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フナフナベイベ

徒然に一人語る読書感想文。 雑食ですが趣味嗜好はかなり偏っておりますのでご注意を。

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2007-07-18-Wed-21-14

金春屋ゴメス

金春屋ゴメス/西條奈加/新潮社

近未来の日本。
月移住がそう珍しいものではなくなった時代、一方で前近代的な生活に魅力を感じる人々が一部で増加し、中でも時代趣味が高じた資産家が財産をつぎ込んで日本国内に「江戸」を再現した。
擬似「江戸」内には老後の田舎暮らしに憧れる老人からロハスな生活を求める若者が集まり、着々とその規模を拡大していった。
やがて都市としての体裁を保つほどになると江戸は独立を宣言、日本政府もそれを認め、ここに創設者を将軍とした鎖国都市「江戸」が誕生することとなる。

・・・なんて、この設定だけでも愉快な本作は第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品。「うぬ、さすがは日本ファンタジーノベルだわい」と思ってしまうユニークさと素直なオモシロさで、一気に読んでしまいました。
「やったもんがち」な設定とはいえ、細部も至るまでなかなかの徹底しぶり。
海外においては「日本の属領」扱いとはいえ、日本に対しては列記とした独立国として独自の文化・生活スタイルを主張する「江戸」。
まず江戸に入国するには何百倍もの倍率の抽選を潜り抜けなくてはならず、入国に当たっては電化製品は勿論自然素材以外の(つまり江戸文化に適さないもの)は全て持込不可。鎖国状態を保つため外国人が認められる入国は生涯一度きり。食物は完全自給自足、生活用品・工業製品・医学薬品に至るまで輸入不可。ちなみに入出国を取り仕切るのは「長崎奉行」!

もうこの導入部だけで時代劇好きはやられちゃいます。
あとはもう好きにしてください、と、いかにもな時代劇調の物語に身を任せるのみ。「最初はそんなつもりじゃなかったのに」、気がつけばすっかり「江戸っ子口調」になってた主人公・辰次郎と一緒に「お江戸」気分を満喫するしかないってもんでしょ。

賑やかドタバタ、ホロリとくる人情劇にチャンチャンバラバラは外せません。おまけにちょっとホロ苦だったり。花のお江戸の大岡裁判を楽しみましょう。
翌年に続編も刊行されており、結構評判だったことがうかがえます。続編も読んでみたいです。

金春屋ゴメス 金春屋ゴメス
西條 奈加 (2005/11)
新潮社

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COMMENT

2007-07-20-Fri-23-04

オススメよ

残念ながら文庫化はまだなのですが、そのうちなるだろうと思います。かるーくサラっと楽しめる、「ザッツエンタメ!」ってかんじ。
本気の江戸村を体験したいものですねえ。
(へなちょこ現代人ですが・・・)
2007-07-19-Thu-22-06

心惹かれる設定

E・D・O★
いいですね。SFと時代小説の融合なんてそんな私の大好物!
読んでみたいと存じます。

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