニメとしてよく纏めたと思います。原作とは別モノとしてみるべきなのかも。

精霊の守り人 第1巻 (初回限定版) 精霊の守り人 第1巻 (初回限定版)
麻生我等 (2007/06/22)
ジェネオン エンタテインメント
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さよなら絶望先生
何よりあのOPが素敵でした。放送コードの限界に挑戦したと思います。全12話は短かった・・・願・続編。

さよなら絶望先生 特装版1 さよなら絶望先生 特装版1
新房昭之 (2007/09/26)
キングレコード
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ロミオ×ジュリエット
世界樹云々のあたりから見てなかったんですが、最終話だけは鑑賞しました。お家騒動の政治的かと思いきや作品のキモはファンタジー設定でしたか・・・それなら何もロミジュリにする必要はなかったなぁと思いました。ロミジュリなのかファンタジー世界系なのか、絶望先生風に言うなら「軸がぶれてる」ってかんじ。せっかく剣戟シーンが多かったのに、いまいち華がなかったのも残念です。

ロミオ×ジュリエット -1- ロミオ×ジュリエット -1-
吉田玲子; 原田大基 (2007/07/27)
Happinet(SB)(D)
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