フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-08-31-Fri-21-09

GENTE 1

GENTE1-リストランテの人々-/オノ・ナツメ/太田出版

読者層拡大に一役買ったオノ・ナツメの出世作『リストランテ・パラディーゾ』の紳士たちメインの新刊『GENTE』を購入しました。
『リストランテ~』でも十二分に大人の色気をふりまいていた老眼鏡紳士たちですが、今回はそれぞれが単独主演ということで、よりいっそう人となりがはっきりと描かれます。

亡き妻の看病をするために退職し、一人娘とその息子との絆を大事にするルチアーノ。
不幸な女をつくりたくないから結婚しないんだ、などということを臆面もなく言ってしまえるヴィート。

今回のメインはこの二人。勿論他のキャラクターも頻繁に登場しますが、彼らの主演話は2巻以降でしょうか・・・『リストランテ~』以前の話なので、リストランテが出来るところ、彼らが出会うところから物語が進行していくのが面白いですね。
『リストランテ~』時にはもういなかった女性のコックも格好よくって気になりますが、「老眼になったころ出直してきます」って出て行った青年も気になります。負けるな、青年!

イタリア紳士の色気たっぷりの本作も『リストランテ・パラディーゾ』に負けない魅力で女性ファンをとりこにしてくれることでしょう。とりあえず私は57ページ4コマ目のルチアーノの首筋にやられました。続刊も楽しみなシリーズです。
それにしてもオノ・ナツメを読むとグラーチエ!とか似非イタリア語を喋りたくなってしまって困ります。

GENTE  1 (Fx COMICS) GENTE 1 (Fx COMICS)
オノ・ナツメ (2007/08/28)
太田出版

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それと友人から借りて『I've a rich understanding of my friend defenses setteorsi』も読みました。商業デビュー前?でしょうか・・・同人で出していたシリーズが店頭販売されたものですね。(だからなのか、画像は出ませんでした)
こちらは『not simple』系の絵柄なんですが、作品の雰囲気は結構ハード。警察という職業ものだからでしょうか?最初は「登場人物の見分けがつかないよー」なんて思いながら読んでいたのですが、読み進むうちに気にならなくなりました。モノローグも少ないし、解説文もついてないのに、あんなに白黒淡白な絵柄でドラマチックな話を描けるのってやっぱり才能なのかなぁと思っちゃいます。

『五葉』の3巻も買わないと・・・。

さらい屋五葉 3 (3) (IKKI COMICS) さらい屋五葉 3 (3) (IKKI COMICS)
オノ ナツメ (2007/08/30)
小学館

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2007-08-29-Wed-15-34

新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇/森見登美彦/祥伝社

『夜は短し~』に引き続き、森見作品読了。
青春エンタメ小説だった前作に比べて、こちらは『走れメロス』等の古典の名作を下敷きに、森見オリジナルのテイストを加えて再構築した短編集となっています。

『山月記』
自分は他人とは違うのだという信念のもと、大学生というモラトリアム期間を可能な限り引き伸ばした挙句、すでに人生の第2ステージに移った(見下していたはずの)学友たちに取り残されてしまった焦燥にかられる主人公・斉藤。やがて彼は大文字山に迷い込む。

『藪の中』
映画サークルに所属する3人の男女の話。恋人と元恋人という3人が作成した映画は、あたかもドキュメンタリーのような内容だった。それにまつわる人々の見解が、それぞれの視点で語られる。

『走れメロス』
詭弁論部に所属する主人公・芽野は、詭弁論部部室奪回のため、図書館警察を敵に回す羽目になっていた。芽野は自分の身代わりとして、同じく詭弁論部の芹名を図書館警察に預け、「明日の夕方までには帰ってくる」と約束する。そうして始まる京都市内を駆け巡る大騒動。

『桜の森の満開の下』
桜の咲く哲学の道で出会った女と暮らし始めてから、平凡な京大生である男の人生は大きく変わった。女のアドバイスのままに書いた小説が賞を獲り、いつの間にやら流行作家に。とんとん拍子の出世のはずが、男の胸のうちには常に絶対的な違和感があった。

『百物語』
大学の友人に誘われて集まった百物語の会場。そこで皆の話題に上るのは、主催者である鹿島という男のこと。だが不思議なことに誰一人として鹿島という男と対面したことはないという。果たして鹿島なる男は実在するのか?

という5編が収録されています。
出だし部分を読んだときは、てっきり『夜は短し~』のような京大ノリの話だな?と思ったのですが、そして実際そんなかんじの作風だったのですが、でも本質的な部分ではかなり原作に沿っているなあと思いました。思ったよりも忠実です。
個人的にはハイテンションな『走れメロス』が楽しかったですが(詭弁論部いいなあ)、『桜の森の~』も結構好み。
自己満足のためだけに終わらない小説を書き続ける男は作者の投影かな・・・。京都ネタはすごく楽しいけれど、そろそろ京大ネタ以外の話も読んでみたいものです。

新釈 走れメロス 他四篇 新釈 走れメロス 他四篇
森見 登美彦 (2007/03/13)
祥伝社

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2007-08-28-Tue-20-19

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦/角川書店

巷で評判の本書、友人の透子さんから貸していただきました。
透子さん曰く「感想が書けなかった」というのも納得の奇天烈ストーリーに、くらくらと酔わされながらも意外とあっさり読めてしまいました。

主人公は2人。京都の某国立大学生である「私」と「彼女」。
「私」は同じサークルに籍を置く彼女に想いを寄せ、彼女の行く先々をつけては偶然の遭遇を演出しようとすることに全力を燃やす妄想暴走男。
「彼女」はある時は木屋町を統べる酒豪となり、ある時は緋鯉を担ぎ達磨をぶら下げたヒロインとなり、ある時は風邪の神も避けて通る天然無敵の黒髪の乙女。
物語は、「私」と「彼女」の視点から交互に語られ、主に物語の主人公となりうる「彼女」の行動を、物語の路傍に位置する「私」が目撃する、という構図で語られます。
その「彼女」の京都での冒険の日々よ!
本書は4編から成り、それぞれ春夏秋冬の季節の行事(春は結婚式の二次会、夏は下鴨古本市、秋の学園祭、冬は風邪の大流行)がベースとなっているのですが、それらのなんとも奇妙奇天烈なこと。
夜の木屋町には「李白」の個人車両が現れ、伝説の偽電気ブランをめぐっての大騒動、古本市には古本の神様が登場し、学園祭には学内の変人大集合、地に足をつけない精神状態によって空中浮遊をする天狗が登場すれば、腰をクネらす「詭弁踊り」が往来する!
ともすればただのファンタジックなトンデモ話になってしまいそうなのですが、京都という街を舞台にしたことでそこに不思議な現実感がかもしだされ、読者を「京都だったらアリかなぁ・・・」という心理に誘導します。いや、全然アリじゃないんですけどね、全然。
聞き覚えのある地名や店名が昔懐かしモードに誘ってくれて、なんとも懐かしい読み心地でした。

京都を舞台にしたこと、京大生を主人公にしたこと。
それが何よりの成功の秘訣だったろうな、と思います。
同じ京大生ネタでも『太陽の塔』は途中で読む手が止まりそうな話でしたが、こちらはきちんとエンタメですね。もっともその根本部分は変わっていない気もするけれど。

個人的にはこういう大法螺吹きなドタバタ学園モノは好きなので、「あぁいいなぁ」と素直に読めました。『うる星やつら』や『究極超人あ~る』等、ありえないノリの学園ものって昔から好きだったんですよね。キャラ的には天狗の樋口さんイチオシ。

夜は短し歩けよ乙女 夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦 (2006/11/29)
角川書店

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友人(しかも二人)に「このヒロイン、君にちょっと似てる!」なんて言われたのですが、どうでしょう。褒め言葉なのかどうか、判断に迷うところです。自分的には軟弱モノの思い込み主人公に近いかなと思いますが・・・
あと詭弁踊りを実際にやってみたのですが、どうもデューク更家のクネクネウォーキングにしかなりませんでした。私の中の詭弁踊りは更家ウォークで決定です。
2007-08-26-Sun-11-55

動物園の鳥

動物園の鳥/坂木司/創元推理文庫

ただいま実家に帰省中、父のパソコンから更新しております。
今回の旅のお供はひきこもり探偵完結編、この『動物園の鳥』でした。
すらすらっと読めるんですよね、文章がうまいというよりは私と波長が合うというか。読みやすくって、新幹線待ち中に半分近く読めてしまいました。

さて、この完結編も1作・2作目と同様、探偵役・鳥井の友人である坂木の一人称で語られています。今回の事件は動物園で発生する動物虐待。
動物園に迷い込む野良猫が異物を吐き出したり、出血をしていたり・・・明らかに人為的な暴力を受けている、という相談を受けた「ひきこもり探偵」鳥井&「無類のおひとよし」坂木コンビ。
問題の動物園がなんとか鳥井の外出可能な範囲であるということから、現場に赴いての推理がはじまります。坂木はそこで、自分が思うよりもはるかに強くなった鳥井を再確認します。
野外でリラックスした風の鳥井、
他人(滝本)の心を慮るような鳥井、
思いがけない過去の人物と再会した時にも取り乱さなかった鳥井。

そこで坂木は一つの決断をします。
分かっていたのに今まで出来なかったこと。鳥井が心配だからといいつつ、自分自身が怖くて出来なかったこと。
それは、鳥井を突き放すということ。

本筋であるミステリ部分に関しては特にひねりも何もありません。犯人も予想通りでしたし。やはりこの作品の主題は「鳥井と坂木の関係」ですね。そここそが本筋であって、ミステリは味付けにすぎないと思います。中学生時代から20代(半ば?)にかけてずっと続いてきた二人の相互依存の関係が、この3作目ラストにして転機を迎えます。

鳥井に憧れるからこそ鳥井の弱みに付け込み、支え、自分だけを頼ってくれる鳥井に満足を覚える坂木。そしてそんな自分を嫌悪する坂木。
シリーズを通して、「ひきこもり」である鳥井の世界は広がりをみせますが、他の誰よりも変化したのは坂木でしょう。彼は「二人の世界」に満足していたにもかかわらず、鳥井のため、自分のために、あえて蜜月関係にヒビを入れます。鳥井がさらに強くなるために。自分ももっと強くなるために。

・・・まあ、そういう作品なんですけど、正直な感想を述べれば、やっぱり最後まで作品世界に入り込むことはできませんでした。
「感動的なラスト」なんだろうな、とは思いつつ、特に何の感慨も沸かなかったし・・・これは私が坂木にも、ましてや鳥井にもシンクロできなかったからでしょうね。どうも二人とも人間味がないというか、なんというか。ある意味坂木の心理は理解できるのですが、特に鳥井のキャラクターが最後までしっくりきませんでした。
ひきこもり云々じゃなくて、もっともっと坂木と鳥井という二人の内面を掘り下げてほしかったなぁ。

本編中で一番共感した部分は謎解き部分の「一般論しか口にしない人への違和感」ですね。ここは読んでて面白かったです。
なんていうか、行動のすべてが他人の目を意識してるっていうか、誰にも責められないようにしてるっていうか、そんな感じがしたわ」「こう言っておけば、誰も不快に思わないし、突っ込まれることもない。そういうバリアみたいなものを感じるわ
というところですね。
これはうまく表現できないんですけど・・・両親や教師から「良い子」だという判定をされるであろう要素を取り込むことに、なんの疑問も抱かない子、かな。校則を守ることに疑問がないというか。お堅い優等生キャラならそれはそれで味なんですけど、それが私生活にも及び、成人して尚そいう「レールの上を堂々と歩いてみせる」ことに一片の疑問ももたないという人は、正直気味が悪い。でもそういう人が「勝ち組」になったりするわけでしょうか、やっぱり。
積極的に悪事を働いたりはしないから、ぱっと見はとても「いい人」なんですけどね・・・枠の中にいるということを疑いもしない人って、常に斜め目線の私からすると、とても奇妙です(向こうもそう思うのでお互い様なのだろうけど)。
単純な良し悪しではないけれど、物事を多角的に見るということ、疑問をもってみるということというのは大事だと思います。マイノリティの意見も素直に聞くということですね。これは私自身、昔からオタクであることに引け目をもっているから余計にそう思うのかもしれないですが・・・最近はあまり隠せてないかもなぁ・・・。

動物園の鳥 (創元推理文庫) 動物園の鳥 (創元推理文庫)
坂木 司 (2006/10/11)
東京創元社

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でもだからといってこの作品での松谷さんの言われようはあんまりだとも思いました。なんだかちょっと釈然としないのです。
2007-08-25-Sat-14-49

UNOでオーリ

昨日深夜放送の、資生堂UNOのCMスペシャルバージョン、なんとか録画できておりました。

まさか日本企業のCMでオーリを見ることができる日が来るとは・・・、ロードオブザリング・旅の仲間で「誰このエルフ!超エルフ!」と思ったあの遠い日からはや幾数年、夢って叶うものなんですねえ。これでオーリの知名度も、映画ファン以外にも広がるかな。でも広がりすぎてただのアイドル扱いになっても嫌ですけどね(すでに欧米ではそんなかんじなのでしょうか?顔がいい役者の宿命でしょうけどねー)。

CMのバリエーションの中だとやっぱりスーツ姿が好き。しかも眼鏡、ウインク付きですよ!(悩殺) 
あんなかんじの現代の若者をまたやってくれませんかねぇ。エリザベスタウンもよかったのもの。あとは近代ヨーロッパものとかも是非見たい。インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアのリメイクするならルイ役は是非オーリに!と、もう何年間も一人で言い続けております・・・。
2007-08-25-Sat-14-14

コードギアス考

すごく納得してしまう記事を見つけました。
納得というか、共感なんですけど、

『コードギアスの無節操さの話』です。
詳しくはこちら → http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20070823#p3

アニメだから単純に萌えて楽しめばいいと思うし、そういう風な楽しみ方を十二分に考えて作ってある作品がコードギアスだと思います。でもなんとなーくモヤモヤっとしたりイラっとしたりするところがあるのも事実だったわけで、自分でも上手く言葉にすることが出来なかったのですが、ここの記事を読んでとても共感を覚えました。
かなり右寄りの思想が強かったり、ブリタニアがあまりにも露悪的だったりして、TVシリーズ放送時から激しく違和感を感じていたもので・・・

ま、そんなもの「素直に楽しめばいいのに、なんでそうひねくれて考えちゃうかな」って言われたらそれまでなんですけどね。初見時からしてそう見えちゃったものは仕方ございませんですよ。もっとぼやかしたファンタジーにしてくれれば抵抗もなかっただろうになあ、と思います(でもそれも狙いなのか・・・)。

コードギアス 反逆のルルーシュ 1 コードギアス 反逆のルルーシュ 1
福山潤、櫻井孝宏 他 (2007/01/26)
バンダイビジュアル

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あそうそう、最近はアニメ『さよなら絶望先生』が面白いです。
最初からチェックしておくべきだったなぁ、と後悔しています。だってもうOPの筋肉少女隊からやられちゃいましたよ。特に今週のはギリの線の他アニメパロが笑えました。
原作も気になってきたけど、友達があまり乗れなかったらしいので、とりあえず古本屋ででも見てみます。

さよなら絶望先生 第1集 (1) (少年マガジンコミックス) さよなら絶望先生 第1集 (1) (少年マガジンコミックス)
久米田 康治 (2005/09/16)
講談社
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文学青年は普通に萌えますねえ・・・。
2007-08-24-Fri-21-54

コンプレックス

コンプレックス 全3巻/まんだ林檎/朝日ソノラマ

ユリイカ腐女子特集でとりあげられていた『コンプレックス』を読んでみました。
まんだ林檎は私にとっては長い間「アニパロの人」だったのですが(勇者シリーズとか覚えてる・・・)、今じゃBL界の大ベテランと呼んでもいいのかもしれません。そのわりにショタ系・シリアスハード系といまいちメジャーになれない路線を走っているせいか、どことなくマイナー感がある(言い換えれば通好み?)のも親しみを感じます。

『コンプレックス』はそのまんだ林檎の最長代表作。
変態小学校教師が登場するハイテンションショタ物語だった第1話をスタートとして、達也と淳という二人の人生の物語が綴られます。
無邪気だった小学生時代、
ちょっと大人びた中学生時代、
お互いに意識しはじめた高校生時代、
そして大学時代、社会人・・・そして最後には二人の老年期までが物語られます。その長いこと!BLというジャンルでなくても、登場人物の子供時代から老年期までを描いた漫画というのはかなり珍しいと思います。長い人生で二人の間に起こった出来事、二人それぞれの胸のうちとその変化・・・ひと一人の人生をじっくりと見せてもらった気がします。

はじめはコメディとしてはじまった『コンプレックス』シリーズは、回を重ねるごとにシリアスな人間ドラマとして変化していきます。男性カップルが社会で生きていくということを正面からとらえた作品として、読み応えアリアリです。
最後は思わず泣きました・・・・BL漫画で泣いたのって初めてかもしれません。文庫帯の栗本薫の煽り文句は伊達じゃなかったですよ。

コンプレックス(1) コンプレックス(1)
まんだ 林檎 (2006/09/15)
朝日ソノラマ

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もう一冊、短編集『LOVE SONG』も同じく読み応えのあるヒューマンBL漫画。これもすごく好きです。まんださんは、ひと時の恋とかそういう域を超えた・・・なんというか、人生においての?社会の中での?BLというものを書く人です。
そして何より絵が上手い。
10年以上前、アニパロを読んでいた時から「絵が上手いなあ」と思っていましたが、今でも尚その印象は変わりません。
やっぱり上手いです、まんださん!

LOVE SONG LOVE SONG
まんだ 林檎 (2007/01/06)
竹書房

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2007-08-21-Tue-23-22

残酷な神が支配する

残酷な神が支配する①~⑩/萩尾望都/小学館文庫

この前読んだユリイカの影響で・・・ではなく、ここ一週間は自分で買ったり人から借りたりしたBL本をどっさり読んでおりました。さすがにそれ系ばかり読みすぎだ、と反省しましたが(でも手を伸ばせばそこにBLがあるのだから仕方ない)、さすがに目の肥えた友人から借りた漫画・小説は粒ぞろい。十二分に満足させてもらいました。草間さかえも西田東も「おおー」と思ったものですが、やはり一番インパクトがあったのは『残酷な神が支配する』です。

昨日から今日にかけて一気読みしたところで、まだ頭が『残酷』モードから離脱できていません。それだけトリップしてしまったのは単にこの話が長いだけではなく・・・強力な磁場を持っているからでしょう、物語そのものが。
それにしても文庫で全10巻という大作の本シリーズの内容を説明するのはちょっと苦労です。噛み砕いていうと「義父からの性的暴力に身も心も破壊された主人公と、彼を立ち直らせようとする義兄との破壊と再生の物語」というところでしょうか。間違ってはいないけれど、こんな文章じゃこの作品の何百分の一も表現できた気がしません。

ショッキングな内容の通り暴力表現も痛々しい限りですが、でもそれよりも何よりも描写がすごかったのは、主人公(と義兄)の心理表現です。時空を超え、空間を超え、人体の構造もバラバラのピースに分解されて、歪められ、引き伸ばされて、そしてまた再構築される。
何が現実で何が夢なのか、その境すらも曖昧な内面表現。すでにあらゆる表現が試されたと思っていた「漫画」というジャンルで、全く見たことのない表現方法を見た!と思いました。
それを萩尾望都の流麗美麗な絵でやられるんですもの・・・もう読み手は何もいえません。
そしてしつこい程に繰り返される主人公と義兄の対話。
読んでいる側としては「もう君たち分かり合いすぎるくらい分かり合ってるんじゃないの?」とも思うくらいですが、二人は決して妥協の結果の穏やかさを求めません。言葉で、体で、精神で対話をし続けます。どれほど傷ついても、後悔しても。むしろ後悔を積み重ねるほどに、新たな理解を得ようとします。その姿は痛々しいほどに脆く、真摯に映ります。
この対話はきっと終わることはなく、ずっとずっと続いていくのでしょう。
むき出しの魂同士の衝突というのは(きっと自分には出来ないことだけに)、まるで見てはならないものを見てしまったような畏怖を感じ、だからこそ見ずにはいられないものなのだろうと思います。

・・・・また落ち着いたら読み返そうと思います。
もう少し間を空けてから。でもきっと何回読んでも魂を抜かれそうな気がします。さすがはモー様でございました。

(ここまで言って何ですが、これをBLと言うのはやはり憚られますね。JUNEとすらも言いがたいくらい)

残酷な神が支配する (1) (小学館文庫) 残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)
萩尾 望都 (2004/10)
小学館

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各巻の解説者がバラエティに富んでるもの面白かったです。まさか松尾スズキが出てくるとは・・・
あと佐藤亜紀は解説文ですらちょっと小難しいんだなぁと思いました・・・
2007-08-17-Fri-17-29

ユリイカ 腐女子マンガ大系

ユリイカ 腐女子マンガ大系/青土社

友人・カノさんから回ってきた一冊。なんと『ユリイカ』による腐女子研究本です。・・・まあ、文化系女子特集なんかやってしまった『ユリイカ』だから、それほど驚くことではないのかもしれない。

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2007-08-16-Thu-23-18

BS押井守特集

先週BSで放送していた押井守特集を少しずつ見ています。

まあわりと好きだけど、ファンという程「世界の押井」について詳しくはない私。でも年齢の割りには押井監督との出会いは早いほうだったかな、と思います。
小学校高学年の頃には同級生から借りたうる星やつらの劇場版を見ていた記憶があるし、TVシリーズのパトレイバーも見ていました。そういう子供時代のせいか、いまだに押井監督といえば甲殻よりもパトレイバーのほうが先に浮かんでしまいます。
好きなんです、パトレイバー。いわゆるロボットものとして、現実(日常)の延長線上にロボットを描いたものとしては最高峰の作品だと思います。妙にしみったれてるとことかね。

押井特集を見ていて面白かったのは、やっぱりパトレイバーの裏事情について。まずは元々のコンセプトがゆうきまさみ(漫画原作者)の「人が死なないロボットもの」ということだったこと。これ結構目から鱗でした。なるほど確かに。
そして押井監督の「大人になりきっていない若者の長い夏休みのような作品にしようと思った」「主人公たちは、友引町(うる星やつら)の住人に少し年をとらせたかんじ」という言葉。これってうる星やつら劇場版「ビューティフル・ドリーマー」のテーマとかぶりますね。永遠に終わらない文化祭前日。特車二課のある東京湾沿岸の埋立地が「遊び場としての空き地」というイメージだったなんて、深いです。
(声優さんもうる星とかぶってますしねえ)
また「ドラマではなく日常を描きたかった」という監督の言葉も納得。
ロボットものとしてそれまでほとんど描かれることのなかった舞台裏の人々が、パトレイバーでは「整備班」として実に存在感たっぷりに描かれます。「きっと作者は整備班が好きなんだろうな」って、子供心に感じていたのは当たっていたわけで、ちょっと嬉しい。
(整備班の歌とか覚えてますよ、懐かしい・・・)
あとはパトレイバーのパトレイバーたる所以はやっぱり後藤隊長のキャラにあるよなあ、と思ったり。

今度実家に帰ったら、兄の本棚を掘り起こして全巻読み返そうかな。
いやそれよりアニメをレンタルして一気に見ようか。
どちらにしろ、年をとったからこそ「パトレイバー」という作品を子供時代よりよりよく理解できるだろうと思いました。
「大人が作った大人アニメ」として、長く深く愛されるべき作品。押井ブランドということや、熱心なファンのおかげで、一過性の消費アニメではない良品質作品として今も存在感を放っているという事実は手放しで嬉しいことです。次世代に伝えたい作品ですね。

ちなみにウィキの解説を読むと、「焼き魚志向の生活アニメ」なのだそうで、深く納得してしまいました。パトレイバーの歴史そのものも非常に興味深いです。

機動警察パトレイバー DVDメモリアルボックス (初回限定生産) 機動警察パトレイバー DVDメモリアルボックス (初回限定生産)
冨永みーな、古川登志夫 他 (2007/05/25)
バンダイビジュアル

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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
平野文、古川登志夫 他 (2002/09/21)
東宝ビデオ

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10年以上ぶりに『うる星やつら劇場版ビューティフル・ドリーマー』も見直しました。夢と現実は紙一重、いや、それすら自分の思い込みでしかないのではないか?昔見た時も不気味な話だと思ったのですが、今見てもやはりインパクトの強い話でした。私ならきっと夢邪鬼の作る夢の世界に浸ってしまって終わりだろうなぁ。
2007-08-14-Tue-21-59

ホリデイ

先週末から今週頭にかけて、地元の友人が泊りがけで遊びに来てくれました。そして二人で近場をうろうろした休日・・・楽しゅうございました。メモがてら、行ったところを簡単に列記。

初 日:夜合流→飲み。
2日目:大阪道頓堀で食べ歩き→日本橋オタクツアー。
道頓堀の極楽商店街は思っていたより面白かったです。日本橋は・・・何も申しますまい。
それから夜に共通の友人から大きな段ボールが届きました。中身は勿論本・漫画・本・漫画・・・これがその後の我々の夜生活に多大な影響を及ぼすことに。むさぼるように読みました。
3日目:神戸南京町→異人館巡り。
坂道、坂道、坂道!やっぱりうろこの家が一番見ごたえがありますね。夜は勿論本読み大会。
4日目:自分が仕事だったため、友人は一人で京都観光へ。夜はやっぱり本読み祭。
5日目:出勤する自分と一緒に友人も帰宅準備に。ちょっと時間を潰す必要があったようですが・・・彼女のトランクの中には勿論本が!

観光とオタク根性を満喫した休日らしい休日でした。よかったよかった。たまにはこういうのもいいものですねえ。でも結局何も本を読まない夜はなかったな。だからこその類友ですが。

私信:ルエさんお疲れ様でした。懲りなかったらまたいらっしゃい。
2007-08-09-Thu-22-38

マンガをもっと読みなさい

マンガをもっと読みなさい/養老孟司・牧野圭一/晃洋書房

養老孟司・牧野圭一の二人による漫画対談。
ちょっと特殊な漫画論です。我々日本人はどのようにして「漫画」を読んで(見て)いるのか?目で、脳で、どうやって「絵」を「ストーリー」として認識しているのか?
という、いかにも養老先生らしい切り口です。
(そして養老先生は漫画がとてもお好きなご様子。それだけで好感度急上昇です)

私が面白いと思ったところは2点。
ひとつは日本人の脳内処理の仕方です。

脳学者であるところの養老先生曰く、日本人は「漢字」と「仮名」を脳の別々の場所で認識しているのだそうです。
仮名を読む部分は「角回」、これは表音に基づく読み書き処理をする場所。
漢字を読む部分は「左側頭葉後下部」、これは表意に基づく読み書き処理をする場所。
アルファベット等、一種類の文字しか持たない多くの外国人は、この「角回」部分のみを使って文字を読むのだそうです。
仮に何らかの事故にあい「角回」を損傷してしまったら、そこだけを使って文字を認識する外国人は、全く読むことができないことになります。一方日本人の場合、「仮名が読めないけれど漢字は読める」という不思議な状態になるそうです。
普段漢字仮名まじりの文章を読んでいる日本人(日本語を読む外国人も含む)は、無意識に脳の二箇所を同時活用させているというわけなのですね。

また、「マンガ=漢字」だとも言われています。
漫画というのは絵と文字の組み合わせにより成立していますが、その絵は漢字としての意味を持ち、吹き出しの文字が仮名としての意味を持つのだと。だからこそ漫画を読むことは読み取り能力を高めることにも繋がるというのですね。

そして2点目は感覚と概念の関係。
人ははじめ感覚の世界に生きていたのが、成長するに従って概念の世界へと進んでいく。しかし漫画には台詞、擬音語・擬態語等々、「感覚」がてんこ盛りに入っている。何故なら漫画はアイコンだからです。
そのために「子供のものだ」といわれる漫画ですが、逆に概念の世界に埋没し、視界の狭くなってしまった大人に感覚世界を思い出させてくれるのが漫画なのだ、と。

・・・・なんだか分かったような分からんような言い方になってしまいました。読んだときは「なるほどー」と思いながら読んでいたのですが・・・・
でもこの2点はどちらも本書の冒頭の部分。ここが一番面白かったですねえ。あとはなんだかざっくり語られすぎていたような・・・
もうちょっとマニアックな方向に、専門的になってくれてもよかったのにな、と思いました。

なんにせよこういう本が普及して、漫画の地位向上に繋がるといいですね。市民権を得たとはいえ、子供かマニアの読むものだって思っている人も多いですから・・・でも漫画を読まない人がこういう本を読むかどうかは大いに疑問。結局この手の研究本をありがたがるのって、元からの愛好者なんですよねえ・・・

マンガをもっと読みなさい―日本人の脳はすばらしい マンガをもっと読みなさい―日本人の脳はすばらしい
養老 孟司、牧野 圭一 他 (2005/09)
晃洋書房

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ちなみに私と同世代に「マンガが読めない、読み方が分からない」という人がいます。現代日本の20代が・・・!と、最初は驚愕したものですが、そういう人もいるものなのですね。(もっともそれ以前に漫画を読もうと思わない人だったから無理もない)
漫画好きの外国人でも、いわゆる少女漫画等の複雑なコマ割りの漫画を読むのはちょっと難しいところもあるそうですが、確かに漫画を読むというのは一種の慣れというか、「漫画を読む」という技術がものを言う面があるかもしれません。口で説明しようとしてもいえませんもんね、「このコマの次は左、次は下、中央、右・・・」とか。「感覚で分かれ」というしかない。
そう思えば、なるほどまさに漫画は「感覚世界」のものですねえ。
2007-08-08-Wed-21-04

小鳥たち

小鳥たち/アナイス・ニン 矢川澄子訳/新潮文庫

美貌の女性作家が、とある老人コレクターの娯楽のためだけに匿名で執筆したエロティック小説集。
いずれも10~20ページ程度の短編ですが、どれもただのポルノ小説ではなく、倒錯的なエロスの雰囲気に包まれています。

作品そのものの持つ雰囲気もですが、訳者の腕によるものか?要はポルノ作品といってもいいくらいなのでしょうが、全体的にはとても上品な印象を受けました。
それだけに男性にとって実用に耐えうるかというのは少々疑問ですが、品がいいのにポルノ、お高くとまりつつもポルノ・・・というのがかえってエロスを感じさせます。ありきたりな情事の話ではなく捻りのきいた倒錯的な小説ばかりなのも、対象が老人コレクターという、ある種のマニアだったからでしょうか。隠微な薫りがして、なかなかいいかんじです。

しかし何よりもこの本の存在価値を高めているのは、作者自身と作者がこの本を執筆するに至った経緯でしょう。
「美貌の女性作家」が、「匿名」で、「老人コレクター」のために!
なんだかこれ自体がもう耽美ポルノ小説の設定みたいです。表紙折込部分の作者の顔写真も期待を裏切りませんし。

まったりとテンション低め、どこか物憂げで悩ましげ。そんな一昔もふた昔も前のエロティックなフランス映画のような作品でした。(雰囲気でものを言ってます)
タイトルも素敵ですが、表紙も裸の少女二人が寄り添っている写真で美しく、トータルイメージも完璧です。

美しくてほの暗くて、ちょっとエロス。
そういうノリを求める方にはオススメします。

小鳥たち (新潮文庫) 小鳥たち (新潮文庫)
アナイス ニン (2006/02)
新潮社

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ちなみに解説は三浦しをん。
そこだけいつもの三浦節で、ちょっと全体の空気が歪みましたが、でも正直な語りには笑ってしまいました・・・「エロ本はいついかなるときも堂々と買う」そうです。男、いや漢だなぁ。
2007-08-06-Mon-21-07

いまさら響鬼

未読なのですが、とても気になる本をご紹介。

響鬼探究/加門七海/国書刊行会

最近は『電王』が大人気だそうですが、その一方で今更『響鬼』本が出版されたようです。何故今?というかんじですが、きっと制作にそれだけ時間がかかったんでしょうねえ・・・あと、熱烈なファンのクールダウンを待っていたのかな?とも思います。

さて、『仮面ライダー響鬼』は2005(平成17)年に放送された特撮番組。日曜の朝にやってるアレですね。
仮面ライダーシリーズのはずなのだけど、ヒーローたちは「鬼」という呼称で表現され、特殊器具によって変身するのではなく、自らの肉体と精神を徹底的に鍛え、修行に努めることによって変身する能力を得るという設定でした。今までにない基本設定と、全体を覆う極めて日本的な「和」の雰囲気等から、オリジナリティ色豊かな平成ライダーシリーズ中でも最も異色の作品と言われる・・・・そうです。
もっとも、物心ついてから意識して見た特撮が響鬼のみ、という私には他のライダーシリーズとの比較は出来ません。でもたまたま日曜の朝つけたTVで響鬼を見た私が「なにこれ、おもしろい!」と思ったことから、全く特撮に興味のなかった層へのアピールが優れていたということは事実だと思います。
(もっとも、それだけに当の子供たちからの評判は今ひとつだったようですが)

まあ色々な意味で面白い作品だった『響鬼』の研究読本として発行されたのが本書。日本的な伝奇と怪異の作品世界を、国文学、歴史学、民俗学、宗教学など多彩な分野の専門家が語る・・・だそうです。

そう、『響鬼』は彼ら(仮面ライダー)自体が「鬼」という存在でしたが、その敵役もまた妖怪変化的なものだったり自然現象の精霊だったりと、極めて民俗的な存在だったんです。「敵」だから「悪」ではなくて、台風のような「ちょっと面倒くさい天災」扱いのような。
漫画や小説ではよくある設定ですが、「これを特撮でやるか・・・!」というのがすごく面白かったですねえ。民俗学もわりと好きな分野なので、とても興味深かったです。
言ってしまえば『蟲師』の世界を仮面ライダーがやっちゃったんだもの、すごいことです。

仮面ライダーということで色々と規制されたところのある「響鬼」は、きっと「ライダー」ではない作品として生まれることが出来たならば、とても完成度の高い作品になることが出来たことでしょう。もっとも、仮面ライダーという枠だからこそ制作可能だっということも事実なのでしょうが・・・
まあ今更何を言ってもせん無いことですが、ただ見てみたかったな、というのが一ファンの素直な気持ちというもので。
(いっそ深夜枠とかでさ。N●Kでもアリだったと思います)

とりあえず今度図書館に行ったら探してみます。

あ、もうひとつ 仮面ライダー響鬼の事情/片岡力/五月書房 というのも出ているそう。これもちょっと気になりますね・・・

響鬼探究 響鬼探究
(2007/07)
国書刊行会

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「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメントヒーローはどう〈設定〉されたのか 「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメントヒーローはどう〈設定〉されたのか
片岡 力 (2007/04)
五月書房

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2007-08-05-Sun-21-37

有栖川の朝

有栖川の朝/久世光彦/文藝春秋

2003年の「有栖川宮詐欺事件」をベースに、久世光彦がオリジナルの味付けをしてみせた本書。

何というか・・・・不思議な話です。
当時ワイドショーなどでもかなり話題になった「有栖川宮詐欺事件」が元である、というだけで、てっきり愉快なクライムノベルスかと思って読んだのですが・・・何でしょうね、煙にまかれたような印象が残ります。
でも事件としては確かに久世先生の好きそうなネタだなぁ、と思いました。自らを「天皇である」と名乗り、施設に入所していた人の話なぞ(詳細は忘れてしまいました。どこかの随筆で書いていましたが)を嬉しそうに語っていた先生ですから、皇族関係の、というよりは皇族を崇めてしまう日本人の心理・愛情に興味津々だったのでしょうね。縁もゆかりもない人の結婚式に招かれて、のこのこ出て行く心理というのは理解しがたいものですが、それが「宮様からのご招待」となれば話は別。
実際の事件でも400人が集まったそうですし。金額的にはどれくらいになったんでしょうね。
しっかし、よくそんなことを考え付いたもんですよ、あの人たちも。

あ、全然本の感想になりませんでしたね・・・・。

有栖川の朝 有栖川の朝
久世 光彦 (2005/06/25)
文藝春秋

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2007-08-04-Sat-22-39

宋家の三姉妹

宋家の三姉妹/中国・日本/1997年

中国随一の富豪と結婚した長女、
孫文と恋に落ちた次女、
蒋介石の妻になり、国家元首の妻となった三女。
激動の時代に、国家と革命とともに生きた宋家の三姉妹のそれぞれの人生を描いた大河映画です。

とても有名だという宋家三姉妹ですが、恥ずかしながら私は全く知りませんでした。大学の時の友人がこの映画について何か言ってたな・・・と、それだけの理由で見てみただけで。近代中国について高校の日本史で学んだ以上の知識はありません。正直「ついていけないかも・・・」と思ったのですが、まぁ何とか大丈夫でした。政治や歴史映画というよりは、そういったものに翻弄される家族の物語として描かれた作品なので、孫文や蒋介石を「どこかで聞いたような?」レベルの人でも問題なく見れると思います。

孫文と蒋介石が仲良かったっけ悪かったっけ?
で、中国と台湾ってどうして別々なんだっけ?
中国って共産主義~?そうだったかな?

この映画を見る前は、正直上のような状態だった私ですが(恥、ですよね・・・)、いやあ勉強になりました。孫文と蒋介石の妻が姉妹だ・・・って、すごいことですよねぇ。あまり描かれなかったけれど、それだって長女が結婚した大富豪(孔子の子孫だというのも驚き)の力なしには宋家が力を持続していくのも難しかったんだろうし。三姉妹がそれぞれすごい力を持った人と結ばれ、でも決して夫の従属物になったわけではなく、夫の思想や主義に賛同した同志になったわけで、だからこそ姉妹の間に溝が生まれてしまって・・・・

いろいろ考えさせられる映画でした。
何度聞いても覚えられなかった近代中国史の大事な部分が、やっとちょっと分かった気分です。作品としては思っていたよりも全体的に地味なところもありましたが、大河歴史映画を三姉妹という個人の目を通して上手くまとめて見せてくれたなぁ、という印象。

宋家の三姉妹 宋家の三姉妹
マギー・チャン、ミシェール・ヨー 他 (2001/03/07)
ポニーキャニオン

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うーん、でもネットの感想を見ていたら退屈だという人も多い(授業で使われたり)。歴史に全く興味のない人が見たら確かにどこで盛り上がったらいいのか分からないだけの映画かもしれないですね・・・
2007-08-03-Fri-12-49

三島由紀夫おぼえがき

三島由紀夫おぼえがき/澁澤龍彦/中公文庫

三島由紀夫についての興味では決してなく、ただ「澁澤龍彦のこの本初めてみた!」ということで古本で購入してみました。ブックオフには結構澁澤先生の文庫は出回っているけど、これはなかなか珍しい・・・と思います、少なくとも私の周りでは。

澁澤龍彦の『快楽主義の哲学』の帯も「三島由紀夫、絶賛!」でしたが、三島由紀夫が澁澤龍彦を評価していた、気に入っていた(いっそホモセクシュアルな域かと誤解されかねるほど)・・・というのは小耳に挟んだことがあったのですが、澁澤龍彦本人にしてみても三島由紀夫という作家は、同世代であり、作家稼業の先達であり、いろいろ意識するところもあったようです。実際にお宅に招いたり招かれたりということもある交流をしていたようで、澁澤龍彦という人の目を通してみた「三島由紀夫」覚書、というのは大変興味深いものでした。

作家・三島由紀夫・・・というよりは、実在した人・三島由紀夫について、というか。三島「論」ではないんですよね。三島の文学や行動を解析しようとする本ではなくて、あくまで実際に澁澤龍彦が会って会話をしたリアルな三島由紀夫を対象に語っている本なのです。だから「おぼえがき」。

途中途中でいつもの澁澤節においていかれそうになりながらも、実際に三島と対面した時のエピソードに「ほほぉ」「ふむふむ」「それってどうなの!」と思いながら読了しました。アポロンの彫像のたつ庭で、タキシードを着てガーデンパーティー・・・か・・・(遠い目)。
澁澤龍彦と三島由紀夫の対談も収録されていますが、話し言葉のまま掲載されており、なんだかとっても気さくなかんじです。もはや伝説のお二方が身近に感じられました。

そして実はもうまったく三島由紀夫は私の守備範囲外だったのですが、ほんの少し興味が出てきました。いえ人となりには元々興味があったのですが、高校の時読んだ『禁色』がタメージ大だったもので・・・(でもこの本の中でも禁色はけなされてます)。

ちなみに澁澤龍彦も三島由紀夫も泉鏡花と稲垣足穂が大好きみたいです。
そうなんだー、そうだよねー、ってかんじでしょうか。納得です。


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