フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-02-15-Thu-21-54

れんげ野原のまんなかで

れんげ野原のまんなかで/森谷明子/東京創元社ミステリ・フロンティア

「本好き・図書館好きに捧げる」なんて言われちゃったら、手に取らずにはいられないでしょう。

地方の公立図書館に勤める新米司書が主人公の短編連作日常ミステリ。もちろん謎は全て図書館&本にまつわるものであり、全体的にほのぼのとしています。
大変口当たりの良い本ですね、加納朋子あたりの雰囲気がお好きな人にはツボなのではないでしょうか。
私も結構好きなタイプなのですが、実は最近その手の作品に物足りなさを感じることもあり、はじめは「さらーっと読むにはいいかな」くらいのノリだったのです。


・・・ですが!


久しぶりに、惚れちゃうキャラクターに出会いました。
その人の名は「能勢逸郎」。
背が高くて、若白髪で、インテリ眼鏡で、コーヒーを入れるのが上手い大人の男です。(職業司書)
あ、案の定探偵役さんなんですけども。ざっくばらんなようで実は親切。いろいろな面で主人公をフォローしてくれます。頭の回転もいいし、教養豊か。
でも「購入図書決定会議」では思いっきり己の趣味に走った発言をして駄々をこねちゃうという、いやんなお人だったりなんかして。

くー、本好き女子の理想じゃないですか。
そりゃあ文子じゃなくても惚れちゃうでしょう。なんとなくキャラが「火村英生」とかぶってる気がするのも許せちゃいます。(絵的に、というか、私のイメージ的に)
とまあ、私的には「能勢さん」を発見しただけでもアタリだったのですが、内容的にも心地よく読めるミステリでした。
もっとも、正直に言えば「ミステリを読んだ」という気持ちにはあまりならなかったかも。トリックであっと言わせる話ではないし、そんなもんかな・・・とも思いますが。
あとは登場する3人の司書さんが皆本への愛情にみちあふれていますね。それは勿論すばらしいことだし共感もするのですが、実際の利用者としては「・・・そうかぁ?」という風にも感じます。
まぁ私が目にする図書館従事者のみなさんはほとんどがバイトさんかパートさんなんでしょうし、その全ての人に「情熱をもって働け!」なんて言えないのは分かってるんですけどね。
最近本を乱雑に棚置きしているバイト君(まさか司書じゃないと思いたい)を見掛けたりしたもんだから、余計ひねくれて感じてしまったのかもしれません。

でもこんな図書館が身近にあればいいなぁと思いますよ。
語学に堪能で有能な司書さん、
眼鏡がお似合いの男前な司書さん、
若くてかわいくて本への愛情があふれている司書さん。
そんな人たちが働く「れんげ野原のまんなか」の図書館なんて、「耳をすませば」に登場するヒロインのお父さんが働く図書館と同じくらい理想的じゃないですか?
ほんとに素敵。
素敵だからこそちょっとばかり現実味がないんだな、ということも言えますが。

うーんやはり穿ってみてしまった・・・これも図書館愛好者ゆえ、見る目が厳しいのだと思ってください。
いろいろ言いましたが、全体的には楽しく読める一冊でした。とりあえず図書館好きの方にはオススメしたいです。
シリーズものっぽい雰囲気がすでにありますが、これ、続くのかな・・・?
一点だけ気になったのは、第三話「春 雛支度」の犯人の行動解説の部分。いっこだけ、いっこだけ釈然としないんです。いくら名前うろおぼえでも、毎日のように顔をあわせる人がカウンターにやってきたら「あれ?」って思うのではないでしょうか?うーん、気になる・・・。
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2007-02-10-Sat-21-52

No.6(#5)

No.6(#5)/あさのあつこ/講談社

『バッテリー』シリーズのあさのあつこの近未来SF冒険シリーズ。長らく借りっぱなしだった第5巻をやっと読了致しました。

「No.6」という完全管理の都市を脱出し、スラムに逃れた主人公・紫苑と謎の少年・ネズミ。果たして二人は生き延び、No.6を覆すことが出来るのか?
というお話です。まあ設定としてはありがちと言えますが、『バッテリー』の作者だけに、紫苑とネズミという二人の少年の描き方が上手いです。あとは風呂敷が大きいわりに登場人物が少ないですね。これはヤングアダルト向けというのもあるかもしれませんが(これを田中芳樹あたりが書いたら銀英伝みたいになるのでは)、だからこそキャラクターを魅力的に躍動的に描け、読み手を飽きさせずに(1年に1冊刊行でも)引っ張れるのでしょう。
巻を追うごとに、住人の精神まで支配しようとするNo.6の異常なファシズムが明らかになる一方、紫苑とネズミの状況は停滞気味で「なかなか話が進まないなぁ」と思っていたのですが、前巻と本巻で急展開ですね。
特に本巻のラスト近くでの紫苑の行動は嬉しい驚きでした。うーん、何か秘密があるのでしょうか?そういうネタは大好きなので、つい期待してしまいます。
2007-02-06-Tue-21-49

マルドゥック・スクランブル 燃焼・排気

マルドゥック・スクランブル
The Second Combustion 燃焼・The Third Exhaust 排気/冲方丁/ハヤカワ文庫


一千年の遺跡が生きる土地で読むSF小説もオツなものでしたよ。半分以上は飛行機内で読んでたんですけどね、暇つぶしにはもってこいの怒涛の勢いの2・3巻でした。

さてさて、お話は美少女バロットが万能武器ウフコックとともに、自身を死の淵に追いやった男シェルとウフコックの元相棒ボイルドと戦い、自分の尊厳と自由を取り戻すというもの(で、あってるのだろうか)。
1巻を読んでいて「マルドゥック市(シティ)」や「スクランブル-09」という設定が大きなものだったので、てっきりシェルやボイルドの背後にさらに大きな適役がいるのかと思っていましたが、そうではありませんでした。
というよりも、この作品のテーマはあくまでヒロイン・バロットの心理的なものだったのだなぁと思います。
まぁ、そうでなかったらとても全3巻じゃあ終わらなかったでしょう。

個人的に特に思ったところとしては、「これほど熱心に『女子が感性で戦う』ということを説明した作品は初めてだ」ということですね。
後半の大部分を占めるカジノシーンで、ウフコックは『女性が不可思議で神秘的であるところを見せてやろう』と言い、バロットにあえて感情的できまぐれな物言いをすることを勧めます。そしてその通りに振舞うことで、バロットは見事勝利していくのですが、これがなかなか面白かったです。
そもそも肉弾戦でもバロットは「皮膚感覚」で戦います。「感じる」ことで戦うのですね。
これは男性キャラが「厳しい訓練を経て」「類まれな肉体を所持しor驚異的な破壊力をもつ武器を手に入れ」て戦う・・・という、アクションものの王道とはだいぶんノリが違います。
たとえばセーラームーンでもキューティハニーでも、女子は「不思議な力」によって敵と戦いますが、それをこういう形でしっかりと表現したのは面白いなー、と思いました。これがファンタジーとSFの違いってものでしょうか?
それでも女子の戦いにもこういう理屈をつけるってことが男性作家らしいってことかなぁ・・・

その昔読んだ『紅一点論』(斉藤美奈子著)で「男子は屁理屈理論と力技で戦い、女子は愛と夢の力で戦う」というようなことが書かれていたのを思い出し、本書を読みながら深く頷いたのでした。


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